冒険します。冒険者なので。


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作:POTROT
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我が主神。


 カイ・グレイル

 

 Lv4

 

 力:I0 → I32

 耐久:I0 → I20

 器用:I0 → I21

 敏捷:I0 →I18

 魔力:I0 → I8

 

【狩人】:G

【耐異常】:E

【精癒】:I

 

 魔法

 

 【ブラウフラムダス・トゥーダス】

 

 ・付与魔法(エンチャント)

 ・炎属性

 ・詠唱式【燃え立つ意志よ、湧き上がる闘志よ、我が大願を今、ここに】

 ・発動式【爆ぜよ】

 

スキル

 

 【英雄願望(ジークフリート)

 

 ・格上との戦闘時、全能力値(アビリティ)に超高補正。相手が竜であれば更に超高補正。

 

激戦熱闘(グランド・バトル)

 

 ・戦闘時間が長引くほど全能力値(アビリティ)上昇。

 ・戦闘開始から一定時間で【再生】【連戦】を一時発現。

 

乱斬連打(ラッシュ・ラッシュ・ラッシュ)

 

 ・任意発動(アクティブ・トリガー)

 ・前回攻撃時から一定時間内に攻撃が命中した時、精神力(マインド)消費で【力】上昇。効果は重ねがけ可能。一定時間攻撃が命中しなければ強制解除。

 ・効果継続中、装備武器に不壊属性(デュランダル)付与。

 

 

 

「……ヒュウ。相変わらず惚れ惚れしちまうようなスキル構成だなァ。流石はオレの眷属だ」

 

 主神から口笛と共に差し出された羊皮紙にザッと目を通す。

 新たなスキル、魔法は無し。発展アビリティ成長無し。能力値(アビリティ)の合計上昇値は99。

 うん、やはりランクアップ直後は能力値(アビリティ)がよく伸びる。

 欲を言えばもっと欲しかったが、そこは流石レベル4と言ったところか。

 どうやら能力値(アビリティ)一つ上げるにも、相当な経験値(エクセリア)を要求して来るらしい。

 

「しかし、まさかオマエに【精癒】が生えるとはなァ。流石のオレでもこれは予測できなかったぜ」

「俺だってアンタに告げられた時は驚いたさ。ってか誰にも予想できなかっただろこんなモン」

 

【精癒】の発展アビリティの効果は、精神力(マインド)に対する自動回復(オートリジェネレート)の付与だ。

 普通、エルフのような魔法種族(マジックユーザー)でもない限り発現することはない。

 そんな事は知ってるだろう? と暗に言ってみると、我が主神たるテスカトリポカは「ハンッ」と鼻を鳴らして、どかっとソファに腰掛けた。

 流れる長い金の髪から覗くその婉麗な顔には、確かな笑みが浮かんでいる。

 

「まさか、オレの酔狂で拾ったガキがここまで大当たりだったとはなァ。このオレでも想像だにしなかったぜ。この親孝行め。えぇ?」

「え? いや酔狂ってアンタ、『頼むからオレの眷属になってくれ』って俺に土下座してきたんだろうが。忘れたわけじゃねぇだろ」

「は? ンな事してねぇが? オマエの方が拾われたさそうにしてたから拾ったんだが? は? オレが土下座とか、マジ不敬だが?」

 

 確かに本人が言う通り土下座はしていないが、しかし『頼むからオレの眷属になってくれ』と言って来たのは事実である。

 俺がこの迷宮都市オラリオに訪れてすぐの時、最大派閥たる【ロキ・ファミリア】の入団試験会場へ向かっていた俺をいきなり路地裏に連れ込んで、そんな風に彼女は俺へと必死に頼み込んで来たのだ。

 最初はなんだコイツと思ったものの、次第とその姿がまぁ、あんまりにも可哀想に見えたので、俺は彼女の眷属となったわけである。

 今になってみれば、それは大正解であったと言えるだろう。

 

「……ま、良いだろう。オレは寛容だからな、赦してやる。何にせよ、今日は神会(デナトゥス)だ。新しい二つ名を期待して待ってろ」

「ああ、期待してる」

 

 神会(デナトゥス)と言うのはつまり、三ヶ月に一度行われる、神々による定期報告会である。

 下界に起きている様々な出来事を共有したり、現在発生している問題について話し合ったりすると言う、下界にとって重要な会合であるわけだが、我々冒険者にとって神会(デナトゥス)には、それ以上に重要な事項がある。

 

 それこそが、二つ名。

 神会(デナトゥス)に集った神々が、俺達のようなランクアップを果たした眷属に、相応しい『二つ名』を考案し、下賜してくださるのだ。

 また、一度二つ名を賜った眷属であっても、再度ランクアップを経ることで、新しい二つ名を頂ける。

 現在の俺の二つ名は【火種(フォンカ)】であるが、今日より、俺は新しい二つ名を戴くのである。

 

「おう、オマエは安心してオレに祈れ。最高の二つ名をオマエに送ってやるよ」

 

 ニヤリ、と。

 テスカトリポカは獰猛に、そして心底愉快そうに笑った。

 

「さぁ、行くぞ。開催までまだ時間はあるが、オレはこういうのは先に着いて、ゆっくり他のアホどもの間抜け面を嘲笑いたいタイプなんでね」

「知ってる」

 

 ガチャリとドアを開けて、本拠地(ホーム)の外へ。

 彼女の呆れるほどに広い歩幅に合わせて、街の中央から八方へ放射状に伸びるメインストリートの一つに足を踏み出す。

 そしてメインストリートの様子が目に映った瞬間、テスカトリポカは顔を顰めた。

 

「おーおー、相変わらず腐ってやがるなぁ。ジジイ(男神)ババア(女神)が消えてからずっとこうだ。つまらねぇ」

「ん? アンタはこう言う時代は嫌いなのか?」

 

 アンタの事だから好きだと思ったんだが、と。

 そう聞いてみれば、彼女は大きく頷いた。

 

「ああ、勿論好きだ。歴史の変遷、時代の転換点。多くの戦争が起こり、多くの戦士が死ぬ。そんな時代がオレは好きだ」

 

 歩きながらそう嬉しそうに語る彼女の目は、しかし侮蔑と失望に満ちていた。

 

()()()()()。確かに戦争は起きる。戦士たちも死ぬ。だが、そこに『勇気』が、『意志』が無い。変わろうとする『気概』が無い。移りゆく時代の大波を、過去を焼き尽くす大火を、生き延びてやるっつう『闘志』が無い。だからオレは、この時代を愛さない」

「……そうか」

 

 キッパリと、テスカトリポカはそう言い切った。

 俺はそれが実に彼女らしいなと思ったが、何だか少し寂しくて、悲しかった。

 

「だが」

 

 ぽすん、と音を立てて、俺は柔らかい何かに突っ込んだ。

 俺が反射的にそこから離れようとすると、強い力でそれに押し付けられる。

 どうやら、いつの間にか俺の前に移動していたテスカトリポカが、俺を抱きしめているらしい。

 

「オマエは別だ」

 

 俺が大人しく力を抜いて彼女の胸に顔を埋ると、彼女の手にガシガシと頭を撫でられる。

 目線だけで上を向けば、彼女の金色の瞳と視線が交錯する。

 

「オマエには『勇気』も『意志』も、『気概』は勿論、『闘志』もある。それをオマエは『冒険』と言う形で示した」

 

 彼女の視線が、呑み込まれるような熱を帯びる。

 

「オマエが人のあるべきを示せ。オマエがこの時代を変えろ。出来るはずだ。このテスカトリポカが見初めたオマエなら」

「…………アンタがそう言うなら、ついでにやっておいてやる」

「それで良い。それでこそだ」

 

 ニヤリと笑って、テスカトリポカが牙を剥く。

 眉目秀麗なその顔にまるで似合わないようで、しかし不思議なほどに調和しているそれを、彼女はゆっくりと口を俺へと近づけ────

 

「はい、そこまで!」

 

 突然背後から響いた声に阻まれた。

 

「……あ?」

「ちょっとちょっと! ダメでしょ真っ昼間の往来でそんなイチャついちゃ! 青少年の健全な心が歪んでしまうわ! そう言うのはもっと、時と場合ってものを考えてするべきよ!」

 

 その喧しい声に当たりをつけ、テスカトリポカから離れて振り返ると、そこにいたのは俺が頭の中に思い描いた通りの彼女だった。

 

 ルビーのような真っ赤な髪に、パッチリと開かれた緑の瞳。

 剣を提げた腰に手を当ててこちらを指差すのは、正義の眷属【アストレア・ファミリア】が団長、レベル4冒険者、【紅の正花(スカーレット・ハーネル)】こと、アリーゼ・ローヴェルだ。

 

「……アストレアのガキか」

「ええ、そうよテスカトリポカ」

 

 テスカトリポカが忌々しげに嘯くと、アリーゼの後ろから一柱の女神がしずしずと現れた。

 栗色の髪を背中まで伸ばし、白いドレスをまとった彼女こそ、正しくアリーゼの主神。正義の神、アストレアであった。




テスカトリポカは女体化したポカニキ(FGO)を想像して下さい。
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