BBC番組「日本の秘められた恥」を批判する愛国女性の正義感

「女として落ち度があった」って…
井戸 まさえ プロフィール

今回のBBCの放送に関しては多くの人々が発言をしているが、杉田氏に対して正面からものを言うことを避けている傾向はまだあると思う。

つまり、敵味方と単純なレッテル貼りをされたり、女性同士の戦いに見せられたりすることが嫌だからである。

面倒だから誰も指摘しない。それが、不当な邪推を生んでいるとするならば悲劇である。

「‪誰かがこの勢力と戦わなければ、また日本はやられてしまう。慰安婦問題と同じ轍を踏むわけにはいかない。男とか女とか政治家とか民間人とかそんなのは関係ない。矢面に立てば批判されるのは織り込み済み。『もう騙されないゾ』という皆さんは一緒に闘ってほしい」‬

杉田氏はBBCの放送後、こう発言している。

それは杉田氏の定義する愛国の「ヒーロー像」そのものだ。

〔PHOTO〕gettyimages

等身大の「秘められた日本社会の闇」

子どもたちは、大人になる過程で、世の中に起っていることは単純な計算式で解けるものではないことを知る。目の前の数多の理不尽に対して、本当の理由を知るまでの過程はそう容易くはない。

もしくはその解が自分の望むものではない、もしくは自分に起因するものであったならば、わかりやすいカテゴライズをして、「他者」に理由を求めた方が簡単なのだ。女、外国人、マイノリティ……。

こうした言語が通じ、「自分萌え」で活躍できる閉じたフィールドが「愛国市場」なのだ。「国会」も「国連」も大掛かりなセットにすぎない。

杉田氏が演じるヒーローが守るのは「日本」「愛する人」。決して弱者ではない。生活保護受給者を始め、むしろ「弱者」は国にとって敵になりうるからだ。

 

杉田氏はBBCの放送は送られて来た企画書(欧米で話題になっている#MeTooのキャンペーンが日本でどのような反応、形に繋がっているか)と放送内容が異なっているとし、2時間以上のインタビューをされたが、使われたのが5センテンス程度として、ある意味「切り取り」で使われたとする。

しかし、心配はいらない。杉田氏の主張は十二分に伝わっている。

この番組のもう一人の主人公はまぎれもなく杉田水脈(的女性)であり、どんなに短くともその嘲笑の表情や言葉の中に等身大の「秘められた日本社会の闇」をBBCの番組は映してみせたのである。

関連記事