最高以外はもう要らない。
ほとんどの服とほとんどの本を捨てた。基準は「最高かどうか」で、好きだけど最高だとは思っていないものを全部捨てた。捨てながら自分の思想を知った。私は、どうやら、Tシャツが好きではないみたいだ。他の人が着るのは構わないが、自分が着るのは嫌だ。だが、便利だ。だが、最高ではない。結果、Tシャツを全部捨てた。Tシャツを全部捨てる日が来るとは思ってもいなかったのでドキドキしたが、一気に身軽になった。靴は三足、ジャケットは三着、パンツも靴下もタンクトップも三着、あとはセーターとパーカーが一枚ずつだけ手元に残った。
ドリトル先生航海記だけは手元に残した。ドリトル先生は「Dr.Dolittie」と書く。ほとんど為すことのない、おさぼり博士という意味だ。ドリトル先生は、社会的にはダメな人間だが人間や動物から愛された。物くさ太郎と似ている。怠け者の物くさ太郎は、出会う人々に「腹が立つのを通り越して、興味を覚えさせる」ほどの怠け者だった。そして、怠け者ゆえにとんでもない大出世を果たした。長野県安曇野の穂高神社には、物くさ太郎の石碑がある。ドリトル先生は言う。旅にたくさんの荷物などほんとうは必要ない。そんなものはかえって邪魔になるだけだよ。人の一生は短い。荷物なんかにわずらわされているひまなどない。いや、実際、人生に荷物など必要ないんだよ、スタビンズくん。
台所も整理した。一ヶ月使っていないものは問答無用で処分した。良質な塩と良質なエキストラバージンオリーブオイルと良質な酒と良質な味噌と良質な醤油だけが残った。図らずとも、自宅からプラスチック製品がなくなっていた。財布も鞄も整理して、スマホの中も整理した。写真もアプリもメモも捨てて、血肉に変えた。捨てれば捨てるほど、自分の運気が高まっていく手応えを得た。運とハッタリだけで生きてきた私にとって、運気の有無は死活問題である。運気の磨き方は、たくさんある。一番わかりやすい方法は、散歩に出て、信号に一度も引っ掛からなかったら現在の自分はいい感じ。頻繁に信号に引っ掛かる時は、リズムが狂っている。自分がいい感じの時は、駅に着いた瞬間に電車が来る。必ず空席があるし、時計なんか見なくても、時間ぴったりに待ち合わせ場所に着く。
金に頭をさげるのは違うなと思う。私たちは金の奴隷ではない。金は、この世界を一緒に楽しむベストフレンドである。給料を貰う時も「ありがとうございます」と雇用主にペコペコ頭をさげるのではなく「うむ、ご苦労」と言うくらいがちょうどいい。そんなことを言ったらクビにされるかもしれないが、そんな会社はクビになった方がいい。なぜならば、金を使って人間を奴隷扱いしているからだ。金に卑屈になり過ぎると、金の奴隷になる。ベストフレンドである金を押入れや銀行に監禁するのも違うなと思う。俗に、それを死に金と言う。金も命も、使われることで本領を発揮する。大事にとっておくことは、飼い殺しにしていることと同じだ。
熱海の伊豆山に日本一美味いヒレカツ定食を出す店がある。熱海に遊びに来たS様が「ご馳走するので連れて行ってください」と言った。私は、自分の運気が高まっていることを実感しながら、天国の奥座敷に足を運んだ。S様が「ここのヒレカツ定食が日本一と聞いて来ました」と言ったら、普段は超絶温厚なマスターが、真剣な表情を浮かべて「日本一じゃないよ。世界一だよ」と言った。私は、この店とマスターを更に好きになった。無駄に謙遜して「自分なんてそんな」とか言われて出されるより、うちのヒレカツが世界一だと言われて出された料理を食べる方が、元気になる。生き方を決める基準は「最高かどうか」で、最高だとは思っていないことはやらない。最高以外はもう要らない。
おおまかな予定
6月1日(土)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
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