男ばっかりのフレンドが沢山増えたぞぉやったぁ(白目)
この龍都はもうダメだ。場所を変える事で名声値をリセットして再起するしかねぇ。
街を歩くだけでヒソヒソと腐海の住人たちが男たちの交配組合せについて熱心に研究している声が聞こえる。
俺は腐臭漂う龍都からダッと逃げ出した。もうあそこは龍都じゃねぇ。腐龍都だ。今度は旅の準備を忘れず、知り合いに挨拶周りしてきた。
ジーエンと【勃起不全】の男性は長時間持続型の第1形態のスキルによって性別♀になってた。男性はともかくジーエンは顔が中性的なのは変わらず顔面偏差値が向上し、体つきが理想的な体型になっていた。
今度は2人で酒を飲もうと約束した。【契約書】に詐欺紛いの方法でサインもさせた。ジーエンは【契約書】にサインした事を自覚していない。
この機会に【テレパシー・カフス】を購入した。フレンドが一気に増えたからな。遠距離の交流機会が増えるだろう。
目指すは鉱山地帯の観光名所だ。【採掘師】に就くって目的もある。俺のカーソンは汚染地帯を削り取る事に特化している。【開拓家】との相性も良い。
道中のモンスターを切り捨てながらカーソンと駄弁る。
「【拳姫】ってデンドロ初期組なんだってよ。〈NEXT WORLD〉も女性アバターで参加したらしい。」
奴は性転換を可能にするVRMMOに可能性を感じていると語った。
リアルで考えたら起きたら女の子になってた!を実現するのは不可能だと諦めていることも。奴のリアルの職業は医療系研究職なんだと。愛読書は北斗の拳。
「むぅ・・・夢を叶える為に努力しても叶う事が無いと諦めてしもうたか。」
カーソンがモンスターを殴り飛ばしながら言った。
夢が現実に叶う人間は数%もいないだろう。全員好きなことしてたら社会構造が崩壊する事など目に見えている事だ。技術的、社会的、資産的、様々な不可能に阻まれることだってある。
華々しい栄光は、昔からの国同士の戦争や個人の勝利などに宿っている。
が、悪く言えば誰かの夢の残骸の上、よく言って誰かの献身。現実はそういうものだ。
夢を見る事は悪いことでは無い。たとえ目的の為に誰かを犠牲にする夢だったり、叶わぬ夢だと知っていても夢を考えるだけで楽しいし、生きる原動力や、落ち込んだ時の支えになるからだ。
「主様は色んな事を阿呆な脳で考えておるの。」
モンスターの首をへし折ったカーソンが意外そうに言った。
阿呆は余計だが、察しが良い事は美点になり得る。常日頃から習慣的に鍛える事でいざという時に女性の好感情を得る為に使う。
逆に理屈っぽい男性は嫌いという層がいる場合があるから日頃からひけらかしたりはしない。
「俺はモテる為なら努力を欠かせる事は一切しない。」
例外はある。
目的の為に手段が優先されるようでは本末転倒だから。モテるための知識収集を彼女(未だに出来た事はない)より優先したら離縁されてしまう。
そーいうの、間抜けって言うんだぜ。
・・・・・
パチパチと爆ぜる焚き火をじっと見つめる。まだだ。奴は未だに降参していない。あえて外を捨てて内部に注力している・・・。
静かな時間が星空の下で広がっていた。カーソンも真剣な顔で焚き火を見守っている。
今だ!
俺はトングで焚き火の薪を掘り起こし、銀色のホイルに包まれた太い横長の楕円を掲げた。ホイルの凸凹に挟まった炭がパラパラと溢れていく。
俺たちは夕食を済ませて焼き芋をしていた。
豊かな人格形成は豊かな経験によって為される。ゲーム脳で言ってしまえば経験値効率だ。
スライム倒す勇者よりドラゴン倒す勇者ってな。同じ類の行為でも得るものが違う。刺激的でハラハラするぜ。
料理は一年で365×3回のスキルアップとEXP獲得の機会。それをおざなりにしてショボいスキルとEXPっていうのは勿体ない。
だから俺は料理に手を抜く事はない。モテる人格を作る為に。
だからカーソンが料理の冒涜者でも手を抜く事は一切しない。
カーソンの食癖は端から順に食べる事だ。
ビールと一緒に食った方が美味い料理も、端にあるビールを飲み干した後に料理に取り掛かる。
右からか左からかどちらから食べ始めるかは気分次第のようだ。
よってカーソンに提供する料理の課題は素材を一つに纏めてしまう上で生かす事。或いは壱の皿、弍の皿と食べ終わってから提供していくコース料理にしてしまうかだ。
前者は寿司とケーキを合わせるような困難だ。ビールと一緒に食べるからって料理にビールをぶっ掛けるのとは訳が違う。
しかし美味い組み合わせを無視して食べていく様子は料理人に対する挑戦だ。
料理人のプライドが燃え上がる音がした。
カーソンにビッと指を刺して宣言する。
「お前に料理というものをその舌と食癖に叩き込んでくれるわ!」
芋を端から頬張っていたカーソンが吃驚して芋を喉に詰まらせた。
俺は咽せる様子を観察する。些細な動作で人格を割り出す機会を決して逃す事はない。人は追い詰められた時打算を捨てて本心を明らかにする。
どう反応する。どう対処する。どう言った事を好む。料理は愛情。食べてもらう人に合わせて作る。
俺はビクンビクンと痙攣し始めたカーソンから目を離さない。
カーソンの震えながら伸ばされた腕がパタンと力尽きた様に落ちるまで俺は目を離さず、動く事も無かった・・・。
「阿呆!サイコパス!狂人!」
紋章に非物理化して収納する事で生命の危機を回避したカーソンに罵られている。
これは相当ですね・・・。
「普通!普通詰まらせたら助けるじゃろう!人が死に掛けている一大事に、いつ人間観察してる暇があるんじゃ〜!助けろ!背中さすれよ!」
やはり人間追い詰められたときに打算を捨てている。いつもの口調が崩れた。
俺はやれやれと首を振って食い掛けの芋の地面に接した面を初心者用ナイフで削ぎ落としてカーソンに手渡そうとした。
「喰うか!」
仕方ない。俺はカーソンが喉に詰まらせた涎まみれの芋を食べた。
「か、間接ディープキスなのじゃぁ〜〜」
カーソンが赤くなった顔を両手で覆ってガン見していた。
赤くなって怒ったと思ったら真っ赤になって照れている。
照れる要素、涎まみれの残飯処理にあった?
これはとある夢のVRMMOの物語。
女体化F「フン・・・」
女体化A「ラブコメですね」
女体化C「糞甘ぇ」
女体化S「ルンバァ〜〜!!」
ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート
- 一人(抗菌と同じく特典化)
- 双子
- 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))