カイ・グレイル
Lv4
力:I0 → I32
耐久:I0 → I20
器用:I0 → I21
敏捷:I0 →I18
魔力:I0 → I8
【狩人】:G
【耐異常】:E
【精癒】:I
魔法
【ブラウフラムダス・トゥーダス】
・
・炎属性
・詠唱式【燃え立つ意志よ、湧き上がる闘志よ、我が大願を今、ここに】
・発動式【爆ぜよ】
スキル
【
・格上との戦闘時、全
【
・戦闘時間が長引くほど全
・戦闘開始から一定時間で【再生】【連戦】を一時発現。
【
・
・前回攻撃時から一定時間内に攻撃が命中した時、
・効果継続中、装備武器に
「……ヒュウ。相変わらず惚れ惚れしちまうようなスキル構成だなァ。流石はオレの眷属だ」
主神から口笛と共に差し出された羊皮紙にザッと目を通す。
新たなスキル、魔法は無し。発展アビリティ成長無し。
うん、やはりランクアップ直後は
欲を言えばもっと欲しかったが、そこは流石レベル4と言ったところか。
どうやら
「しかし、まさかオマエに【精癒】が生えるとはなァ。流石のオレでもこれは予測できなかったぜ」
「俺だってアンタに告げられた時は驚いたさ。ってか誰にも予想できなかっただろこんなモン」
【精癒】の発展アビリティの効果は、
普通、エルフのような
そんな事は知ってるだろう? と暗に言ってみると、我が主神たるテスカトリポカは「ハンッ」と鼻を鳴らして、どかっとソファに腰掛けた。
流れる長い金の髪から覗くその婉麗な顔には、確かな笑みが浮かんでいる。
「まさか、オレの酔狂で拾ったガキがここまで大当たりだったとはなァ。このオレでも想像だにしなかったぜ。この親孝行め。えぇ?」
「え? いや酔狂ってアンタ、『頼むからオレの眷属になってくれ』って俺に土下座してきたんだろうが。忘れたわけじゃねぇだろ」
「は? ンな事してねぇが? オマエの方が拾われたさそうにしてたから拾ったんだが? は? オレが土下座とか、マジ不敬だが?」
確かに本人が言う通り土下座はしていないが、しかし『頼むからオレの眷属になってくれ』と言って来たのは事実である。
俺がこの迷宮都市オラリオに訪れてすぐの時、最大派閥たる【ロキ・ファミリア】の入団試験会場へ向かっていた俺をいきなり路地裏に連れ込んで、そんな風に彼女は俺へと必死に頼み込んで来たのだ。
最初はなんだコイツと思ったものの、次第とその姿がまぁ、あんまりにも可哀想に見えたので、俺は彼女の眷属となったわけである。
今になってみれば、それは大正解であったと言えるだろう。
「……ま、良いだろう。オレは寛容だからな、赦してやる。何にせよ、今日は
「ああ、期待してる」
下界に起きている様々な出来事を共有したり、現在発生している問題について話し合ったりすると言う、下界にとって重要な会合であるわけだが、我々冒険者にとって
それこそが、二つ名。
また、一度二つ名を賜った眷属であっても、再度ランクアップを経ることで、新しい二つ名を頂ける。
現在の俺の二つ名は【
「おう、オマエは安心してオレに祈れ。最高の二つ名をオマエに送ってやるよ」
ニヤリ、と。
テスカトリポカは獰猛に、そして心底愉快そうに笑った。
「さぁ、行くぞ。開催までまだ時間はあるが、オレはこういうのは先に着いて、ゆっくり他のアホどもの間抜け面を嘲笑いたいタイプなんでね」
「知ってる」
ガチャリとドアを開けて、
彼女の呆れるほどに広い歩幅に合わせて、街の中央から八方へ放射状に伸びるメインストリートの一つに足を踏み出す。
そしてメインストリートの様子が目に映った瞬間、テスカトリポカは顔を顰めた。
「おーおー、相変わらず腐ってやがるなぁ。
「ん? アンタはこう言う時代は嫌いなのか?」
アンタの事だから好きだと思ったんだが、と。
そう聞いてみれば、彼女は大きく頷いた。
「ああ、勿論好きだ。歴史の変遷、時代の転換点。多くの戦争が起こり、多くの戦士が死ぬ。そんな時代がオレは好きだ」
歩きながらそう嬉しそうに語る彼女の目は、しかし侮蔑と失望に満ちていた。
「
「……そうか」
キッパリと、テスカトリポカはそう言い切った。
俺はそれが実に彼女らしいなと思ったが、何だか少し寂しくて、悲しかった。
「だが」
ぽすん、と音を立てて、俺は柔らかい何かに突っ込んだ。
俺が反射的にそこから離れようとすると、強い力でそれに押し付けられる。
どうやら、いつの間にか俺の前に移動していたテスカトリポカが、俺を抱きしめているらしい。
「オマエは別だ」
俺が大人しく力を抜いて彼女の胸に顔を埋ると、彼女の手にガシガシと頭を撫でられる。
目線だけで上を向けば、彼女の金色の瞳と視線が交錯する。
「オマエには『勇気』も『意志』も、『気概』は勿論、『闘志』もある。それをオマエは『冒険』と言う形で示した」
彼女の視線が、呑み込まれるような熱を帯びる。
「オマエが人のあるべきを示せ。オマエがこの時代を変えろ。出来るはずだ。このテスカトリポカが見初めたオマエなら」
「…………アンタがそう言うなら、ついでにやっておいてやる」
「それで良い。それでこそだ」
ニヤリと笑って、テスカトリポカが牙を剥く。
眉目秀麗なその顔にまるで似合わないようで、しかし不思議なほどに調和しているそれを、彼女はゆっくりと口を俺へと近づけ────
「はい、そこまで!」
突然背後から響いた声に阻まれた。
「……あ?」
「ちょっとちょっと! ダメでしょ真っ昼間の往来でそんなイチャついちゃ! 青少年の健全な心が歪んでしまうわ! そう言うのはもっと、時と場合ってものを考えてするべきよ!」
その喧しい声に当たりをつけ、テスカトリポカから離れて振り返ると、そこにいたのは俺が頭の中に思い描いた通りの彼女だった。
ルビーのような真っ赤な髪に、パッチリと開かれた緑の瞳。
剣を提げた腰に手を当ててこちらを指差すのは、正義の眷属【アストレア・ファミリア】が団長、レベル4冒険者、【
「……アストレアのガキか」
「ええ、そうよテスカトリポカ」
テスカトリポカが忌々しげに嘯くと、アリーゼの後ろから一柱の女神がしずしずと現れた。
栗色の髪を背中まで伸ばし、白いドレスをまとった彼女こそ、正しくアリーゼの主神。正義の神、アストレアであった。