反AIパブコメ、晒し上げられる

 2024/3/19、文化庁が、2024/1/23~2/12にかけて募集していた「AI著作権に関する考え方について(素案)」のパブリックコメントの内容を一部公表。

 

 もちろん文化庁には晒し上げる意図はないのだが、「自分には審美眼があると勘違いしてる努力しない馬鹿がゴミを量産し続けるだけのツール」「クソダサ大日本帝国」「ゴミ劣化コピーロボット」などパワーワードだらけで半端な大喜利より面白い状態だったため、結果的にそうなった。

 

受付番号 185001345000000016

「日本は酷い盗作国家となってしまいました。あなたたちは文化破壊庁です」

「生成AI利用者を刑に処してください」

 

受付番号 185001345000000027

「くだらないことをごちゃごちゃ抜かす前にきちんと法整備をして下さい」

 

受付番号 185001345000000161

「国のトップは頭が弱い、若い人の方がよほど柔軟な発想をしている」

 

受付番号 185001345000000163

「あのさ」

「バカなの?」

 

受付番号 185001345000000174

「本気で絵を描く理由なくなったわ」

 

受付番号 185001345000000208

「大企業の飲食店経営企業が世界中の果物農家から無断で果物を盗んで、自身の飲食店でフルーツサンドとして販売」

 

受付番号 185001345000000381

「創作者が不快に感じたAIに関して、全て著作権侵害として良いと思います」

 

受付番号 185001345000000456

「こんなゴミ劣化コピーロボットから新しい創造物なんて作れません」

「自分には審美眼があると勘違いしてる努力しない馬鹿がゴミを量産し続けるだけのツール」

「だってほんとに気持ち悪いんですよ!生成AIを使ってる人達一人残らず気持ち悪い!」

 

受付番号 185001345000000479

「なにがクールジャパンですか、こんなのクソダサ大日本帝国です」

 

受付番号 185001345000000529

「AI生成物を完全に止めるには、AI生成利用者全員の命を脅かすしかない」

 

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_07/pdf/94021801_02.pdf

プリキュア事件

 2024/3/15、プリキュア20周年記念アイテムの1つとして製作された「ふたりはプリキュア Max Heart」のグッズのイラストが、「細部が設定と合ってない」「見た感じがAI生成っぽい」という理由で魔女狩りのターゲットにされ、AI使用罪で焼かれる。

 

 規模を問わなければ、反AIによる難癖・言いがかり・魔女狩り・私刑はほとんど日常と言っていいレベルで発生しているが、ターゲットが大きい冤罪事例としては2023/8/13のあらいずみるい事件以来。

 

 その後3/22になって公式がAI使用を完全否定。つまり今回も冤罪だった。魔女狩りに参加した反AIは、今回も反省する事も謝罪もする事なく、「疑って何が悪いのか」「紛らわしい事をするな」「吊るすからイラストレータの名前を公開しろ」「全部AIが悪い」と、加害者であるにも関わらず被害者のポジションを取りながら逃走した。

 

 なお、しばしば登場する「AIか否かを明記すれば問題なかった」説は、2024/3/9に「AI使用を明記した朗読劇」が反AIの脅迫を受けて中止になっているので、ただの嘘である。

 

 事実関係を箇条書きにすると下記のようになる。

 ① このイラストが手描きでもAI生成でも、反AI主義者はただの第三者で、被害者ではない。

 ② このイラストが手描きでもAI生成でも、 プリキュアの画像をAIで生成する事は合法。

 ③ 権利者以外がグッズを作って売ったら手描きであっても違法。

 ④ プリキュアの正式な権利を持つ東映は、AIで画像を作るのもグッズを作って売るのも合法。

 

 反AI構成員の大部分はそもそもGen-AIから被害を受けるような域に達していないエア被害者であるが、特に本件においては、グッズを作った東映自身がプリキュアの正式な権利者であるため、より「無関係な第三者が被害者気取りで勝手に騒いだ」という状態に近くなっている。

 

▼ 反AIによって「添削」された画像

 

https://twitter.com/precure_15th/status/1771008903062671690

「知識基盤のレベル合わせができていない」誕生

 

 2024/3/19、文化審議会著作権分科会(第69回)において、文化庁の籾井圭子著作権課長より、AIに関する議論について「なかなか知識基盤というんですか、このレベル合わせができていないというところもございました」という発言があり、この「知識基盤のレベル合わせができていない」という言葉が、現行法やAIに関する基本的知識を共有しないまま雰囲気だけで批判を試みたりニュースを誤読したりデマを流したりする反AIの挙動と合致していたために、その後長らく引用され続ける事になった。

 

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/bunkakai/69/index.html

EU AI Act、正式に可決

 2024/3/13、2023/12/8に既に大筋合意していたEU AI actが正式に可決。

 

 これが何なのか、という話は約4ヶ月前に結論が出ている。EU AI actは「エア被害者を保護するために無断学習を規制する」ためのものではない。「米国製の強力なAIだけを規制して足を引っ張りつつ、EU圏内のAIを無規制で開発させて米国に追い付く」ためのものである。

 

 規制は、ChatGPTに代表される強力な米国製AIだけが引っかかり、EU圏内の弱小AIは引っかからないよう巧妙に条件設定してある。そうして時間稼ぎを行い、その間EUのAIをこれまで通り無規制で開発させ、EUのAIもこの規制に引っかかるようなレベルまで成長したら、規制内容を変更して再び引っかからないように仕立て上げる。そういう計画である。

 

 反AI主義者は現時点でLLMや機械翻訳を平然と使用しており、反AIとは言うものの本当に反対しているのは画像生成だけというダブルスタンダード状態だが、その観点で言うと、オープンソースかつ個人使用が大半の画像生成AIはEU AI actの規制要件から外れるため、この法案成立による反AI的な成果はほとんどないとみられる。

 

https://www.soumu.go.jp/main_content/000826707.pdf

https://wintermutex.hatenablog.com/entry/2023/12/11/192603

AI朗読劇事件

 2024/3/9、Lol社が、2024/3/13~20の日程で開催予定だった「~AI朗読劇~ AIラブコメ」の開催中止を発表。このイベントは「シナリオがAI生成である」という事が一つの売りとなっており、少し前から反AIの攻撃目標になっていた。

 

 中止の理由は、もちろん「無断学習データでコンテンツを作ってしまい申し訳ありませんでした」等ではない。「関係者の皆様、出演者の皆様、事務所の皆様に多大なるご迷惑がかかる危険があると判断した」となっている。つまり「このまま開催すると反AIテロリストによって危害を加えられる関係者が出る可能性を否定できないから中止」という事である。

 

 本イベントは最初からAI使用を明示していたので、結果的に、反AI業界でしばしば登場する「AIタグを付ければ良かったのに」説が嘘だという事が証明されてしまった。明示しようがしまいが反AIは群がってくるし、ターゲットを潰すまで攻撃を止める事もない。

 

https://www.lol-w.com/ai-rodoku-lovecome/

文化庁パブコメ、まとまる

 2024/02/29、文化庁が、1/23から2/12にかけて募集していた、「AIと著作権に関する考え方について」のパブリックコメントの結果を公表。

 

 結論から言うと、反AI的な成果はなかった。

 

 繰り返しになるが、約9ヶ月前にあたる2023/6の文化庁見解の時点で、

 

 ① 無断学習は合法、というより学習は原則的に無断であり、そもそも法的には「無断学習」という概念自体が存在しない

 ② 生成・公開した作品が他者の著作権を侵害していた場合、現行法で裁く

 

 という結論が既に出ており、今回も全ての話がその枠内に収まっている。集中学習を受けるレベルの著名なイラストレータならともかく、大多数のエア被害者はそもそも被害者ですらない。

 

 このパブリックコメントは、同じ話を繰り返すばかりで、新しい話題が何もなくなってしまった反AI業界において、一つの大きなイベントとして捉えられていた。

 

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_07/

DLsite、AI容認に方針変更

 2024/2/15、2023/5/11から約9ヶ月に渡って生成AIが関与した作品を一律取り扱い禁止としていたDLsiteが、作品の取り扱いを再開。

 

 2023年5月は、DLsiteだけでなく、skeb、 pixiv FANBOX、Fantia、Cienなど主要なマネタイズ系サイトが相次いでAI関連作品を締め出し、反AIビジネスに舵を切った月であるが、そのグループからまずDLsiteが離脱する事になった。

 

https://info.eisys.co.jp/dlsite/4628201220b668fe