ソニー・インタラクティブエンタテインメントは4月26日、Shift Upが手がける『Stellar Blade(ステラーブレイド)』を発売予定。対応プラットフォームはPS5。本作公式Xアカウントによると、本作は日本を含むすべての地域で表現が規制されない同じバージョンとして発売されるという。デモ版時点で一部グロテスクな描写が含まれるものの、CEROレーティング「D(17歳以上対象)」として表現規制なしで発売されるようだ。
『ステラーブレイド』は、侵略者から地球を取り戻すために戦うアクション・アドベンチャーゲームだ。本作の地球では、ネイティブと呼ばれる敵が突如出現。コロニーから降り立った兵士イヴは、地球に取り残された生存者アダムや、かつて地球に派遣された空挺部隊の隊員であるリリーと協力し、ネイティブに立ち向かうこととなる。
本作にてプレイヤーは、人類最後の都市ザイオンから荒野や大砂漠といったセミオープンワールドのエリアへと向かい冒険。装備を入手したり、スキルをアンロックしたりしながらネイティブと戦い、ザイオンを支えるエネルギー源ハイパーセルを各地から集めることを目指す。バトルにおいては、スピード感ある派手なコンボアクションが特徴。またギミックとして、ジャストパリィやジャスト回避を駆使する場面も用意される。
本作はPS5向けに4月26日に発売予定。そして本作公式Xアカウントによれば、本作は日本を含むすべての国で表現が規制されない同じバージョンとして発売されるという。本作のCEROレーティングは「D(17歳以上対象)」で、コンテンツディスクリプターアイコンは「セクシャル」および「暴力」が設定されている。こだわりをもって作られているという女性主人公の“後ろ姿”をはじめセクシャルな表現(関連記事)も注目を集めているほか、デモ版の範囲でも一部グロテスクな描写が存在。たとえばキャラの腕が欠損し断面が描写されるカットシーンや、人型モチーフの敵の体が損壊する表現が確認できる。
デモ版時点でそうしたグロテスクな描写も存在するものの、本作のCEROレーティングが「D」という点にElectronic Arts日本支社社長の野口ショーン氏が反応を示した。同氏は本作のアクション主体のゲームプレイを称賛しつつ、本作に向けたCEROの審査について言及。同氏によるとEAから2023年1月に発売されたリメイク版『Dead Space』においては、「部位欠損の断面や内臓が出ている」ことが理由となり、CEROが審査を通さずレーティングを与えなかったようだ。結果として同作は当初予定されていた国内コンソール版が販売中止になったと見られ、国内向けにはPC向けにのみ発売されることとなった(関連記事)。
一方で本作『ステラーブレイド』ではデモ版時点で先述したような描写があるものの、CEROレーティングは「Z(18歳以上のみ対象)」の一段階下となる「D」。野口氏は、『Dead Space』はレーティング「Z」すら受けられず“NG”となり、『ステラーブレイド』は「D」となるCEROの審査のあいまいさに対して苦言を呈している。なお同氏いわく『ステラーブレイド』というゲーム自体への悪意はまったくないとのこと。あくまでCEROのレーティング基準への不満を示したかたちだろう。
日本の家庭用ゲーム機向けには、各機関にてレーティング審査を受けて対象年齢などが決定されたゲームが発売されている。日本では、パッケージ向けゲームの審査や年齢区分の決定については基本的にCEROに審査を依頼することが必須。またダウンロード専用ゲームの販売については、IARC(International Age Rating Coalition)の審査を利用することもできる。IARCは、ダウンロード専用ゲーム・アプリのみを審査対象にしている海外を拠点にするレーティング団体だ。
SIEも2022年3月からは、日本のPlayStation Storeにて販売されるダウンロード専用タイトルについて、従来のCEROに加え、IARC汎用レーティングをメーカー側が選択可能となった(関連記事)。一方で、18歳以上を対象とするタイトルに関しては、引き続きCEROレーティングの取得をメーカーに求めるとしていた。つまり、パッケージ向けの発売やIARC汎用レーティングにて18歳以上向けに相当するゲームのPS Storeでのダウンロード販売では、引き続きCEROレーティングの取得も必要となるわけだ。
そしてCEROレーティングの取得を巡っては、先述の『Dead Space』を含め国内向けの販売計画が変更になったとみられる事例もある。たとえば2022年には、予約購入受付も開始されていたSFホラー『The Callisto Protocol』が「CEROのレーティングを通過できなかったため」国内向け発売中止(関連記事)。そちらはコンソール/PC版のいずれも国内発売されることがなかった。
現状ではそうして、特に過激な描写を含むゲームでは、CEROの審査次第で販売元が計画の変更や中止を余儀なくされるケースもあるわけだ。野口氏は先述の投稿において、ほかのタイトルでも数多く「あいまい」な審査がおこなわれていると言及。チェックリストや点数制など、明確な審査基準を設けてほしいとしている。
なおCEROの公式サイトによると、CEROでの審査員は登録制で、広く一般から募集した20歳代~60歳代のさまざまな職業の男女で構成されているとのこと。事前にCEROによるトレーニングを受けた複数名が、「レーティングの対象となる表現項目」の27項目の表現内容等について審査。それぞれの表現項目には上限があり、上限を超える表現内容を禁止表現にしているという。禁止表現を含むソフトにはレーティングが与えられないそうだ。
野口氏の投稿を見るに、そうした表現項目の“上限”については販売元にも詳細が明かされていないのかもしれない。ゲーム発売直前にCEROレーティングの影響で計画変更となるケースもあり、販売元から「あいまい」ではない審査が求められる状況はあるようだ。
なお先述のとおり野口氏は『ステラーブレイド』に向けては悪意はまったくないとしており、「むしろ面白かったので買った方がいい」とおすすめしている。CEROレーティング「D」となっているため、幅広いユーザーが購入・プレイできる作品となるだろう。
『Stellar Blade(ステラーブレイド)』は、PS5向けに4月26日発売予定だ。
【UPDATE 2024/4/22 12:00】
本文中の『ステラーブレイド』の発売日などを修正