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【富山】定番名古屋メシ 支える砺波の水 あんかけスパ 各店の麺製造

2022年1月4日 05時00分 (1月4日 10時00分更新)
ヨコイのあんかけスパゲティを手に笑顔を見せる中本広太郎社長(左)と横井慎也さん=名古屋市中区で

ヨコイのあんかけスパゲティを手に笑顔を見せる中本広太郎社長(左)と横井慎也さん=名古屋市中区で

  • ヨコイのあんかけスパゲティを手に笑顔を見せる中本広太郎社長(左)と横井慎也さん=名古屋市中区で
  • 砺波平野の地下水(右手前)を使って作られるあんかけスパゲティの極太麺。押し出し機から出てくる麺に傷がないか、手作業で確認される=富山県砺波市の日本製麻北陸工場で

日本製麻 小麦風味保ち、「極太」忠実対応

 名古屋メシの代表格の一つ、あんかけスパゲティ。「ヨコイ」「チャオ」「そ〜れ」などの専門店の多くが、富山県砺波市内で製造されている麺を使っている。あんかけスパが生まれて約六十年。飛騨山脈を源流とする庄川沿いで生まれた極太麺が、グルメな名古屋人の胃袋をつかんでいる。 (広田和也)
 製造するのは、神戸市に本社を置く日本製麻。米や土のうを詰める麻袋を作る企業ながら、一九二八(昭和三)年に生まれた日本最古のパスタブランド「ボルカノ」として、直径二・二ミリの極太麺を砺波市の北陸工場で作る。専門店でのシェアは約八割に上る。
 麺の売りは水。砺波平野を貫く一級河川・庄川に、人気の飲料水「い・ろ・は・す」の採水地がある砺波市は、名水地が多い富山でも水の豊かさが際立つ。その扇状地にある工場で約百二十メートル下の地下水を使う。やや軟水で、pH値6・9のほぼ中性。無味無臭が特長だ。
 小麦粉は国で一括輸入し、各メーカーは水と製造工程に差を見いだすだけに中本広太郎社長(51)は「この水はカナダ産デュラム小麦本来の味を邪魔しない。味がないからこそ小麦の風味が保たれている」と語る。
 パスタ業界への参入は七一年。あんかけスパの元祖、ヨコイの取引先で、ボルカノを生んだ兵庫県尼崎市の製造所を買収して始まった。ヨコイとの関係はその時から半世紀余り深い関係になっている。
 買収時のこと。当時の規格で最も太い二・一ミリの麺を使っていたヨコイに、日本製麻が機械を一新して作った太さの麺を送ると、創業者の故・横井博さんは「麺が細くなっている」。調べると、麺の生地を押し出す金型の穴が〇・一ミリ分摩耗して広がり、麺が太くなったことが判明。二・二ミリの金型を作って対応した。
 たった〇・一ミリの差だが、味のバランスを損ない、客離れにつながる恐れもあった。日本製麻で六年間修業を積み、三代目を継いだ孫の横井慎也さん(34)は「ソースとの絡み方が変わってしまう。即座に対応してくれた心意気は、祖父もうれしかったはず」と話す。
 以来、二・二ミリがあんかけスパの定番に。ヨコイが麺にソースを直接かけず、周囲に置くのは麺を味わってもらうため。慎也さんは「麺だけを楽しむお客さんもいる。変えるつもりはない」と言い切る。
 日本製麻が目指すのは、名古屋メシにおける地位向上。ひつまぶしや手羽先に比べて、知名度が及ばないが、ナポリタン業界が「日本ナポリタン学会」をつくったように、あんかけスパの協会発足を模索する。中本社長は「原材料メーカーとして、業界がスクラムを組めるように貢献したい」と話している。

【メモ】日本製麻=1918年創業。富山県砺波市の製布会社を神戸市の商社が買収したのが始まり。71年に高橋マカロニ製造所(兵庫県尼崎市)をグループ化してパスタ業界に参入。93年に工場を兵庫県加古川市から砺波市に移した。1.1〜2.2ミリのパスタ麺のほか、ヨコイやチャオのあんかけスパゲティ、ゴーゴーカレー(金沢市)のレトルト食品を製造する。食品以外では麻袋や車のカーマットも手掛ける。


【メモ】あんかけスパゲティ=ピリッと辛いとろみのある赤茶色のソースに、極太麺が絡み合う名古屋メシを代表する料理の一つ。トッピングは赤ウインナーや野菜、豚カツ、エビフライなど豊富。1959年に「スパゲッティハウス ヨコイ」の創業者、故・横井博さんが「日本人になじみやすいスパゲティを」と開発したのが始まりとされ、現在は名古屋市内の喫茶店でも定番の味として定着している。

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