初挑戦の空中演技に大苦戦
真央さんは、今回のショーでエアリアルにも初挑戦。エアリアルとは、サーカスなどで行われる、天井から吊るされたリングや布を使った空中演技です。
「通常のアイスショーだとスケートリンクの中なので吊るしたりできないけど、今回はいろんな舞台装置が使える会場なので」
しかし、スケートではあまり使わない上半身の筋力が重要なエアリアル。練習を始めた当初は、天井から下がった布を使ってひっくり返るだけでも大苦戦でした。
浅田真央さん:
「結構キテる…筋肉痛が…」
布を体に巻き付け、逆さに吊られながら「もうどうなっているのかわからない!」と顔を真っ赤にして笑い出す場面も。
そしてレッスンを始めて4か月ー。
地上5mの高さに吊るされたリングには、クルクルと回る真央さんの姿が。
エアリアルの一番の見せ場は、吊り下げられた布で体を支えた男性ダンサーが真央さんの体をつかみ、回転しながら空中に浮き上がる演技。危険を伴うだけに、練習にも緊張が走ります。

スタッフ:
「ストップ!ちょっと止めます。確認しましょう」
浅田真央さん:
「最後の上がっていくところなんですけど(相手の体を)浅く握って上がってしまったので、そのままだと、スルンって落ちそうになるので」
スケート靴を履いたままの空中演技は、危険とも隣り合わせです。
オケ生演奏へのこだわり「その時にしか出せない一瞬」
そして、真央さんが考えた劇場型アイスショーならではの新たな演出がもう1つ。それは、33曲すべてをオーケストラの生演奏で踊るというもの。

オーケストラはステージのリンクを取り囲むように、一段下がった位置に並びます。
「オーケストラの皆さん越しのスケーターなので、それはすごく贅沢な見え方になるんじゃないかなと。生演奏なので、その時にしか出せない一瞬なので」
音楽監督を務めるのは、オーケストラ指揮者の井田勝大さん。バレエ公演の生演奏を数多く手がけてきた劇場演奏のスペシャリストです。「音楽とスケートが一緒になってやるのはなかなかないことで、やってみないとわからない」と、井田さん自身も初めての挑戦とのこと。
他にも、演目には真央さんが3年前から習い始めたタップダンスも!

真央さんの師匠でもある世界的タップダンサー・HideboHさんは、真央さんのダンスへの向き合い方に驚いたと話します。
タップダンサーHideboHさん:
「本当にストイックにやっている。ちょっと表面タップができるということと、真央ちゃんがやっているのは全然違う。すごい」
姉・浅田舞のサポートとともに深夜まで調整
本番2日前となった5月31日。劇場にアイスステージも完成し、スタッフ全員で初の通し稽古が行われました。座長の真央さんは「できる限りのことをやってきましたので、それを思い切って、心を込めて滑っていきたいと思います」と真剣な表情で挨拶。

稽古では、振付よりも先にオーケストラの演奏が終わってしまうハプニングもありました。オーケストラはステージよりも一段低い位置で演奏するため、スケーターの動きが見えないのが原因でした。
すると、手を差し伸べたのが、振付も担当する姉の浅田舞さん。

浅田舞さん:
「おうちゃん、曲どうだった?ソロゆっくりだったよね」
浅田真央さん:
「キス・ザ・レインは早かった」
舞さんがオーケストラと舞台上の真央さんとの間に立って、曲のテンポを調整。マイクを使って真央さんに「早い?遅い?ちょうどいい?」と呼びかけると、首を横に振る真央さん。
浅田舞さん:
「早いみたいです」
指揮者 米田覚士さん:
「これでも早い?」
舞さんとともに、最後の調整は、深夜まで続きました。