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広島で20年ぶりに日本代表戦、「長崎生まれ広島育ち」森保監督が抱く平和への思い【サッカー】

2024年6月8日 21時24分

 サッカー日本代表は8日、2026年W杯北中米大会アジア2次予選B組最終戦のシリア戦(11日・エディオンピースウイング広島)に向け、広島市内で約1時間、約2000人の観衆が見守る中で練習した。
森保一監督

森保一監督


【記者の目】
 広島市内のお好み焼き屋ののれんをくぐった。食欲をそそる濃厚なソースの香りが鼻を突き、「カチン、カチン」と鉄ベラが鉄板をたたく音がにぎやかな店内に響く。壁面に飾られた著名人の色紙の中に「森保一」のサインを見つけると、店主は鉄ベラで日本代表のポスターを指し示しながら、「そりゃ、楽しみですよ。広島の英雄の凱旋(がいせん)ですからね」とうれしそうだった。
 日本代表が広島で国際Aマッチを戦うのは2004年7月のスロバキア戦以来、約20年ぶり。森保監督が2018年7月に日本代表監督就任後、選手、指導者として一時代を築いた広島で初めて指揮を執ることも重なり、すでにチケットは完売した。「非常にうれしく思っている。素晴らしい雰囲気を感じながら試合ができると想像してワクワクしている」と森保監督。希望、期待とともに、その胸中にはもう1つ、明確な思いが湧き上がっている。
 長崎で生まれ、選手と監督時代の大半を広島で過ごした。自らを「長崎生まれの広島育ち」と言い、父が被爆の記憶を持つことから「被爆2世」を自覚する。2つの被爆地に対する愛着が深い分、平和を希求する思いは強く、大きい。サッカーを通して発信したいのは、勝利へ向かう姿、ひたむきさとともに、平和の尊さにほかならない。
 「平和記念公園の近くにスタジアムはある。世界中で戦争や紛争が起こっている中、平和だからスポーツができる。悲惨な歴史を見ていただき、平和について考えていただくことができる。意義のある代表活動にしたい」
 勝負に勝てばいいなどと、思いは薄っぺらではない。平和への思い、願いをかみしめ、W杯への歩みを進める。(松岡祐司)

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