2016年06月07日 12:46:02

Vol.254 タイミング

 速報?続報?
それとも・・・

「先生、朗報があんねん」
「何?」
「スマホやめてん」
「ほんまか。それは確かに朗報や」

前回登場した高校生の男の子が
先週の水曜日に報告をしてくれた。

四者面談の中でお父様が、
息子がスマホをいじっていて話しかけづらい、
とおっしゃっていた。

その時は「そうなのか」ぐらいにしか
思わなかったのだが、後から気になり出して、
翌日お母様に電話を掛けて確認すると、
ヘビーユーザーだということが判明した。
そのことを私は完全に見落としていた。

そのようなタイプの子は大抵、教室での
隙間の時間(授業が始まるのを待っている間や
弁当を食べている時)にも肌身離さず、
という感じなので
「あまりそれに時間を使うなよ」と
声を掛けるのだが、その子はそうでなかったのだ。

親が言っても聞かないということであったので、
「では、私の方で伝えるだけ伝えてみます」
と話した。

火曜日に来たとき
「本読んだり、作文でいいこと書いたりしてるのに、
ゲーム会社の術中にはまってるやん。
ゲーム会社は君らの生活のことなんてどうでもよくて
とにかく一人でもユーザーを増やすことしか
考えてへんぞ。スマホが諸悪の根源やから、
晩の9時から朝起きるまでは触らへんとか
ルール決めな変わらへんで。
自分でも、やりたくてやってるんじゃなくて、
ただ何となくでやってしまってるだけやろ?」
というようなことを話した。

そして、その翌日に先の報告をしてくれたのだ。
スマホを使わないことで浮いたお金を
自分が好きな洋服代に充てるとのこと。
それを聞いて
「すごくいい解決の仕方やな。
ただ我慢するだけやったら続かへんからな。
ただ、またいじりたくなるから、その時に
どれだけ我慢できるかやで」
ということも合わせて伝えておいた。

 一番下の息子はまだ3歳だが、私は3歳なりの
責任を持たせることを心がけている。
それは何も大したことではなく、自分の荷物は
自分で持つ、などというレベルの話である。

でも、「自己責任」という言葉はあまり好きではない。
そのように感じる人はそれなりにいるのではないだろうか。

ゲームはいかに熱中させるか、もっと言えば
中毒にさせるか、ということに重きを置いて
開発されている。

小学生であれば親の力で押さえつけられる。
大学生にもなれば自分である程度コントロール
できるようになる。
一番危ないのは、中高生だ。それは人間の芯が
作られていく時期であり、それゆえまだ軸がしっかり
していない時期でもある。
「自己責任だ」と突き放すには、少々酷だと言える。
「そんなことぐらい自分でどうにかしろ」と
よく言う私ですら、ことゲームに関してはそう思う。

もう1つこの問題を難しくしているのは、
我々が子供の頃にはそのようなものは
存在しなかったため、対処の仕方がよく
分からないのだ。

もちろん、テレビゲームはあった。しかし、
それは持ち運べない。DSなどはあったが、
今のように通信機能が発達していなかったし、
外に持って行くのも禁止しやすかった。
だが、スマホなので「電話するのに必要」
と言われてしまえば、それまでなのだ。

 スマホのこと以外にも変化はあった。
面談の際、筆圧が弱いことを指摘され
もっと濃いものを使った方がいいと
言われていた。しかし、その次来たときには
同じものを使っていたので、
「おい、がっくりやな。せっかくお父さんが
いい話してたのに生かせてへんやん」
というと、即座に教室にあった濃い鉛筆に
変えていた。

3年前だと当然、1年前いや、きっと半年前でも、
彼は言われたことを素直に聞き
入れなかった気がする。
そして、1年後では少し遅い。
本当に絶妙のタイミングであったのだ。

 まだ、何も始まっていない。
変化の一歩を踏み出した、ではなく、
踏み出そうとしている、というのが現状だ。
実行に移され、成果が現れて初めて意味がある。
それは百も承知である。

ただ、少しぐらいは役に立てたかもしれない、
というほのかな心地よさが、今私の中にある。
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