「ゆとり教育」で教科書から消えた3桁同士の掛け算。「493×738」を筆算するときの考え方

0の省略に注意

最初の段、2番目の段、3番目の段はそれぞれ以下の式を意味している。

493×8=3944
493×30=14790
493×700=345100

ちなみに最初の式を見ると、3×8で2が十の位に繰り上がり、次に9×8にその2を加えて、7が百の位に繰り上がる。このように、次々と繰り上がっていく仕組みを理解するには、2桁同士の掛け算では不十分である(後述のドミノ倒し現象の説明を参照)。

そして、次式に留意して、最後の段を導いている。

493×738=493×(8+30+700)
=493×8+493×30+493×700

なお、筆算の2番目の段では14790の最後の0が、3番目の段では345100の最後の00がそれぞれ省略されていることに注意する。

2005年頃、インドのある算数教科書を見ているとき、ふと下記のような記法で指導している部分を見つけて感激したものである。

『大人のための算数力講義』(芳沢光雄著)