「サントリー天然水 1L」はなぜ“細く”なったのか? ぽっちゃりにサヨナラした理由火曜日に「へえ」な話(1/4 ページ)

» 2024年05月28日 05時30分 公開
[土肥義則ITmedia]

 「えっ、水を買うの? タダで飲めるのに、買うのはもったいないなあ」――。多くの人が一度は耳にしたことがあるかもしれないが、こうしたフレーズは”死語”になりつつあるようだ。決して適当なことを言っているわけではなく、このことはデータが示している。

 ミネラルウオーター市場が伸びに伸びているのだ。国民1人当たりの年間消費量を見ると、2023年は40.2リットルで、5年前と比べると8.5リットルも増加している(日本ミネラルウォーター協会調べ)。国産の生産数量も前年を大きく上回っていて、4連続で過去最高を記録しているのだ。

ミネラルウオーター市場が伸びている(出典:日本ミネラルウォーター協会調べ)
国民1人当たりの年間消費量も増加(出典:日本ミネラルウォーター協会調べ)

 このような数字を目にすると「ピークでしょ。もうこれ以上は伸びないのでは?」と思うかもしれないが、個人的には「まだまだ」だと感じている。1人当たりの年間消費量を欧米の国と比べると、2~3倍の開きがある。ということは、まだ「水はタダで飲めるので、買うのはもったいない」といった人が多いのかもしれないし、水ではなく他の清涼飲料水を飲んでいる人も多いのかもしれない。

(画像提供:ゲッティイメージズ)

 それにしても、なぜこれほどミネラルウオーターを飲む人が増えているのか。理由は3つあって、1つめは健康意識の高まりである。糖分やカフェインの少ない飲料を好む傾向があって、こまめな水分補給を心がける人が増えていることが大きい。

 2つめは、災害時の備蓄需要である。2011年の東日本大震災以降、地震や豪雨の災害が続いていることもあって、ミネラルウオーターの備蓄が進んでいる。

 3つめは、猛暑である。かつて数年に一度「今年は冷夏」と言われていたこともあったが、これも“死語”になったのかもしれない。そう感じられるほど、夏がとにかく暑い。35度以上の猛暑日が増えたことによって、「カバンの中に常に水が入っている」「水を持っていないと不安」といった人も増えていそうだ。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.