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すず♪/ズリのみ

水やりちゃんの秘密

水やりちゃんの秘密 - すず♪/ズリのみの小説 - pixiv
水やりちゃんの秘密 - すず♪/ズリのみの小説 - pixiv
5,031文字
リーグ職員の目撃談
水やりちゃんの秘密
初めまして。
アオチリ沼にドボンして早数ヶ月、気づいたらn年ぶりに筆を取っていました…!
ぷらいべったーに上げたものと同じです。

*モブ視点。人間観察が趣味なリーグ職員ちゃんが語り部です。
*オモダカさんハッサクさんコルサさんポピーちゃん 名前だけ出ます
*途中から夢小説書いてんのかと思った

なんでもござれな方どうぞ!

アオチリ垢→@suzupkmn ズリのみ
仲良くしていただけると嬉しいです🙌
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1541872,859
2023年3月13日 15:18

朝一番でもコートがいらないくらい暖かくなってきた。
顔馴染みの守衛さんに挨拶して自動扉を通り抜ける。この時間に出勤する人は少ない。というか、ほぼいない。
出勤時間1時間前に来てリーグ中の観葉植物に水をやるのが私の日課。おはよう、今日も元気だね、お水あげるね!これは総務部事務課で一番最初に来た人がやることになってるけど、私は自分がやりたいから早く出勤してる。私以外の人はあんまりやりたがらないから、早く来る意味はないのかもしれないけど。なんせリーグ中だ、重労働すぎる。
なんでそんなに水やりがしたいかっていうと、植物が好きっていうのもあるけど、1番の理由は出勤してくる人たちを眺めるのが好きだから。趣味、人間観察。これ人に言うとイタいなって思われるかもしれないけど、みんなある程度好きでしょ?人のこと知りたくならない?

例えば、パルデアリーグにおけるトップチャンピオンのオモダカさんからは、いつも花の香りがする!それは、よく季節の花をもってきてくれるから。私の受け持ちである受付の花瓶にいつもある花は全部それ。ちなみに今は一昨日持って来られたミモザがメインの花束。いい匂い。あっ、花瓶の水も毎日私が替えてます。というか多分総務の(総務に限らず)みんな、私のこと植物係だと思ってるんじゃない?その証拠にオモダカさんに「水やり係の方」って呼ばれたことあるし。認知されてる、ひええ。まぁ植物のお世話は苦じゃないから良いけど。本部に異動になる前はボウルタウンのジム勤務だったし。

ボウルタウンといえば………先日、ハッサクさんの上着に結構べったりと油絵の具が付いていたことがあったっけ。それも朝一番のことだったからびっくりしちゃって!あわてて声をかけたらハッサクさんご本人もびっくりしてたなぁ…。「昨日はコルさんのアトリエに泊まっていたのですよ、気付かずここまで来てしまいましたです」だなんて恥ずかしそうに言うもんだから、ほっぺたの筋肉がゆるゆるになっちゃった。コルサさんとハッサクさんが仲良しなのは有名だし、ボウルジム勤務の時もよくハッサクさんが顔出しに来てたから知ってる。あの2人のやりとり、面白いんだよねぇ。それで後日、ハッサクさんから「先日のお礼です」だなんてコルサさんのアートを頂いてしまった。お礼もらうようなことじゃないんだけどな…。ていうか家に腐るほどあるんだけどコルサさんの作品!ボウル勤務の頃頻繁にバラまかれてたやつが!!

リーグの四天王室にもコルサさんのアートが沢山飾ってあるのを知っている。ハッサクさんが定期的に持ってくるからだろうとは思うけど、同じく四天王のポピーさん(ちっちゃい、かわいい、超お利口だしかしこい)のごっこ遊びに役立ってるらしい。この前ポピーさんとチリさんがそうお話しされているのが聞こえた。

チリさん!そう、私の推し、チリさんの話をしてもいい?まぁダメって言われてもしますけど。
あの艶のある長髪、人を惹きつける笑顔、吸い込まれるような紅瞳。ボール投げる時にくるってするところ。まいど〜ってみんなの前で笑っていたかと思ったら、人の居ない廊下に来た瞬間にスンってまじめな顔になるところ。でもちゃんと仕事(水やり)中の私に気づくとご苦労様です〜、って声かけてくれる。通りすがるとふわりと香る、爽やかで軽い、凛とした匂い。
以前ジム勤務だった時もチリさんは見かけてたけど、カッコいい女性だな〜くらいで特に興味も無かった。なのに本部で働くようになってから、その魅力に気づいてしまって……実はここだけの話、ファンクラブも入っている。会員No.1104。チリさんが広報を務めるようになってからは爆発的に人気が出たので、会員番号1000番台ってのはちょっと自慢!
チリさんを朝から見られたら(あわよくばご挨拶できたら、もっとあわよくばお話しできたら)今日もお仕事頑張れる。そんなちょっぴり下心から、私は今日も1時間かけてリーグ中を歩き回ります。

あ、そういえば。先日四天王のアオキさんから、葉ダニ用の薬剤のサンプルを頂いたんだった。なんでも、営業先で頂いたんだとかで、わざわざ総務部まで届けてくださったらしいんです。その時私は外出中だったので上司が受け取ったんだけど、「植物にいつも水やりしてくださってる方に…」って言われたらしいから、私アオキさんにも認知されてるみたい。怖い。リーグの有名人たちから知られてるの怖い。

「おはようございます。いつもご苦労様です」

後ろから声をかけられて、思わず身体が跳ねる。聞き覚えのある声に振り返ると、声の主は想像していた人物だった。

「おッ、はようございます…アオキさん、先日あの、薬、葉ダニの薬、ありがとうございました頂きました」
「ああ、ちゃんと受け渡ったみたいで良かったです。なにぶんあなたのお名前を存じ上げなかったので少し不安でした」

突然声を掛けられてしまって、思うように言葉が出て来ないのが悔やまれる。何せ私はコミュ障オタク。
いえいえそんな、だとか言って、お疲れ様です、と会話を終わらせる。すれ違ったアオキさんからは、馴染みの深い香りがした。あー、チリさんってメンズの香水使ってらっしゃるんだなぁ。アオキさんがレディース香水使ってるんでなければだけど、あの人に限ってそれはないだろうと思う。いや私アオキさんのこと何も知らないけど、レディース香水使う男の人があんまりいないことだけはわかる。でも、被るくらいだから有名どころの香水なんだろうな〜、今度お店で調べてみようかな?

「おはよーさん〜」

考え込みながらエレベーターホールまで歩き、そこで水やりをしていると、出勤してきたチリさんから挨拶された!これまた驚きで身体が飛び跳ねてしまう。そして私のテンションメーターはぎゅいーんと跳ね上がる!

「チリさん!おはようございます!」
「いつも朝からご苦労様やなぁ、自分色んなとこで見るけど全部に1人で水やりしとるん?」
「ひっ!そうです、総務で一番最初に来た人の仕事なんです!」

突然始まった推しとの会話に、悲鳴みたいな声が出てしまった。心臓がついていかない。多分1秒に3回くらい鼓動を打っている。
大変やないつもおおきにな〜と笑顔を向けられ、チリさんと別れてから私はその場にヘナヘナと座り込んでしまった。突然のファンサ、やっぱりとは思ったけど推しからの認知。嬉しくないわけがない。今日のお仕事頑張れそう。いや、やっぱり身が入らなさそう。あー!チリさんいい匂いがしたー!

◇◇◇

「ねぇドレディアちゃん、あなたはどれがいいと思う?」
ラナンキュラスがそろそろおしまいの季節かな?スイートピーもあと1回くらいリピートしたいなぁ。あぁ、カーネーションが新しく入ってきてる!
休日。私はテーブルシティの花屋で自宅に飾る花を探していた。この花屋さんには毎週来る。自分で言うのもなんだけど常連なので、いつも少しおまけをしてくれる。
自分の手持ちのピンクのドレディアちゃん(色違いだ)と一緒に店内を物色していると、後ろから肩をトントンと叩かれた。いつもの店員さんかな?と振り返ると、

「ヒッ………!!!」
「自分驚きすぎやん!チリちゃん妖怪とちゃうで〜」

またもや飛び跳ねて驚いてしまった私を見てケタケタと笑う推しの姿がそこにあった。なんで!?

「チっ、チリさん、どうしてここに!?」
「いやこっちもおんなじ台詞やわ〜!机の上が寂しゅうて、ほな花でも買いにいこか〜思って来たら、水やりちゃんおんのやもん。声かけたろ〜思って」

仕事中に推しと関わるのは、業務上仕方ない。でも、プライベートで推しと会うのは…なんというか…他のファンの皆さんに申し訳ない気持ちが迫り上がってくる。裏切ってる感。認知されているだけでも大変申し訳ないと思っているのに。

「なんや自分、表情固いで〜。チリちゃんのこと苦手?」
「いや、決して苦手ではないんですけど…っ!なんというか!チリさんとお話ししてるところ見られたら刺されそうで…!」

私の言葉を聞いて目をぱちくりさせたチリさんは、今度は声を抑えてぶくくく…と笑い出した。ほんならチリちゃんおるのバレんように話さなかんな?、と唇に人差し指を当てて言われる。何この特大ファンサ。私今日死ぬのかな?
小声で話すために距離を詰められる。近い近い近い!と思った瞬間、いつもとは違う香りが鼻を抜けた。

「あれ?チリさん、いつもと香水が違う…」

思っていたことがそのまま口から出ていたようで、気づいた時にバッと口に手を当てるも、時すでに遅し。やばい。これ多分、普段からチリさんの匂い嗅いでるのバレた。

「なんや自分鼻効くんか、ほんとおもろいな、正解やわ。休みの日は変えてんねん」
「変態チックですみません…!」
「そんな鼻が効く水やりちゃんに聞きたいんやけど、ええ匂いでオススメの花ある?」

チリさんに揶揄われてしまって、顔が沸騰するように熱い。それを聞くべきは店員さんでは?と思うけれど、幸い私に花の知識が無いわけではないので、素直に答えることにした。

「いい匂い、ですか?最近の切花って匂いが少ないように改良されてるので何とも…あぁでも比較的香りが強い切花だと、定番はバラとか百合とか…旬のお花でしたらスイートピーやフリージアとか…」
「そうなんや、うーん、悩むなぁ…てかなんや自分、旬の花とかえらい詳しいやん」
「実家がガラル地方で花屋を営んでまして…」
「ほんでか!じゃあ自分、チリちゃんに花選んでくれへん!?いい匂いじゃなくてもええわ」

チリさんにキラキラした瞳でそう頼まれてしまったら、断れるわけがない。私は悩みに悩んで、ガーベラを選んだ。私が悩んでいる間チリさんは私のドレディアちゃんとお喋りしていた。

「ガーベラか」
「はい、色によって花言葉が違うんですが、『究極美』とか『崇高の美』とかがあって…。それがチリさんらしいな、と…」
「ふ、なはは、そりゃチリちゃんにピッタリやわ!」

喜んでもらえて良かった。どうせなら自分もガーベラにしてしまおう、と店員さんを呼び、私とチリさんは色とりどりのガーベラを選ぶ。いつもの店員さんにやっぱりちょっと添え花におまけをしてもらい、お会計を…と思ったら、すでにチリさんによって支払われていた!驚きお礼を言うと、「ほなまた明日〜」とチリさんは笑顔で去っていった。

「ドドドドレディアちゃん、どうしよう、チリさんに奢られちゃった…」

ぴきゅきゅ、きゅい〜と私の相棒は笑顔で返事をした。


◇◇◇

休み明けはやっぱり仕事にやる気は起きないけれど、また明日、と推しに言われてしまっては出勤せざるを得ない。そうじゃなくても出勤するけど。社会人ってかなしいな。
いつも通り植物に水をやっていく。おはよう、元気?枯れてない?昨日はお休みだったから、たっぷりお水をあげていく。
自販機横の鉢の水やりをしていた時、おはようございます、と声をかけて来たのはアオキさんだった。
「アオキさん、おはようございます!あれ?」
アオキさんの片手に握りしめられたそれに目が行く。
「あぁ、人から頂いたんですが、うちにあっても勿体無いなと感じまして。せっかくなので執務室にでも飾ろうかと」
新聞紙に包まれたそれ。これが入るサイズの花瓶ってありますかね?とアオキさんに見せられたのは、包装こそ違えど私が選んだ花で、
「ッ!?ア、あると思います、受付に。あとでお届ケしますネ!」
思わず変なところから声が出てしまった。
あれを買っていったのはチリさんで、でも今持っているのはアオキさんで、チリさんは卓上に飾りたいと言っていなかったか?でもアオキさんはプレゼントだと、
お願いしますね、と去っていったアオキさんからふわりと香ったのは、私が昨日花屋で嗅いだ香水と同じ香りで、
え、え?…え?

混乱していると、肩をポンっと叩かれた。私の身体はぴょこりと飛び跳ねる。何回目だ。私はミミロルか。
「おはよーさん、水やりちゃん」
「あ、はえ、あの、チリさん、今あおきさんが、がーべら、香水…え?」

一瞬目を見開いたチリさんはすぐに笑うと、人差し指を唇に当て、内緒やで、とウインクした。

「バレたの、水やりちゃんが初めてや」

水やりちゃんの秘密
初めまして。
アオチリ沼にドボンして早数ヶ月、気づいたらn年ぶりに筆を取っていました…!
ぷらいべったーに上げたものと同じです。

*モブ視点。人間観察が趣味なリーグ職員ちゃんが語り部です。
*オモダカさんハッサクさんコルサさんポピーちゃん 名前だけ出ます
*途中から夢小説書いてんのかと思った

なんでもござれな方どうぞ!

アオチリ垢→@suzupkmn ズリのみ
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2023年3月13日 15:18
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