パナソニックのカメラ製品サイトに無関係の写真 「20年以上前の感覚で制作」と釈明
パナソニックが6月20日に発売を予定するミラーレス一眼カメラ「LUMIX DC-S9」を巡り、SNS上で〝炎上〟する事態となっている。このカメラで撮ったものではない無関係の写真を製品サイトで使用しており、「性能を誤認させる」と批判が集まっている。同社は「現行機種のすべてのサイトで見直しが必要だと考えている」と説明。31日に予定していた新製品の魅力を伝えるライブ配信は急遽(きゅうきょ)中止となった。 【画像】パナソニックのサイトに掲載されていた写真。有料画像サイトから得たもので、新製品で撮影した写真ではなかった 「動きのある被写体の撮影で自動的にピントが合います」 「S9」のサイトにはカメラの性能を紹介する文章とともに野原をかける犬の写真が掲載されていた。実はこれは有料画像サイトから利用許諾を得て入手した写真で、新製品で撮影したものではなかった。 このことがSNS上に投稿されると瞬く間に炎上し、パナソニックは28日夜、「新製品で撮影した写真でないことがわかりにくい表記となっていた」などとする謝罪文をサイト上に掲載。しかし、ほかの製品でパナソニックの独自技術による画質の良さなどを説明する際にも有料画像が使用されているとみられるケースが多数見つかっており、さらなる批判が集まっている。 同社の担当者は「20年以上前のビデオカメラの宣伝で実機のものではない画像をはめ込む手法があり、そのときの意識のままサイトを作ってしまった」と釈明。同社は平成13年に「LUMIX」というブランドを立ち上げてデジタルカメラに本格参入した後発メーカー。それ以前は家庭用ビデオカメラを主に扱っていた。 今回のS9を含むカメラの製品サイトはマーケティングと開発の部門が協力して内容を考えており、現行機種の全サイトで誤解を招きかねない有料画像の使用例があったという。現在、順次写真の差し替えを行っており、新たなサイト制作のルールも含めて、今後詳細を説明するとしている。 パナソニックの問題を受け、ほかの大手カメラメーカーも自社サイトのチェックなどに奔走した。ニコンは機能や性能を紹介する作例で「有料画像を使ったことはない」と説明。キヤノンはカメラを使用する場面の例を紹介する際に有料画像を使っているケースはあるとした上で「作例や性能を訴求する写真は実際の製品で撮影したものを使用している」とする。 ソニーグループもイメージ図として有料画像を使用する例はあるが、作例には使用した機材を明記することを徹底しているという。担当者は「どんな写真が撮れるのかをお客さまに伝えることが重要。基準を設けて適切にサイトを制作している」と話す。
近畿大総合社会学部の寺本誠教授(広告コミュニケーション)は「高級カメラということもあり、消費者は広告にもこだわりやリアリティーを求める。噓をつかれたという気持ちが炎上につながったのではないか」と分析した。(桑島浩任)