経歴詐称と名誉毀損。FランMBA。

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このところ詐欺が増えている気がしてならないが、ネットで検索して過去20年のデータを見ると、多少の振れ幅はあっても、だいたい横這いである。だから、「詐欺が増えている」というのは感覚の問題でしかない。この時点で、「最近増えている」とか「最近減っている」という社会評論の切り口を喪ってしまうが、それはともかく、わたしが気になっているのは、経歴詐称を疑うと、名誉毀損、もしくは侮辱になってしまうことである。堂々と他人を疑うのは出来ないので、せいぜい内心で「こいつは怪しいのではないか」と思ってるだけである。他人を疑ってはいけないという美徳もあるし、騙される人はその美徳で躓いているのかもしれない。わたしが最近体験した事例だが、「MBAを持っている」という人がいた。すごい高学歴なのだな、と思った。しかし、そいつはどうやら、Fランの経営大学院らしいのである。誰でも入れる大学院である。さらに調べると、最近はFラン大学院のMBAが流行っているというのだ。やはりわたしが騙されたのも(いや、騙されてないが、錯覚したのは)どこの大学院なのか、尋ねるのは失礼という遠慮があった。そういう遠慮が社会全体に蔓延している。だから、Fラン大学院のMBAが跋扈しているわけだ。もはや、FランMBAが最大派閥であり、偏差値が高い大学院のMBAは少数派らしい。弁護士の資格とは違って、そもそもMBAは資格ではないから、(たとえば司法試験に合格する必要などないので)Fラン大学院の経営大学院を卒業させてもらえばいいわけだが、MBAには国際的な基準というのがあるらしい。偏差値の高い日本の経営大学院は基準を満たしているのに対して、FランMBAはそういう認証も満たしていないようだ。基準未満の経営大学院はただの経営大学院であり、MBAではない気もするし、就職にも使えないはずだが、それでも、大学名を聞くのがタブーだと思う人に対しては「MBAです」というだけでハッタリが通じてしまうこともある。どれだけ通じているのか知らないが、「どこの大学院のMBAですか」と問い返す人が少ないからだろうし、まあ他人を詮索するのも差し障りがあり、いろいろと自衛が必要だと思う次第である。
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