止まらぬ少子化、予算66兆円超 23年の出生率は過去最低
少子化に歯止めがかからず、厚生労働省が5日発表した2023年の合計特殊出生率は過去最低を更新した。24年は政府が初めて少子化対策に乗り出してから30年の節目を迎えた。これまでに投じた関連予算は累計で66兆円を超えたものの、低下を続ける出生率の反転は見通せない。
政府が初の総合対策「エンゼルプラン」を策定したのは1994年のことだった。バブル経済下の89年に出生率が当時の戦後最低を記録した「1.5...
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(更新)- 辻本浩子日本経済新聞社 編集委員・論説委員分析・考察
「これまでの政策は、結婚して子どもが生まれた後の育児の支援が中心だった」。この表現は半分事実で、半分違います。若い世代の経済基盤の安定(就労、雇用政策)が重要なこと、両立に向けた長時間労働の是正や男性の育児が大事なこと。いずれも長年にわたり指摘され、政府も自ら少子化大綱などに掲げながら、実効性ある政策は打ち出していません。その結果の積み重ねが、今の状況です。このままではまた同じことが続きかねません。
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(更新) - 小黒一正法政大学経済学部 教授分析・考察
少子化対策として、子育て支援の予算を増やしても出生率が上昇するとは限らないという事実は、フィンランドの現状を調べてみると分かります。実際、フィンランドの2020年における家族関係社会支出(家族及び子育て支援)は対GDP比で約4%もありますが、同国の出生率は低下してきています。確かに、1989年から2014年まで1.7を超える出生率で、2010年には1.87という高い値でしたが、2010年以降は急低下し、フィンランドの出生率は日本と概ね似た状況に陥っています。もう少し予算の中身や効果の分析を深めた方がいいのではないでしょうか。
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