飯野矢住代誕生秘話<14>「姫」の元No.1ホステス大門節江の回想する嫉妬深さ
「別段どうとも思わなかった。ライバル? とんでもない。だって彼女は入ったときからスターじゃない?可愛くて背も高くてスタイル抜群。かなう相手じゃなかった。性格も明るいし悪い印象は本当にないのよ」
ただ、「彼女に限ったことじゃないんだけど……」と前置きして節江はあるエピソードを聞かせてくれた。
「他のホステスの子とお客さんのことで、トラブルがあったのは覚えてる。“取った取らない”みたいなささいなこと。なんで覚えているかっていうと、“ナンバーワンなんだから、もっと余裕でいればいいのに”って思ったから。少し珍しいケースだった。嫉妬深い性格? まあ、そうよね」
嫉妬はホステスにとって職業病のようなもので、特筆すべきことではないだろう。とはいえ、大門節江が回想するように「ナンバーワン」が、客の取り合いで他のホステスと諍いを起こすのはまれなのだという。事実、矢住代本人も自身の性格について次のように言及する。
《自分でけっこう勝手なことをしているのに、好きな人がなにかすると、すごく腹がたつの。わたしって、もしかすると、すごくヤキモチやきよ。カレが、ほかの男と話しているのさえ、イヤなんだから……》(「プレイボーイCUSTOM」1969年11月15日号)