共走りには相性がある。
自分と同レベルの走行技量で
ある事は大前提だが、走行感
覚に同質性が無いと一緒に走
っていてもちっとも面白くな
い。
今月の連休明け、MCブラザー
から久しぶりに誘いがあり、
いつもと趣向を変えて原付
スクーター同士でちょい走り
してみねぇかとなった。
そいつぁおもしれえってんで
こちとら乗った。
横浜に長らく住んでた奴で
ウマが合う。
原付2台で広島県から愛媛県ま
で行って帰って来る。
「動力付車両は原付しか走れ
ない」という国内でも珍しい
専用道路を通って。
本州から四国までの通行料は
500円。安い!
この行き帰りが非常に面白かっ
た。
やはりMC=モーターサイクル
クラブだ。排気量関係なく走り
が主体。
ただ、MCというのはツーリング
クラブや同好会ではなく血盟団
のような結社だ。誰でも希望す
れば入(はい)れるものではない。
事実、審査期間で人的質性に問
題ありとして決議ではねたり、
審査以前に断っているケースも
ある。これはうちだけでなく、
どこのMCもそうだろう。「同志」
以外はクラブには入(い)れない
し、希望しても人的質性を審査
されて入(はい)れないケースも
多い。
最近も入りたいという人が知人
にいたが、全体会議にかける前
に私が断った。
「同志にはなれないから君は
入れないよ」と。
「え?」と言っていたが、何か
普通の同好会やツーリングクラ
ブとMCの違いの識別が不在だっ
たようだ。
なおさらMCなどには入れる要素
も必要もない。他で楽しんでも
らえばいい。我々は関係ない。
MCブラザーの間ではあまり「ツー
リング」という表現は使われない。
「共走り」だ。
仮に便宜上ツーリングと呼称し
ても、主たる行動は観光旅行で
はなく、共走りにメインテーマ
が置かれるからだ。
そして、2台以上では集団走行
となり、編隊走行になる。
当然、そこでの規律や自由走行
区間での自己表現や堪能が入る。
それがオーケストラのように全
体がバラバラではない同調を伴
って軌跡を描くのがMCだ。
それがMCの走りであり、組織
行動なのである。
今月初旬に久しぶりにブラザー
と走った原付走行は実に面白
かった。
やはり原付であろうと、それよ
り上の排気量二輪での共走りと
全く中身が同じなのだ。内実が。
これが面白くない筈がない。
MCの場合、車間はかなり狭い。
互いの技量を信頼しているから
だ。
素人さんは50mや100mフツー
感覚なのか空けてしまう。
そんなに広げたら集団走行は
不可能だ。行程において走り
にならない。
それは「共走り」ではない。
勝手な個人が走っているだけだ。
MCは根本素因がまるで異なる。
だが、必ず直線では千鳥になり、
旋回では一直線になる。
(旋回ではスリップアウトして
も前走者に衝突する事は無い)
やはり、走行において信頼し合
える間柄同士の走行はかなり面
白い。
旋回が一番面白いが、直線も
市街地も山中ワインディングも
海岸線も、すべてが楽しい。
これはソロ走りでは味わえない
面白さだ。
だが、二輪にガソリンを入れる
ように、人間も腹に飯を入れる。
途中では食い処に立ち寄ったり
もする。
途中で寄り道して、走った事が
ない所を行き、景勝地に寄って
ちょいと普通ツーリングぽい事
もする。
だが、メインは走行そのものだ。
ロードを二輪で行く、という。
やはりMCは良い。
モーターサイクルは実際に走って
ナンボだ。
そもそも、走らない奴は二輪乗り
でも何でもないし。
「ただバイクを所有しているだけ」
という存在であって、オートバイ
乗りでも何でもない。
当然、そうした層は二輪乗りの
心情や二輪の世界の深淵とも無縁
だ。