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乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 作者:三嶋 与夢

第六章

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鉄壁の守護

 王宮の屋上庭園。


 そこに連れてこられたアンジェは、クラリスを見るのだった。


「何の用だ?」


「アンジェリカ、あんたリオン君の体調をどう思っているの?」


「――しばらく休ませたい」


「無理よ。このまま次は国内で争うことになるわ。休んでいる暇なんて、私たちにはないのよ」


 外の問題が片付けば、次は内側の問題だ。


「リオンは王国の盾になる。逆らう勢力に睨みを利かせる」


「それで済むと思っているの?」


 アンジェは俯くのだった。


 それで終わるとは思えなかった。


 必ず馬鹿も出てくるだろうし、場合によっては王国を裏切り外国に寝返る勢力も出てくるだろう。


 そうした敵と戦い続ければ、リオンの精神が保たない。


「アンジェ、本当は黙っておくつもりだったけど、取って置きの方法を教えてあげるわ。もしかしたら、リオン君のメンタルを一気に強く出来るわよ」


 その情報にアンジェが飛び付く。


「――何が望みだ? 叶えられる望みなら、私は何だってするぞ」


「あまりがっつくと、足下を見られるわよ。――簡単な話よ」


 クラリスの話を聞いて、アンジェは「そ、それでいいのか!?」と驚くのだった。



 学生寮に戻ってきた俺は、机の引き出しを開けて首をかしげていた。


「あれ? おかしいな。ここにしまっていたのに」


『どうしました?』


「いや、薬がないんだ。見つからないから補充してくれ」


『嫌です。そもそも、私とクレアーレで全て回収しました』


「――おい、あれがないと寝付きが悪いんだから、さっさと出せよ」


 普段から薬の使用に口うるさいルクシオンだが、俺が疲れている時は黙って薬を用意してくれていた。


 だが、今日に限っては強く抵抗する。


『薬の使用は控えるべきです。一度、本格的に医療カプセルで治療を受けてください』


「今度の連休でいいだろ。というか、今度の連休もバタバタしそうだから無理かな?」


 クーデターは随分と呆気なく片付いたのだが、問題は事後処理だ。


 アンジェたちが手伝ってくれているが、俺も手を貸すべきなのだろう。


 ルクシオンが赤い一つ目で俺を見ている。


「何だよ?」


『――薬の代わりが到着しました。マスター、時に人肌が心を癒やしてくれるのをご存じでしょうか?』


「聞いたことはあるな」


 人肌が恋しくなることはあるよ。


 誰かに甘えられたら、どんなに幸せなことだろう。


 いっそアンジェやリビアにママって言って抱きつき――いや、ないな。


 自分で考えて、ちょっと引いた。


 やはり疲れているようだ。


『今夜はお楽しみですね!』


「おい、どうした?」


 急に声を大きくしたルクシオンは、ドアを開けると外に出ていく。


 代わりに部屋に入るのは、寝間着姿のアンジェとリビアだった。


「あれ? 二人とも、今日は一緒にお喋りでもしたいの?」


 以前にもこんなことがあった。


 どうせ寝られないなら、二人とゆっくり話をするのも悪くないだろう。


 お風呂上がりなのか、二人とも頬が少し赤かった。


 髪も少し湿っている。


 アンジェが俺を真っ直ぐに見ている。


「リオン、私たちはどうやら考えが甘かったようだ」


「え? 何か問題でもあったの? すぐにルクシオンとクレアーレに相談を――」


 ドアを閉めて鍵を閉めるリビアは、耳まで赤くしている。


「リオンさんの覚悟が出来るのを待っていましたけど、それだといつになるか分かりません。だから、私とアンジェで決めたんです」


 ――覚悟?


 いったい何のことだろうか?


 もしかして、王位云々のやつだろうか?


「王様になるように説得しに来たのか? なら遠慮する。今ですら辛いのに、これ以上の立場とかいらない。今だって、本気で逃げ出したいくらいで――え?」


 二人がゆっくりと俺に近付き、優しくベッドに押し倒すのだった。


「――え? えっ!?」


 リビアが寝間着のボタンを外した。


「アーレちゃんから色々と聞いてきました。お、男の人は、女性の胸が大好きだって」


 それは人による!


 いや、大好きだけど。大好きだけども!


 クレアーレの奴、リビアに何てことを教えているんだ! ――ありがとう。


 アンジェが俺の服を脱がせてくる。


「まったく、こっちはいつでも受け入れたというのに」


「――うぃ!?」


 変な声が出てしまった。


 え? もしかして、これってついに来たのか? 来ちゃったのか?


「ふ、二人とも落ち着くんだ!」


 だ、だが、俺は詳しいんだ。


 こういう展開になると、きっと邪魔が入るに決まっている。


 マリエとか、あの馬鹿五人とか! きっとこのタイミングで――。


 アンジェとリビアが、俺に顔を近付けてきた。


「もう何も考えるな」


「私たちに全部任せてください」


 ――嘘だろ。


 え、本当に誰も来ないの?


ルクシオン(● )『ここから先はマスターのプライバシーです』


クレアーレ(○ )『ここはノクターンじゃないの。小説家になろうなの!』


若木ちゃんΣ(゜Д゜;)「え? 嘘!? 今日はここでおしまいなの!? いつもはもっとあるじゃない!」


ルクシオン(●)『マスターのプライバシーは!』


クレアーレ(○)『我々が守ります!』


若木ちゃん(#゜Д゜)「ふざけんな! もっとも大事なところでしょうか! 見せなさい。あるんでしょう? 原稿はあるのよね!! 警告覚悟で掲載させなさいよ! 警告程度にビビって――」


( ●);y=ー( ゜д゜)・∵. ターン「けひょい!」


( ○);y=ー( ゜д゜)・∵. ターン「にはちゅめっ!」



ルクシオン( ●)『……』

クレアーレ( ○)『……』


ルクシオン(●)『……』

クレアーレ(○)『……』


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