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外的要因に依存する時代の終焉|自分の内面に向き合う幸せを感じよう

こんな世界的な有事にあたり、スーパーマンやアンパンマンのように「私に任せて!」とばかりに世界を股にかけて人の役に立てたらと思うが、実際には私は殆ど無力だ。
自分の生活を支え、精神状態をなるべく健全に保ち、人生を諦めないこと以外に人の役に立つことができるかと言ったら、実質難しい。

そんな中、私が役に立てるとしたら、今まで培った知識や知恵を少しおすそ分けすることぐらい。
そんなことで、今日は、外的要因への依存を捨て、内発的動機により幸せを感じるという話をしてみたいと思う。

私たちは強い刺激を求め続けてきた

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ご存知の通り、新型ウィルスの蔓延を防ぐため、東京を始め多くの世界の都市ではいま外出が制限されている。
これにより、スポーツイベントも中止や延期になり、コンサートもなくなり、演劇も映画も楽しめなくなった。カラオケや夜の酒場などでさえ気軽に出向けなくなった。
海外旅行にも気軽に行けない状況が生まれた。

頼みの綱であるオンラインコンテンツやテレビも、いずれコンテンツの方向性の転換が求められるように感じている。
例えば、海外旅行や高級ホテルをレポートするようなYouTubeコンテンツの制作も難しくなるだろうし、不要不急の外出を控えれば、食レポや温泉ランキングのようなコンテンツもだんだん意味を成さなくなるように思う。

これを少し俯瞰的に考えると、私たちはこれまで、
・もっと美味しいもの
・もっと高いもの
・もっと面白いもの
・非日常を感じられるもの

といった、いわゆる刺激の強いコンテンツを求め続けてきたと言ってもよいのではないだろうか。

私たちは外的要因で負の感情を緩和させている

このような強い刺激(外的要因)を頼りにストレスを解消させたり、喜びを感じたり、笑ったり、安心したりすることは別に悪いことではないが、私たちの内面にどんな影響をもたらしているかについて考えたことがある人は意外と少ないのではないだろうか。

これを言い換えると、

①私たちがやっているのは「外的要因」によって幸福感を得ようとする活動である。つまり、

外からの刺激によって自分の感情を変化させるという営みである。

もうすこし正確に書くとすればこうなる。

③自分の不安や悲しみや怒り、焦りと言ったいわゆる「負の感情」をごまかすために外からの強い刺激物(外的要因)を用いることによって、自分の感情を上書きし、「ポジティブな感情」に転化しようとする行為
しであるとも考えられる。つまり、

その場が楽しければ、自分の不都合な内面や負の感情に向き合わなくて良い⇒それならそれで良い、と考える傾向のことを言っている。

私たちは誰しも、こんな傾向があるように思うのだが、果たして本当にこれで良いのだろうか。

ここで上に書いた①〜④を冷静に読み返してほしいのだが、これは法律で禁止されている薬物を摂取する構造とほぼ同じだということに気づかないだろうか?

感情が麻痺している現代人

私たちの世の中は、そういう刺激物にあふれている。例えば、お笑い番組、例えば美味しいビール、例えば絶品のスイーツ、例えば映画、例えばビーチリゾート。

その場、その時を愉快にするためのツールは一生かかっても網羅できないくらい溢れている。

もし職場や学校で嫌なことがあったとしたら、寄り道してちょっと一杯飲んでカラオケで騒ぎ、コンビニで甘いものを買って帰って、録画していた番組やYoutubeを見て寝てしまえば、そんな嫌なことを一時的に緩和させることができる。そして、たまに海外旅行に出向けば、溜まったストレスもリセットされてしまう気がする。
そんな日常を積み重ねてはいないだろうか。

ここ30年ぐらいの世界の歴史は、こういった「外的要因」の在庫をたくさん増やして、不都合な内面や自身の負の感情に向き合わなくても良い環境を丁寧に作ってきた時間だったように思う。

そして、それがこのウィルス蔓延問題によって崩れ始めている。長期化の様相を見せるこの状況では、外的要因に頼って自分の感情を緩和させるようなことはだんだん難しくなってくる

そこで目を向けたいのは「内発的動機」による感情コントロールである。
今まで話してきたことは「外的要因」により自分の感情を緩和させることだが、今こそ、そういう悪癖に気づき、脱却する良い機会なのではないかと思う。

内発的動機による感情コントロールを体得する方法

ここまで読み進めた皆さんはきっと「じゃ、どうやったら外的要因から内発的動機に変えていけるか、林さん、そろそろ結論を教えてよ」となっているはず。

残念ながらこの記事ではその方法を教えません。
というか教えるわけがない!


と私が皆さんに今お伝えしたら「なんだよ〜」とか「じゃ読むんじゃなかった」とか思うのではないだろうか。

ここが本当に本当に大切なところ。

何が皆さんの頭の中で起きているかという仮設を書いてみる。

皆さんは今、私という「外的要因」から「刺激」をもらおうとしたということ。そして、それがもらえないと思った途端に不快に思ったということ。

どうだろう?
図星だった人もいるだろうし、的外れだった人もいるはずだが、まず外的要因から受けた刺激に対して、自分が何を感じるのかを観察し、理解するところから始めてほしい。

自分は何を感じているのだろう。

文字にすれば、当たり前過ぎて聞くに値しない問いかけにも思えるこの問いは、実は多くの人にとって自分自身に向けて問いかけることの極めて少ない難易度の高い文言である。

この問いかけを自分に向ける癖をつけることで、外的要因を無条件で取り入れ、強い刺激で自分の感情を封印したりごましたりする自動的な反応を止めることに役立つ。

自分の感情を丁寧に探り、負の感情すら客観的に観察する癖をつけ、どんな感情でいたいのかを自ら選ぶことで、外的要因にコントロールされる営みから卒業する。

この世の中の情勢は、内面の変化や変容を進めることに極めて有益な時間として活用することができる。
家にいる、不要不急な外出をしない、という絶好の機会を得た私たちにできる最大の仕事は自分の感情に向き合うことではないだろうか。

このタイミングで是非考えてみてほしい。


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エグゼクティブ・コーチの日本の草分け。オンラインでコーチを養成するスクールの第一人者。「できる上司は会話が9割」の著者としても活躍。コーチングはエンタメであるという新しいジャンルを精力的に作っている。ご連絡先:https://twitter.com/youleadicoach
外的要因に依存する時代の終焉|自分の内面に向き合う幸せを感じよう|林健太郎 / リーダー育成家