日本の宇宙開発の礎「ペンシルロケット」 航空宇宙技術遺産に 1955年、国分寺で初の発射実験評価
2024年5月31日 07時25分
東京都国分寺市で1955年に発射された日本初の小型ロケット「ペンシルロケット」が、日本航空宇宙学会認定の航空宇宙技術遺産に選ばれた。戦後間もない時期に、日本の宇宙開発の礎を築いた功績が評価された。(岡本太)
ペンシルロケットは、東京大の糸川英夫教授が開発した長さ約23センチ、直径1・8センチの固体燃料ロケット。55年4月、国分寺町(当時)の工場跡地で、初めて発射実験があった。当時の日本には空に打ち上げた物体を追跡する技術がなかったため、ロケットは水平方向に発射。6日間で29機の試射を実施したという。
発射実験から来年でちょうど70年。実験は「日本の宇宙開発の始まり」とされ、実験データはその後のロケット開発に生かされた。15年後の70年には、日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げ。2010年には小惑星探査機「はやぶさ」が、糸川教授にちなんで名付けられた小惑星「イトカワ」から微粒子を持ち帰った。
今年4月、日本航空宇宙学会はペンシルロケットについて「わが国の航空宇宙技術発展史を形づくる画期的な技術」として、航空宇宙技術遺産に認定した。
ロケットの実機は現在、府中市の郷土の森美術館に貸与中(7月19日まで休館)。認定証はcocobunjiプラザ5階に展示している。
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