片岡義男とオートバイ

LONG ROMANTIC ROAD(片岡義男版)
片岡さんに関係あることがらを紹介してます

片岡義男の物語に登場する場所
片岡さんの文庫本に挿入されている写真の撮影地点等を紹介してます




 オートバイに乗りたくなったのはきっと片岡義男さんの小説にふれたからだろう。新しい文庫が出るのを心待ちにしていて、特に物語にオートバイが登場していると夢中になって一気に読んだ。
 当時文庫本は安かったし、角川の装丁はおしゃれに感じた。ページの途中にカラー写真が入っているなんて初めてだった。
 W1やW3を知ったのは片岡さんの小説に登場したからだし、直立パラレルツインエンジンに魅力を感じているのも片岡さんの小説を読んだからだろう。
 片岡作品の中に登場するオートバイ達の名前や、描写シーンを抜き出してみた。


「アップル・サイダーと彼女」角川文庫1979
の中の
「深まりゆく秋です」
「4サイクル・ツイン」
「オートバイはぼくの先生」
はぜひ読んでみて欲しい。
きっとオートバイに乗りたくなるはずだ。



片岡義男さんのファンのツーリングクラブ発足。
↓↓↓
アップル・サイダーズ
Apple Ciders
・・・片岡氏を愛するツーリングクラブ・・・



片岡義男さんの物語に登場するオートバイと言えば
KAWASAKI650RS(W3)
W3の魅力的な排気音を聞いてみてください。
W3サウンド


「ハロー・グッドバイ」集英社文庫 1978
「箱根ターンパイクでおいてけぼり」
カワサキ650RS=W3。燃料タンクにガソリンをいっぱいに入れると、230キロの車重となる。燃料タンクがあずき色だ。クローム・メッキや黒い塗装の部分が、きらきら光っていた。燃料タンクを赤と黒に塗り分けたそのW3は、ずっしりとした重量感をたたえていた。光るクロームの部分や、黒く塗ったフレームなどに、人を容易に寄せつけない威厳のようなものがみなぎっていた。キック・ペダルを踏んでエンジンをかける杉本のようす、そしてシリンダーの内部で上下するピストンのつくりだす音、エンジンがかかったときの排気音などが、W3の重量感と威厳をさらに動かしがたいものにしていた。

「スターダスト・ハイウエイ」角川文庫 1978
「黒い流れから遠く」
国道17号線から、砂利道の国道291号線が分岐するところに、月夜野町という、たいそう美しい名前の町がある。この町の、月夜野橋にオートバイをとめ、ぼくはなんの理由もなく、ただ河を見ていた。利根川だ。

走り梅雨に追いかけられつつ、九州の南端からオートバイで列島を北にむけて走れば、去っていこうとするおそい春や青葉の初夏のなかを、そのさわやかな季節と共に動いていくことができる。

「スローなブギにしてくれ」角川文庫 1979
「スローなブギにしてくれ」RIDE2収録
非難エリアのまんなかに、ホンダCB500がとめてあった。

「モンスター・ライド」RIDE3収録
古いデュオグライドをベースにして、フロント・フォークを思いきってながくのばした、チョッパーだった。

「ひどい雨が降ってきた」RIDE4収録

真平は、カワサキ・ロードスタZ2にまたがって走り、自宅へむかっていた。

150㏄のオフ・ロード用のマシーンを、まず真平は買った。最終的には、英国製のトライアンフの750㏄、ボンネヴィルを買うことを目標にした。

いつもは、カフェ・レーサーふうに手を加えたノートン・コマンドに乗っている。

「青春の荒野ってやつ」RIDE9収録
ホンダの750

「ロンサム・カウボーイ」角川文庫 1979
「霧の朝はやく、二車線のハードライダーが…」
ハーレー・ダビッドソンxr-750

「マーマレードの朝」角川文庫 1979
「さしむかいラブソング」
ホンダ4気筒750

「愛してるなんてとても言えない」集英社文庫 1979
「愛してるなんてとても言えない」
サイドスタンドに車重をあずけ、650にしてはスリムに仕上がったボディいっぱいに、陽が当たっていた。燃料タンクやサイド・カバーは、淡いきれいなグリーンに塗ってあった。

「コバルト・ブルー」
濃いあずき色に塗ってある巨大な燃料タンクには、鮮やかな黄金色のストライプがあった。その燃料タンクの下に、4気筒の750ccのすさまじいエンジンが、前傾してフレームに抱きかかえられている。クローム・メッキされた排気管が4本、車体の下部へカーブを描いてのびていき、左右のマフラーにふり分けられている。その排気管やエンジンのクランク・ケースなどが、鋭く銀色に太陽の光を反射させていた。排気音が、風のなかへ、目には見えない生き物のように、マフラーから飛び出しつづけた。ゴム・ブーツをはいた太いフロント・フォークが、ディスク・ブレーキをかかえた前輪を、しっかりと路面に押さえこんでいた。

「まっ赤に燃えるゴリラ」
750ccのパワーと重量が、いまのように左側のサイドスタンドにかしいでとまっているときでも、車体ぜんたいから強烈に発散されていた。

「アップル・サイダーと彼女」角川文庫 1979
「深まりゆく秋です」
ぜひ、読んでみてください。

「4サイクル・ツイン」RIDE10収録
メグロ・スタミナK2 カワサキ650W1 メグロ・セニアT1とかT2 キャブトンRV オートビットH

「オートバイはぼくの先生」RIDE8収録
重量感の造型バランスの中に、クラシックなオートバイからひきついでいる、ある種の雰囲気がこもっていないとぼくは楽しくない。
機械はやはりシンプルなほうがいい。どんな細部でも自分で部品交換ができるくらいのメカニズムだと、エンジンがまわっているときの各部の状態を頭の中に描くことができる。これは、オートバイに乗るときにはとても大事なことだと思う。
音にも、こだわりたい。いい音と悪い音の区別くらいできるようにならないと…

「真夜中のオートバイ」RIDE14収録

「深夜の地獄めぐり」RIDE8収録
60馬力からのエンジンをかかえ、250キロもの重量をひきずりつつ、時速200キロ以上、軽々と出してしまう。
4本のピストンがシリンダーの中へ4つの気化器から猛然と混合気を吸いこんでいる。

「トリップ・カウンター・ブルースだってよ」RIDE6収録
ダブルクレードルの鋼管フレームがカーヴで発揮する強烈なくせ…74ミリの内径を持つふたつのピストン…コンロッドに浮き出させてあるMADE IN JAPANの刻印…右側の吸気ロッカー・アーム…800回転のアイドリング…

「故郷へ帰りたい」

「あの夜はホワイト・クリスマス」

「雨と霧と雲と」RIDE13収録

「ロードライダー」RIDE12収録 1979年7月号「野生時代」(角川書店)
ハーレー
「トウキョウベイ・ブルース」集英社文庫 1980
第1章
ブルーの皮ジャンパーに、まっ赤なヘルメット。そして、またがっている単気筒500ccのオートバイの燃料タンクは、純白だ。

「ときには星の下で眠る」角川文庫 1980

4サイクル2気筒で合計650ccに近い排気量を持ったエンジンは、夜の峠の冷気のなかへ、乾いた粘りのある排気音を、排気管から叩き出した。

彼女は、オートバイを見つめた。350cc、2気筒の4サイクルだ。よくまとまった車体ぜんたいに、かなりの量感がいきわたっていた。
BSAの500cc単気筒というやつを、平野は見ておきたいと思った。燃料タンクぜんたいがクローム、メッキしてあり、排気管や前後のフェンダーとともに、きらきらと輝いていた。フレームに抱きかかえられているアンダースクエアのエンジンは、88ミリものストロークを持っていた。85ミリ径のピストンが88ミリにわたって上下するのだ。うしろからながめると、そのオートバイの、たっぷりとした大きさが、よくわかった。BSAゴールドスターのオリジナルだ。

大島のオートバイは、新車だった。650cc、4サイクル2気筒のエンジンをわずかに前傾させてかかえ込んだ、重量車だ。

450cc、4サイクルの2気筒だ。クラシックなスタイリングで、きれいにまとまったオートバイだった。後輪のフェンダーが深くかぶさり、単座のシートから燃料タンクにかけての雰囲気は、乗り手の気持を大いにそそった。排気音も素晴らしい。

「あのトライアンフ・ボネヴィルで走ってたんだって」
「燃料タンクの赤いやつ?」
「そう」
「うわあ,素敵だ」

「彼のオートバイ、彼女の島」角川文庫 1980

650RS・W3で山道をいくのは、ちょっとしたエンデューロだ。

道路のむこうで、CB750の排気音が轟いた。
10
島の人だろう、ホンダのベンリイのおじさんがいた。
ホンダの実用オートバイ、ベンリイのCD125が一台、あった。
11
カワサキで走るぼくの前を、ホンダの、黄色いCB400フォアⅡがいく。そのさらに前が、ヤマハのGX750だ。
12
カワサキで学校へいくと、駐車場で歩み寄ってきてW3をじっとながめ、「メグロのK1にやはりよく似てる」と、ひとりごとのように、言った。
13
ヤマハRD250は、とまった。ライダーがしなやかに降り立ち、エンジンを切った。
15
「ヤマハのTXに乗っている男だ。ヤマハの、黒いTX」
カワサキのZ750。新聞社の原稿輸送員だ。
17
ヨーロッパのレーサーたちに人気のある、日本の497cc、正方形四気筒のマシーンだ。

「味噌汁は朝のブルース」角川文庫 1980
「ミッドナイト・ママ」RIDE25収録
500㏄のオートバイ DOHCで2気筒のエンジン

「1963年、土曜日、午後」RIDE7収録

600㏄ずつにふりわけたふたつのシリンダーがV字型のたくましく重い鉄のかたまりとなって、クローム・メッキの部分を鋭角的に光らせつつ、フレームにかかえこまれている。丸く分厚く張り出した燃料タンク。タンクにふたつならんだ、丸くゆったりと大きい計器が、輝く。余裕たっぷりのカーブを描いてライダーの手もとまで引きもどしてあるハンドル・バー。大きなヘッドライト。太いフロント・フォーク。輝くスポークが突っ張って支える太い前後輪のタイヤに、深くかぶさっているフェンダー。ライダーの尻がきれいにおさまっている、単座のサドル・シート。

350㏄の2気筒

「ボビーに首ったけ」角川文庫 1980
「鳥なぜ啼く」
白い車体の、ほっそりした小ぶりなオートバイだ。ガソリン・タンクに赤いラインが2本、入っている。50ccだ、とヒロシは言っていた。

「どしゃ降りのラスト・シーン」RIDE11収録
ホンダの400ccの2気筒 カワサキの400ccの2気筒

「ボビーに首ったけ」RIDE5収録
ボビーが乗ったのは、モデル・チェンジする前の、ヤマハRD250だ。

「朝になったら、タッチミー」RIDE1収録
ホンダCB750フォアⅡ ヤマハTX650 カワサキ650W1SA ホンダCB400フォア ハーレー・デイヴィッドスンFXE1200スーパーグライド

「月見草のテーマ」RIDE19収録
ダブル・グレードルの鋼管フレームに、直立2気筒のエンジンが、15リットルの燃料タンクの下に抱きかかえられている。ふたつのシリンダーの排気量を合計すると、624ccになる。車体ぜんたいの威厳のある重量感とバランスの良さは、いつ見ても安心感を覚える。気持を落着かせてくれる。シートの下のオイル・タンク。そしてエア・クリーナー、気化器、エンジン。2本の排気管のふくらみ。Yカバーと別体ミッション。マフラーと後輪のつりあい。
彼女の乗るオートバイは、4サイクル直立2気筒の398cc。360度クランクで、クランク軸の前後にバランサーが1個ずつ、ついている。目立ったくせのない、乗りやすいおだやかなオートバイだ。

「彼のお気に入り」
650CC
四角いミラー、ヘッド・ランプ、フロント・フォーク、そして前輪のフェンダーなどが、陽ざしに輝く。いったん高くあがったハンドルは、幅広く広がりつつ、ライダーの手もとにむかって大きく湾曲していた。
冷却フィンや輝く二本の排気管のカーブ

「コーヒーもう一杯」角川文庫 1980
「スティッキー・フィンガーズ」
正彦のオートバイは、650ccをふたつのシリンダーにふりわけたヴァーティカル・ツインだ。プルバック・ハンドルのアメリカン・スタイルで、キックで始動したとたんに全身に感じるマシーンの身振いがたまらない。

「風と紅茶の一日」
バイクでいくのも素晴らしい。なんとなく見当をつけたあたりを歩きまわっていると、自分だけの紅茶を飲むにふさわしい場所が、かならずみつかる。

「お月さまはベルベット」
この友人は、アメリカン・スタイルの4サイクル2気筒のミドル・ランナーを買いたい、と言っていた。彼がついに買ったそのオートバイは、何種類かある国産のアメリカン・スタイルのオートバイのなかではもっともよくまとまったものだった。バランサー機構の組みこまれたオーバーヘッド・カムのツインで、パワーをひかえめにしたエンジンの特性は車体とうまくつりあっている。ただし、ぼく自身は、買いたいとまでは思わない。

「吹いていく風のバラッド」角川文庫 1981
12
その河のほうから、1台のオートバイが走ってきた。2気筒の重量車だ。秋の薄曇りのなかにじっとしているくすんだ町なみに、乾いた粘りのある排気音が、奇妙に似合った。
24
ハーレー・デイヴッドスンのFLH。1200cc。大きなオートバイだ。陽ざしをうけとめて、オートバイは、精悍に光った。
26
彼女が乗っているオートバイは、中間的な排気量の、乗りやすそうなオートバイだった。クラシックなおとなしいスタイリングのなかに新しさがほどよく溶けこみ、彼女の体とのバランスは申し分なかった。ひざをしめ、腰をきめて背をのばし、きれいなポーズで彼女は乗っていた。ストロークのみじかい4サイクル2気筒のエンジンは、中・低速で粘り強いトルクを発揮してくれそうだった。

「町からはじめて、旅へ」角川文庫 1981
「きみも旅なのかい、ぼくも旅なんだ」
よく走りこんだ、いかにも頼りになりそうなBMWの重量車だった。

「俺のハートがNOと言う」角川文庫 1981
「水玉模様と月の光り」
4サイクルのエンジンは、ふたつのシリンダーの合計で748ccの排気量を持っている。ボアが80ミリで、ストロークは75ミリにちょっと欠ける。このエンジンの外側ぜんたいに、深くきざまれた冷却フィンが目立つ。前にむけて寝ているシリンダー・バレルの冷却フィンは、ぜんぶ見える。その後方、燃料タンクの下でわずかにうしろに傾いて立っているシリンダー・バレルは、冷却フィンのかたまりのようだ。それに、エンジンの下部には、10パイントもの冷却用オイルをたたえたサンプがあり、これも冷却フィンに囲まれている。ただ単なる1台のオートバイという印象をこえて、いかつくて大きな、ただならぬ機械、という雰囲気が、エンジンを中心にして車体ぜんたいに漂っている。
燃料タンクの下で立っているシリンダー・バレルから出ている排気管は、前方に寝ているシリンダー・バレルの左側をとおり、ブレーキ・ペダルとフットレストの下をくぐり、そこから浅い角度をとってまっすぐにはねあがっていく。前方の寝ているシリンダー・バレルからの排気管は、サンプの右側からキック・ペダルの下をとおり、左側の排気管とおなじように角度をとってまっすぐにのびる。
この排気管を含めて、マルゾッキのリア・ショック、車名を刻印したおなじくマルゾッキ製のフロント・フォーク、そしてステインレス・スティルでつくったフェンダーなどの輝きに対して、燃料タンクやサイドカバーは濃紺に塗ってある。艶のある、深い濃紺だ。燃料タンクの下部には、白いストライプが1本、太くまっすぐに入っている。
矢沢紀彦は、かなりの長身だ。ホイールベースが60インチをこえるこのオートバイに、体の大きさが釣り合っている。
「750なんだ」
「日本の?」
「イタリー」
西島のオートバイは、その大きさやいかつい印象では、矢沢のオートバイに負けてはいなかった。
両端に白いストライプが幅広く入っている真紅の燃料タンクの下に、プッシュロッドを使うオーヴァヘッド・ヴァルヴの並列2気筒が、かすかに前傾して立っている。643ccの排気量をふたつのシリンダーにふり分けているエンジンは、矢沢のオートバイほどではないが、深い冷却フィンのかたまりのように見える。
排気管やフェンダー、クランク・ケースなどが鋭く光り、ストロークのみじかいエンジン部分を中心に、精悍な印象がどっしりとある。前後の車輪のスポークに、1本1本、うっすらとさびが浮かんでいた。
キック・ペダルのついたアームを出した西島は、体重をフルにかけて、キック・スターターを踏み抜いた。エンジンは、始動した。重く乾いた律動のある排気音が、強くて熱い陽ざしのなかに広がった。
キック・アームをおさめ、右足を地面についてサイドスタンドを蹴りこんでから、左足をつきなおした。右側にあるチェンジ・ペダルを操作し、ギアを1速に送りこんだ。

「俺のハートがNOと言う」
プルバック・ハンドルのついた直立2気筒の650ccだ。

「ターザンが教えてくれた」角川文庫 1982
「風に恋した」RIDE15収録

「荒野の風はサンドペーパー」RIDE16収録

「ほろり、と泣いて正解」RIDE17収録
彼女が乗っているオートバイは、中間的な排気量の、乗りやすそうなオートバイだった。クラシックなおとなしいスタイリングのなかに新しさがほどよく溶けこみ、彼女の体とのバランスは申し分なかった。ひざをしめ、腰をきめて背をのばし、きれいなポーズで彼女は乗っていた。ストロークのみじかい4サイクル2気筒のエンジンは、中・低速で粘り強いトルクを発揮してくれそうだった。

「Ten Years After」角川文庫 1982

急な下り勾配のスロープに、全長2メートル15センチあるそのオートバイの前輪がかかった瞬間、2本のダウンチューブのそれぞれを両側からはさみこんでいる4本の排気管が、鋭くクローム色に光った。220キロの重量 21.3リットルの容量のある燃料タンク 750cc

「どうぞお入り 外は雨」集英社文庫 1982
「九月の雨」
2気筒400

「サマータイム・ブルー」
4気筒750

「ホワイト・アルバム」
750

「幸せは白いTシャツ」角川文庫 1983
オートバイは、空冷4サイクルの、並列直立2気筒だ。排気量は、ふたつのシリンダーをあわせて、444㏄になる。バランスのとれた車体は、全長が211センチで、地面から前のウインカーまでの高さが、88センチだ。黒く塗装した部分とクローム・メッキの部分とで成り立っているその車体は、大きさも雰囲気も、シートのうえであぐらをかいている彼女によく似合っていた。

「1日じゅう空を見ていた」角川書店 1984
「スイッチ・ヒッター」

直立二気筒、650CCのオートバイにまたがり、キーをスイッチにさしこんだ。ヘルメットをかむってDリングをしめ、皮手袋を両手につけた。
ハンドル・グリップを両手でつかみ、車体を正立させた。サイド・スタンドを左足で蹴りこんだ。コンクリートのフロアを両足で蹴り、二三〇キロの重量のある車体を後退させた。

「心待ち」RIDE18収録

正確には399CCの排気量を持つ、空冷四サイクルの単気筒だった。前後輪ともおなじパターンの太いタイヤをはき、ぜんたいは大柄な印象を受ける。燃料タンクとサイドカヴァーは深みのある赤い色で、タンクにはゴールドでストライプが入っていた。

「湾岸道路」角川書店 1982

「でも、このオートバイは、名前はスポート・グライドだけど、あんまりスポーティじゃないな」
「FLHのドレッサーの改造とまちがえる人が多いですね」
「そうだろう」
「これまでのスポーティなモデルと、フル・ドレッサーとの、ちょうど中間ですよ」
「乗り心地は?」
「悪くないです。トルクは、例によって、トラクターに乗ってるみたいですし」
「ハイ・オクタンか」
「レギュラーです」
27
「とっても素敵な排気音なのね」
「トライアンフです」

「こちらは雪だと彼女に伝えてくれ」集英社文庫 1982
「もうひとつラヴ・ソング」
ホンダ・スーパー・カブ
単気筒250

「缶ビールのロマンス」角川文庫 1984
「缶ビールのロマンス」RIDE27収録 CB450K0
450

「さようならの言いかた」RIDE29収録
2気筒650 単気筒250

「B面の最初の曲」角川文庫 1982
2気筒500ターボ

「ふたり景色」角川文庫 1982
「ふたり景色」
2気筒1000

「メイン・テーマ」カドカワノベルズ 1983

彼女が乗っているオートバイは、自重が乾燥で175キロある。セミ・ダブル・グレードルのフレームが、空冷4サイクルの並列直立2シリンダーのエンジンをかかえている。ヴァルヴの配置は、頭上カム軸式だ。出力の最高は、9000回転で45だ。全長が2メートルをこえるそのオートバイは、前後輪のフェンダー、マフラー、それに12.5リットル入る燃料タンクの両側面などがクローム・メッキで、いまにも雨の降り出しそうな国道の空の下で、鈍く輝いていた。



「ボビーをつかまえろ」角川文庫 1985
「昔々、ある夏の日に」
スカイ・ブルーと真紅に塗り分けた燃料タンクやサイドカヴァーが陽射しに鋭く光り、前後のフェンダーやフロント・フォーク、ハンドル・バー、ヘッドライトのハウジングなどが、さらに鋭くきらめいていた。後輪はフルフローター・サスペンションとなっている、4ストローク2気筒の重量車だ。全長は2メートルを十数センチ、こえている。ボビーのオートバイは十数年前に発売された650ccの4サイクル2気筒であり、そのような年齢の人たちにとっては、懐かしいオートバイなのだ。

「寝顔やさしく」角川文庫 1985
「サマータイム・ブルー」
750ccの4気筒エンジン、車重が240キロの重量車だ。

「彼女から学んだこと」角川文庫 1985
47
林のなかの陽影に、彼女のオートバイがとめてある。四サイクル・シングル・シリンダーの400ccだ。あきらかに古風な、しかしすっきりとまとまって無駄のない精悍なシェイプを、陽影のなかでしばし休めている。

「ふたとおりの終点」角川文庫 1985
「オートバイに乗る人」
彼のオートバイは、シフト・ペダルが右側にある。プッシュ・ロッドを使うOHVのツインが、燃料タンクのすぐ下にかかえこまれている。前傾したそのエンジンの、独特なマウンティング・システムが、そのことをよく知っていれば、彼の位置からでもわかる。燃料タンクをとりはずすと、フレームのバックボーン・チューブが太くまっすぐに伸びていて、美しい。

「400+400」
4サイクルの400ccシングル・シリンダーの、愛すべき音だ。

「ハートのなかのさまざまな場所」
「16000回転。水冷。ラジエターのうしろに、ファンがついているんだ」
「うん」
「オートバイで走るにはもってこいの、じつにいい場所なんだ。右に左にと、気分よくカーヴをこなして、頭のなかはからっぽになって、道路とオートバイと自分とが、完全にひとつなのさ」
「圧縮比12.1対1」
「エア・クリーナーの大きさを知ってるかい」

「5Bの鉛筆で書いた」角川文庫 1985
「日本の醤油をタレに使って焼きあげたハンバーガーは、キッコバーガーと言います。」
ぼくが見た範囲内でいちばん感心したのは、ホンダのオートバイCM250カスタムの広告写真だ。

「ホンダの90CCでマイアミからLAまで走ったら、ガソリン代はなんと20ドルだったというハイウェイ・ストーリー。」
ホンダのスーパーカブC90から発展していった軽量のトレール・モデルに、CT90というバイクがあった。

「彼らがまだ幸福だった頃」角川文庫 1985
750

「彼とぼくと彼女たち」新潮文庫 1986

650cc、4サイクル直立2気筒の、頑健をむねとした朴訥なオートバイにテントや寝袋を積み、どこへというあてはまったくなしに、しかしどこかへ、ふらりと、ひとりで、長距離ツーリングの旅に出た。彼は、オートバイを、ほんとうに愛している男だ。ソロの長距離・長期間ツーリングによる、放浪の旅のような生活をもっとも愛していて、ぼくと知り合ってまだ間もないこの頃は、さすらいのビッグ・ツイン・ライダーとしての本格的な充実期に入りはじめたときだった。愛する1台のオートバイとともに野外に出て、山や河、海岸などの豊富な自然を相手に、アウトドアでの生活を送っている時間が、彼にとって最高の時間なのだ。
29
見守るぼくたちの目のまえを、オートバイの列は、通過していった。HDは、ただ1台だけでも、たとえばその排気音は、素手で心臓をつかまれたような気分を、そばにいる人の気持のなかにひき起こす。そのHDが400台もつらなっているのだから、エンジン音や排気の音は、ひとかたまりとなった巨大な、すさまじい生き物のようであり、ぼくたちはその生き物のまえに声もなかった。ほとんどのライダーやパッセンジャーが、ぼくたちに笑顔をむけ、手をふっていった。
31
4シリンダー、750ccの、精悍な印象のある重量車だ。

「桔梗が咲いた」角川文庫 1986
15
現実がつかまえることの出来ない理想の少年がひとりでオートバイに乗るとしたら、20年ほどまえのエレクトラ・グライドがいいかもしれない。

「嘘はほんのり赤い」角川文庫 1987
「かたわらで泣いた」RIDE23収録 GPZ250R等
ノートン・コマンド 単気筒650

「私と寝て」
空冷単気筒652

「嘘はやめよう」
単気筒652

「嘘はほんのり赤い」RIDE22収録 SRX600

「すこしだけ白、すこしだけ黒」角川文庫 1987
「スポーツとほんの気晴らし」
彼のオートバイは、生産が停止されて久しい、498ccの4サイクル4気筒だった。低速から思いきって立ちあがらなくてはならないとき、その立ちあがりかたはたいへんに弱い。しかし、このほうがおだやかな気持ちを保つことができるので、敏彦としては気にいっていた。

「オートバイが走ってきた」
交差点にさしかかって自分のための信号が赤になり、停止線の手前で彼女はオートバイを停めた。596ccのシングル・シリンダー4サイクルのアイドリングに気持ちを同調させながら、彼女は信号が変わるのをひとりで待った。

「西瓜を食べよう」RIDE31収録
走っている二台のオートバイは、おなじ機種だ。4サイクルの498ccという排気量だ。そしてこの排気量は、四つのシリンダーを合計したものだ。

「さっきまで優しかった人」新潮文庫 1988
「きみはただ淋しいだけ」RIDE24収録 W3

「恋愛小説」角川文庫 1988
「基本を学ぶ」
単気筒650 単気筒400

「4シリンダー追想」
4気筒498

「長距離ライダーの憂鬱」角川文庫 1988

シリンダーもヴァルヴも125㏄からの流用であるこの498㏄、4サイクル4シリンダーのオートバイ
16
56×50  9.0:1  48PS/9000RPM  4.1KG/7500RPM  196KG(DRY)  3.25-19-4PR  3.50-18-4PR  シングル・オーヴァーヘッド・カムシャフト
46
国産の500㏄、4サイクルの4シリンダーだ。

「思い出の線と色彩」祥伝社ノン・ポシェット 1992
「ふたり景色」
全長が二メートルを二十数センチこえている彼のオートバイは、排気量が合計で1000CCある空冷4サイクルのV型二気筒だ。ダート・トラックのレーサーの雰囲気を強く残した車体は、燃料ダンクも前後輪のフェンダーも、いまにも燃え立ちそうなほどに鮮明な、軽快で華やかな真紅だ。

「1963年、土曜日、午後」RIDE7収録

「香水と誕生日」講談社文庫 1993
「あの星とこの涙」
街道を西から走ってきた大排気量のオートバイが一台、交差点をグリーンの信号で抜けていった。




片岡義男原作「さっきまで優しかった人」全5話
1986年にNHK-FM「カフェテラスの二人」という番組で放送されたものが
ニコニコ動画にUPされています。






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