人を人として見る、人を物として見る
今日は、自分がどんな目的でそんな行動をしているのか、
よく考えた方がいいよっていう、お話をしたいと思います。
アドラー心理学に
「人を人として見る、人を物として見る」
という視点があります。
人を物として見るというのは、
目の前の人を「利用できる物」という目で見ることです。
人を物として見ていると、おのずと関係性はタテになります。
タテの関係でいるから、
物として見るようになってしまうのかもしれません。
一方、人を人として見るとフェアに向き合うことができ、
関係性はヨコのものへとなっていくでしょう。
ここで、人を人として見ることと物として見ることの違いを、
具体的に説明してみます。
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若いカップルが、
電車のシルバーシートに座っているシーンを
イメージしてみてください。
そこへ、おばあさんがやってきました。
カップルの男性がさっと立ち上がり、
おばあさんに席を譲りました。
素晴らしい行動です。
では、これは、おばあさんを人として見た行動なのでしょうか?
それとも、物として見た上での行動なのでしょうか?
「それは人として見た行為でしょ」とおっしゃる方は多いと思います。
実は、答えはその男性の目的にあります。
「こんな揺れる電車の中で、おばあさんを立たせておくことはできない」
というような思いから、
その男性が席を譲った場合は、おばあさんを人として見た行動です。
一方、横の女性にいいところを見せようという
意図だけで席を譲ったのなら、
これはおばあさんを
「自分が恰好つけるために使える物」
として見た行動なのです。
行動としては一見同じですが、中身は大違い。
これは、相手に対する敬意や承認がない状態で、 おばあさんを自分のために利用しているだけなのです。
では、後者の男性が1人でシルバーシートに座っていて、
目の前におばあさんが来た場合、
今度はどういう行動を取るでしょうか?
状況が違えば、その人の目的と
中身の違いが表れてくるかもしれないのです。
■ すべては傾聴から始まる
ヨコの関係を習慣化していくために、
最も有効なのは傾聴の習慣を身に付けることです。
ビジネスやプライベートなど、
多くの場面で傾聴がちゃんとできれば、
それはヨコの関係が習慣化されている
と言って過言ではないでしょう。
逆にタテの関係の人は、
おのずと本質的な傾聴ができていない状態になります。
たとえば、PCの作業やスマホの操作をしながら
部下の話を聞くような習慣がある人は、
この辺りから見直してみることをお勧めします。
傾聴はとても重要なことです。
こちらの話をちゃんと聞いてくれようとしない人に、
大事なことを進んで話したくなる人はいないからです。
「傾聴なら知ってるよ!会社の研修でもやったし」
という方がいるかもしれません。
そんな場合、チェックしていただきたいのが、
それが「知っている」というレベルなのか、
「できる」というレベルなのか、
それとも「常にやっている」というレベルなのかという点です。
傾聴は、
多くの人がわかったような気になっているけど、
実際には実践できていないことの1つです。
形式的に笑顔でうなずいて、
相槌を打っていれば良いというものではありません。
相手をすぐに評価したり、
偏見や決めつけを持って話を聞いたりしないことに、
気をつける必要があります。
■ 自分モードと相手モード
傾聴において大切なことは、
「相手モードで聞く」ということです。
逆に自分モードとは、どういうことでしょう。
たとえば、
「この人は〇〇に決まっている」
「〇〇なくせに何を言っている」
などと決めつけながら聞く。
相手の話を話半分に聞きながら、次に何を話そうか考えている。
このように相手の話を聞きながらも、
意識は自分自身のことにいっている状態が自分モード。
「人を人として見る」ことに繋がる第一歩が、相手モードで傾聴すること。
相手モードは、
相手が話していることに意識が集中している状態です。
つまり、相手がどうしてそう思うのか、
どうしてそう感じるのかということについて、
積極的に理解しようとする姿勢があることです。
私自身、忙しいタイミングで話しかけられると、
「えっ、何!(面倒くさそうに)」
「PC操作しながら」
「腕組みしたまま」
こんな対応をしてしまったことがあります。
振り返ると完全に自分の都合ですよね。
私が相手の立場だったら、
次からは話しかけにくいという印象になります。
自分の行動を第3の目で遠くから見ることも、
時には必要なことだと感じました。
♯アドラー心理学 ♯傾聴 ♯相手モードで聴く
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