タワマンで女性刺殺の容疑者　ストーカー規制法違反で2年前に摘発

　知人女性を刃物で刺して殺害しようとしたとして、警視庁新宿署は8日、川崎市川崎区大島5の職業不詳、和久井学容疑者（51）を殺人未遂容疑で逮捕した。女性は搬送先の病院で死亡しており、警視庁は殺人容疑に切り替えて調べる。警視庁によると、和久井容疑者は2022年5月に、この女性に対するストーカー規制法違反で摘発されていた。

　逮捕容疑は8日午前3時10分ごろ、東京都新宿区西新宿5のタワーマンションの中庭で、住人の無職、平沢俊乃さん（25）の腹や首など数カ所を果物ナイフで刺し、殺害しようとしたとしている。

　騒ぎを目撃した人からの110番で駆けつけた警察官が、現場で和久井容疑者を見つけ、現行犯逮捕。果物ナイフ2本を押収した。

　警視庁によると、和久井容疑者は4年ほど前に、平沢さんの経営する飲食店に客として訪れ、知り合った。21年12月には、平沢さんが警視庁に、和久井容疑者について「店の客にしつこく言い寄られていて、自宅の前で待ち伏せされている」と相談。翌1月、警視庁が和久井容疑者を呼び出して口頭で注意すると、つきまとい行為は一時なくなったという。

　しかし、22年4月に平沢さんから、「自宅の前で待ち伏せされている」と再び相談があった。警視庁はストーカー規制法に基づき警告。それでもつきまといが止まらなかったため、警視庁は5月25日にストーカー規制法違反の疑いで逮捕。その後、処分保留で釈放されていた。

　和久井容疑者には釈放された日に禁止命令が出された。それから、つきまといは確認されず、平沢さんからも延長の希望がなかったため、期限の1年で解除となった。警視庁が平沢さんと最後に面談したのは23年7月で、和久井容疑者に関する相談はなく、その後も連絡はなかった。

　和久井容疑者は逮捕後、「1000万円以上払っており、金を返してもらうつもりだった。体を傷だらけにしてやろうと思って刺した」と容疑を認めているという。

　和久井容疑者は前日の7日夜からマンション付近で待ち伏せし、平沢さんがコンビニエンスストアに買い物に行った帰りを襲ったとみられる。平沢さんは背中などにも多数の刺し傷があり、警視庁は強い殺意があったとみている。【岩崎歩、森田采花、朝比奈由佳】