武蔵野美術大学が、2023/6/22~7/14の日程で、AI Picasso社と合同で「AI絵画アワード」を開催。400点ほど作品が集まったが、最終的に受賞者なしで終了。
受賞者なしになった理由は「生成AIの使用に違法性はないが、現状で受賞者を出すとその人物が反AI主義者に激しい個人攻撃を受ける可能性が高いため」。
2023/8/7〜9/4の日程で、アサヒ飲料が、「和紅茶姉妹イラコン祭り」なるイラストコンテストを開催。
募集要項の最後に「なお、こちらのコンテストでは、AIを活用したイラストではなく、オリジナル作品を募集します」というローカルルールを記載。暗に「AIを使用したイラストはそもそもオリジナル作品ですらない」という先鋭化した反AI思想を示す。
どの程度AIを使うと「AIを活用した」に抵触するのかは例によって不明。
https://www.asahiinryo.co.jp/entertainment/campaign/wakoucha/230804-230903/
2023/8/2、機械学習阻害ツールGlazeが、webサービス版のリリースを発表。
反AIツールであるGlazeが内部でAI技術を使用していることは、2023/2の登場時から指摘されていたが、率直に言ってGlaze自体が技術者には見向きもされていなかったので、詳しい内部構造についての調査は進んでいなかった。しかし今回、GlazeがStable Diffusionの学習データそのものを内部に組み込んでいる事が判明。
反AI主義者は「生成AIは無断学習で作った学習データを用いているから泥棒ツール」というような筋立てで批判してきたが、その定義だとGlazeも泥棒ツールという事になる。
またGlazeによってノイズを合成した画像は、その時点で「人工知能等の技術による機械的な方法によって生成されたコンテンツが含まれる内容」になるので、skebおよびXfolioルールに抵触し投稿資格を失う。
なおGlazeが本当に機械学習を阻害できるのかどうかは現在も不明。
2023/7/3、2022/2から存在していたものの、既にPixivがあったためメジャーな存在になれていなかったイラスト投稿サービス「Xfolio(クロスフォリオ)」が、「2023/8/7からAI生成絵の投稿を一切禁止する」と発表し、反AI版Pixivとして注目を集める。
現在Pixivは手描き絵とAI生成絵の境界を「線画と人物を手で描いたら手描き(塗りと背景はAIでもOK)」と定義しているが、Xfolioの基準は非常に厳しく、「人工知能等の技術による機械的な方法によって生成されたコンテンツが含まれる内容(は投稿禁止)」となっている。つまり僅かでも機械的生成技術を使ったら規約に抵触し投稿資格を失う。
つまり、「ダーティ」とされている画像生成AIが使えないのは当然として、Adobe Fireflyのような「クリーン」とされている生成AIでも使用できない。それどころか同じく生成系AIを用いた「自然に消す」「なじませる」系の自動削除ツールも全く使えない。プロシージャルテクスチャも「機械的な方法によって生成された」事に変わりないので、やはり使えない。例示したもの以外でも、何らかのデータを生成する近代的なデジタルツールは大体全部使えない。
ある種「輸血拒否」のような、宗教に近い非常に極端で後進的な内容だが、実際にはそういったデジタルツールは『便利なもの』として何の抵抗もなく普通に使用されているとみられ、「自分が作ったルールを自分で守れていない」ダブルスタンダードの可能性が非常に高い。
Xfolioはローカル規約で機械学習も禁止しており、クローリング妨害のためにcaptchaを設置するなど、反AI主義者にとって理想に近い環境になっている。