Xの仕組みにつけ込んだ“インプレゾンビ”

イーロン・マスク氏のX(2023年8月)
「広告収入の分配を受けるにはXプレミアム会員である必要がある」

SNSのツイッターを買収し、Xと名称を変えたイーロン・マスク氏は2023年、実質有料プログラムを導入。いくつかの条件を満たした有料会員などは、閲覧数に応じて報酬がもらえることになったのです。

ところが、この仕組みにつけ込んだともいえる投稿が、今SNS上に次々と出てきているのです。それが「インプレゾンビ」です。例えば、あるニュースにつけられた投稿を見ると…

ジャーナリスト 古田大輔さん
「例えば、袴田さんの死刑求刑に関するツイート(投稿)で、不自然な投稿がある。『様子を見て様子を見るべきです』、日本語として不自然ですね。人気の一覧の投稿の中にあるから、インプレッション(表示回数)も自然と上がってしまう。こういうのを狙っているインプレゾンビではないかと」

インプレとはインプレッション、SNS上で投稿が表示された回数です。投稿が話題になればなるほど、回数は増加し利益につながるといいます。

こうした利益が目的で、SNS上に投稿などを繰り返すアカウントを「インプレゾンビ」と呼ぶのです。

関係のない動画で注目も…

2024年1月、能登半島で最大震度7を観測した大地震。地震当日、中東在住とみられる男性が「逃げて下さい」という文面とともに、この地震とは関係のない映像を投稿。表示回数は73万回を超えました。

ジャーナリスト 古田大輔さん
「これは明らかに東日本大震災の時の津波の映像。この文言(「逃げて下さい」)も実は、他の投稿をコピペして使っている。災害という非常に注目を集める事象が起こったときに、それに乗っかって自分にも注目が集められようとする」

偽・誤情報への対応は

また2023年8月、ハワイ・マウイ島で100人近くが犠牲になった大規模な山火事が発生した際には、警察当局はSNS上の偽情報の対応に追われたとしています。

こうした怪しい投稿がSNS上で出回ることについて、古田さんは…

ジャーナリスト 古田大輔さん
「表現の自由や言論の自由もあるわけで、何をしたらだめなのかということに関して、そんなに簡単に白黒つけていくということは非常に難しい。そういう時にどういうコンテンツがだめなのか、ルールを議論していく必要がある」

利益を目的として、過激な、あるいは無意味な投稿を次々と生み出す「アテンション・エコノミー」。それにどう対応していけばいいのでしょうか。

(「サンデーモーニング」2024年5月26日放送より)