過去に炎上してしまった利用規約4選
どんなサービスも利用開始前に必ずと言っていいほど利用規約に同意を求めます。ですが利用規約をしっかりと読み、リスクを理解してから同意のボタンを押す人は少ない事が、定期的に弊社が行っているアンケートで明らかになっています。
そんな読まれることが多くない利用規約ですが、過去何度か炎上騒動があったことをご存じでしょうか?
今回は過去の炎上利用規約をまとめてみました。
mixi「規約改定騒動」
2008年4月1日施行の規約改定により、新たに下記のような条項が追加されました。
この条項に対してユーザー間では下記のような不安の声が相次いでいました。
これに対してmixi広報担当者は
と釈明しその上で、新条項の追加意図を説明しました。
新条項の追加意図では厳密に著作権法を適用した場合に、ユーザーに無断で行うと法に抵触しかねないデータの複製や改変について、規約で改めて規定しました。
利用規約の改定をするだけでなくなぜその改定が必要なのかという意図が分からない事には、ユーザー不利に見える利用規約の改定は炎上に繋がりかねない。
利用規約の改定は「なぜ改定が必要なのか」「改定でサービスがどのように変わるのか」をユーザーに分かりやすく説明する必要があります。
ユニクロ「UTme!」
2014年5月19日に開始したTシャツ作成サービス「UTme!(ユーティーミー)」の利用規約に「著作物に関する全ての権利を株式会社ユニクロに無償譲渡する」とされた項目があることがネット上で炎上となった。
「UTme!」はスマートフォンやタブレット端末のアプリを使ってTシャツを作りその場で購入できるサービスです。
ユーザーの持つ写真やイラストなどを使って自分だけのTシャツを作ることができますが、その投稿データの著作権はユニクロに無償で譲渡し、ユニクロのキャンペーンに使用される事や著作人格権を行使できない事に同意しなければいけません。
これに対してのユーザー間では下記のような声が上がりました。
この規約は発表翌日には利用規約を改正。「著作権はユーザーに帰属する」と表記しました。
会社を守る意識で利用規約を制定するときに「とりあえず会社側の権利は広めに規定しておこう」として、このような規約になってしまい、ユーザー側から見たらどうなるかを見落としていたのかもしれません。
テレビ朝日「みんながカメラマン」
2014年8月11日からスタートしたこのサイトは、視聴者が事件や事故・ハプニングなどの動画を撮影し投稿できます。その提供された動画をテレビ朝日は自社のニュース番組、ネットニュースなどで使用します。
ですが提供動画が採用されても謝礼などはなく、映像に対しての苦情・トラブルが起きた際に投稿者自らが対応させ、テレビ朝日に何らかの被害が出れば投稿者に賠償させるというものでした。
この利用規約の条文に対してユーザーは、
といった批判の声が上がりました。
これに対してテレビ朝日は、
12日に利用規約を削除し、サイトを閉鎖しました。広報部は「一部に誤解を招く表現があった。規約の改訂が終わり次第、サイトを再開する」と説明しました。
現在は利用規約は改定されサイトは再開されているようです。
モバゲー「一切の責任を負わない」
2020年11月5日
東京高裁が判決
DeNAが運営するモバゲーには各種ゲームのほか会員同士でやり取りするチャット機能がある。
DeNA(モバゲー)の利用規約では下記のような条項になっていた。
被害にあった消費者の主張
原告の適格消費者団体「埼玉消費者被害をなくす会」(さいたま市)はこうした苦情を踏まえ、モバゲーの条項が事業者の不当な免責を無効とする消費者契約法に違反すると訴えた。
結果から先に言うとこの裁判の判決で「一切の責任を負わない」は完全免責条項を消費者契約法違反とはっきり認めた事件について、控訴審判決が確定しました。
企業側が一方的に有利な規約にすると消費者契約法に違反するおそれの他、特にネット上で非難が強まり「炎上」してしまうリスクもあります。
今回の高裁判決はユーザーにとっては有利である一方、DeNA側にとっては厳しい判決となりました。
DeNA側が一部のユーザーの利用を停止したにもかかわらず理由の説明もせず支払った利用料の返還もしないという相談が複数されていたという事情があったようです。これにより、DeNAが自己に有利な解釈をする疑念を裁判所に抱かせたことがDeNAを敗訴させた1つのポイントであるように思われます。
しかし規約に違反したり、他のユーザーに迷惑をかけたりするユーザーや、運営に過度な要求をしてくるユーザーに対し、企業として唯一実効性のある対抗手段・ペナルティ策が「そのユーザーのアカウントを停止する」条項を定めていなければ対応できないこともあります。
事業者としては、利用停止等、ユーザーに対して厳しい対応を行う場合には、その合理的な理由を明確に説明できる必要があると考えます。これまで以上に、企業としての説明責任・透明性が必要かつ重要になっていると思われます。
まとめ
利用規約は、企業と消費者の双方を守る為にあると考えています。
しかし、企業有利になってしまう利用規約があるのも事実です。
悪質なユーザーを抑制する狙いもあるとは思いますが、その規約が健全にサービスを利用するユーザーにも影響を及ぼしてしまうこともあるかもしれません。
利用規約の要点をまとめたり、このような場合はどの条項が適用されるかを具体的に記述するなど、企業がなぜこの規約を制定しているのかを説明したりして、ユーザーの解釈が正しく行われるように、今まで以上に慎重かつ丁寧に作っていく必要があるのではないでしょうか?
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