定例会閉会後、報道陣の取材に応じる石丸市長(中央)
本会議で石丸市長に対する問責決議案を賛成多数で可決した市議会
定例会閉会後、報道陣の取材に応じる石丸市長(中央)

 広島県安芸高田市吉田町の道の駅「三矢の里あきたかた」への良品計画(東京)の出店計画で市議会は29日、誘致に絡む一連の行政手続きを問題視し、石丸伸二市長に対する問責決議案を可決した。市長と距離を置く最大会派清志会の所属議員の発議。一方、この日の本会議では市長と近い議員から市長への不信任決議案も突如提案され、政治の混迷ぶりを映す展開となった。

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 28日の議会運営委員会で日程に追加された問責決議案の審議直前、熊高昌三議員(無所属)が動議で不信任決議案の提出を求めた。

 提案理由で「市長と議会の対立で行政が停滞している」と指摘。不信任決議により、市長が議会解散権を行使して市議選を行い、その後に可能性がある市長選と合わせて民意に委ねるのが最善と主張した。不信任決議案をその手段とする内容で市長の責任を厳しく追及する文言はない。採決では賛成2人で否決された。続いて山本数博議員が提案した問責決議案が審議され9人の賛成で可決した。

 閉会した直後、石丸市長は議場から廊下に出て、報道陣を前に清志会の議員を順次呼び止め、「なぜ不信任ではなく問責なのか」などと質問。多くは言葉少なにその場を後にした。

 石丸市長は報道陣に対し「メディアを通じて、議員がどんな対応で(私の問いから)すり抜けるか市民に伝えないといけないので」と強調。続けて「問責は法的拘束力がない。不信任の可決で議会が解散できる。そこで市民に信が問える。(問責は)議員の保身だ」と批判を繰り返した。

 一方、清志会の大下正幸議長は「市長に辞職するよう言っているのではなく、反省を求めている。民意を問いたいのなら、自ら辞めればいい。議会を巻き込むのはおかしい」と述べた。不信任決議案の提案については「(市長に近い議員が)なぜ出したのか全く理解できない」と話した。(胡子洋、加茂孝之)

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