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食品のサンプリング Q&A |
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1.分析値の誤差を小さくするにはどうすれば良いですか。 |
はじめに分析値の誤差とは、サンプルを分析することにより得られる最終的な測定値と定義します。
分析値の誤差を発生原因に分けると、サンプリング誤差、サンプル調製誤差(粉砕により発生する誤差)、分析誤差(粉砕以降の分析により発生する誤差)の3つに分けられます。つまり、分析値は、これら3つの原因によりばらつきます。
そこで、分析値の誤差を小さくするには、まず3つの誤差要因の大きさを把握する必要があります。次に大きな誤差要因から改善します。サンプリング誤差は、サンプル数を増やす、1サンプルの量を増やす、縮分器を使用することなどにより小さくできます。サンプル調製誤差は、メッシュを細かくして粉砕粒度を小さくする、縮分器を使用するなどにより小さくできます。分析誤差は、精度の良い分析法を採用する、熟練したオペレータに分析してもらうなどにより小さくできます。
例えば、アフラトキシンの分析では、3つの誤差要因の中でサンプリング誤差が最も大きいため、1ロットの情報を正確に知るためには、そのロットからサンプリングするサンプル量を増やすのが有効です。実態調査のようにロット毎の分布を知ることが目的の場合には調査するロット数(サンプル数)を増やすのが有効です。小麦のデオキシニバレノール(DON、赤かび病)の分析では、3つの誤差要因の中でサンプル調製誤差が最も大きいので、粉砕粒度を小さくするとか縮分器を使用するのが有効です。
Codexなどの規格に調査対象物質に関するサンプル数の規程がないか調べます。規程があれば参考にしてサンプル数を決定します。
参考になる規程がない場合は、予算内で理論的サンプル数のサンプルを分析可能か検討します。可能ならば理論的サンプル数を参考にしてサンプル数を決定します。
予算の制約からサンプル数を減らす必要がある場合は、結果に必要な精度を下げるか(例えば±10%の精度から±20%の精度に変更、または99%信頼区間を95%信頼区間に変更)、または母集団の分散を小さくするしかありません。安全性に関わるような場合は、結果に必要な精度を下げることはできないでしょうから、分析値の誤差を小さくするしか方法がありません。分析値の誤差を小さくするには1.で説明しました3つの誤差要因の中の大きな要因から改善すると効果的です。
3.予備調査や類似調査がサンプリング計画に重要なのはなぜですか。 |
サンプリングの目的は母集団の情報を得ることです。しかし、サンプリング計画を立てるには、理論的サンプル数を計算するときに母集団の分散の値が必要になります。つまり、母集団の情報を得る前に母集団の情報(分散)が必要なわけで困ってしまいます。そこで、母集団の分散を推測するために予備調査の結果を利用します。もし、類似調査が実施されていて、これから調査する母集団の分散に関する情報があればサンプリング計画に活用でき非常に役立ちます。
母集団の分散について1.で説明しまた3つの誤差要因毎の大きさが濃度によりどのように変化するかという情報と母集団の分布の形に関する情報があれば、サンプリング計画の善し悪しをシミュレーションによりOC曲線を作成して評価することが可能になります。このような情報を得るには通常1,000点以上のサンプルの分析値が必要です。アフラトキシン、デオキシニバレノール(DON)については報告があり、この他についても文献調査をしてみると良いでしょう。
4.サンプリング計画の善し悪しはどのように評価しますか。 |
一つの評価指標として、調査により得られる分析値のばらつきが目標精度以内に入るかどうかがあります。
OC(Operating Characteristic)曲線を用いて評価する場合には、生産者危険、消費者危険が目標確率以内に入るかどうかも評価指標になります。
別の指標としては、調査のコスト、時間が予算や期限を満足するかどうかがあります。
必要な精度を確保した上で、コストと時間が最小のサンプリング計画が一般的に良い計画です。
例えば、デオキシニバレノール(DON、赤かび病)の調査を行う場合を考えてみます。
麦全体の調査をする場合、小麦、大麦など麦の全種類が調査の母集団になります。麦の種類により発生状況が異なるようならば、麦の種類を層とみなした層別サンプリングが有効かもしれません。この場合、各層のサンプル数は、全サンプル数を生産量に従って比例配分して決めます。したがって、麦の種類によりサンプル数が異なり、小麦のサンプル数が一番多くなります。発生状況に麦の種類による差がないならば、単純ランダムサンプリングや多段サンプリングに代わりますが、麦の種類によりサンプル数が異なるのは同じです(麦全体からランダムにサンプリングしたら生産量の多い麦に当たる確率が高くなるため)。このような調査結果から、麦の種類毎の結果もまとめるのは問題があります。それは、麦の種類によりサンプル数が異なるということは、得られる結果の精度が異なるからです。
調査結果に必要な精度が麦の種類によらず同じであり、麦の種類毎に結果をまとめるならば、小麦、大麦など麦の種類毎に母集団を設定します。そして、必要な精度を満たすように各麦から同数のサンプルをサンプリングします。
次に、調査対象は麦の生産地全体なのか被害発生地域だけなのか調査目的を明確にします。麦産地全体での発生状況を調べることが目的ならば、生産地全体を母集団にしてサンプリングします。被害発生地域だけの調査が目的ならば、被害発生地域を母集団にしてサンプリングします。生産地全体と被害発生地域では、デオキシニバレノールの濃度分布が当然異なります。どちらの分布を知りたいのか明確にしておく必要があります。 このように調査目的により母集団が変わりますので、調査目的、母集団を明確にすることが調査を成功させるためには大切です。
6.サンプリング方法にはどのような種類がありますか。 |
母集団からサンプルをランダムに抜き取るランダムサンプリングとして、単純ランダムサンプリング、2段サンプリング、多段サンプリング、層別サンプリング、集落サンプリングがあります。
母集団からサンプルをランダムに抜き取らないサンプリング方法として、一定時間毎とか一定距離毎にサンプリングする系統サンプリングがあります。
3段以上に分けてサンプリングすることです。各段からのサンプリング数を最適化するには、段毎のサンプリング誤差とコストの情報が必要です。
実際の調査では多段サンプリングになることが多いでしょう。
例えば、産地判別のテストサンプルを集める場合を考えてみましょう。各産地を代表するサンプルをどのように集めるでしょうか。産地が都道府県単位の広さの場合、まず県内にある農協または地区の中から産地を選択します。次に選択した農協又は地区から農家を選択します。次に農家の中から調査する圃場またはハウスなどを選択します。圃場やハウスが広ければ、これらを更にブロックに分けてブロックを選択します。次にブロックからサンプルを選択します。このように何段にも分けてサンプルを集めることがあります。
母集団のサンプリング単位が何らかの順序に並んでいるときに、一定の間隔でサンプリングすることです。最初のサンプルはランダムにサンプリングし、それ以降は一定間隔でサンプリングします。
調査する特性値がサンプリング単位の順序と独立な場合は、ランダムサンプリングとして扱います。
調査する特性値が周期的に変化し、その周期がサンプリングする間隔と一致してしまうと、サンプルの分析値のばらつきは実際よりも小さく見積もられてしまいます。
例えば、工場の生産ラインから一定時間毎にサンプリングする場合、トラックから倉庫内に荷をコンベアで運び込むときに一定時間毎にサンプリングする場合、圃場の農産物を一定間隔毎にサンプリングする場合などが系統サンプリングになります。
9.サンプリング数を決めるときに、調査実施者がまず決めるべきことは何ですか。 |
サンプリング数により調査結果の精度が決まります。そこで、まず初めに結果に必要な精度を決めます。
例えば、サンプルの分析値の平均値(これが母集団の平均値の推定値)がばらつくと予想される範囲(信頼区間)を安全基準値の±10%にするのか、±20%にするのかを決めます。このとき、信頼区間を95%信頼区間にするのか99%信頼区間にするのかも決めます。
次に理論的サンプリング数を計算し、予算や調査期間など実行上の制約条件を考慮して、実際のサンプリング数を決めます。実際のサンプリング数が理論的サンプリング数よりも少なくなる場合は、調査結果の精度が悪くなることを意味しますので、その精度が許容できる大きさかどうか検討します。
10.赤かび病の実態調査をするのに、裸・大麦の生産量は小麦の生産量の1/4なので、裸・大麦のサンプル数は小麦の1/4にしました。何か問題はありますか。 |
小麦と裸・大麦を合計した麦全体の赤かび病の平均濃度や濃度分布を知りたく、小麦と裸・大麦で赤かび病の発生程度に違いがあるようならば、このサンプリング方法は層別サンプリングと考えられ妥当です。
赤かび病の平均濃度や濃度分布を小麦と裸・大麦で別々に知りたいならば、サンプル数の違いは結果の精度の違いを意味するので問題があります。裸・大麦の結果が小麦の結果よりも精度が悪くても良いのか検討が必要です。この場合、調査の母集団は小麦の母集団と裸・大麦の母集団と二つになります。母集団の大きさの比率とサンプル数の比率が等しいサンプリング法をパーセントサンプリングといいます。パーセントサンプリングは母集団の大きさにより調査の精度が変化するので好ましくありません。
11.倉庫内に積み上げられた袋入りの試料の山から、サンプリングする位置がばらけるように検査官が意識して、適当に10カ所からサンプリングしました。何か問題はありますか。 |
このようなサンプリングを有意サンプリングといいます。ランダムサンプリングではないため、サンプルが母集団を代表している保証がありません。乱数を用いたランダムサンプリングに少しでも近づくようにサンプリング方法を改善する必要があります。
12.倉庫内に積み上げられた袋入りの試料の山から、最初の袋を適当にサンプリングし、そこから5袋とか10袋おきにサンプリングしました。何か問題はありますか。 |
このようなサンプリングを系統サンプリングといいます。母集団の特性の変化がランダムな場合は、ランダムサンプリングと同じことになります。もし、サンプリング間隔とサンプル特性の変動周期が一致した場合、実際よりも測定値のばらつきを小さく見積もることになります。母集団の特性が大きな周期で変動する場合は系統サンプリングの方がランダムサンプリングよりも精度が良くなることがあります。母集団の特性の変化がランダムとみなせるかどうか、特性の変化に周期はないかどうか検討する必要があります。
13.倉庫内に積み上げられた袋入りの試料の山の中でアクセス可能な範囲をいくつかの等しい大きさのブロックに分けました。乱数表を使ってランダムに10ブロックを選択し、選択したブロック毎に試料袋に通し番号を付け、乱数表を使って各ブロックから1袋をサンプリングしました。何か問題はありますか。 |
このようなサンプリングを2段サンプリングといいます。ランダムサンプリングの中の1つの方法であり、問題ありません。
14.倉庫内に積み上げられた袋入りの試料の山の中でアクセスしやすい範囲の中から、100袋を選び、各袋に通し番号を付けました。そして、乱数表を使って100袋から10袋をサンプリングしました。何か問題はありますか。 |
このサンプリングでは、最初に選んだ100袋のサンプリング方法が不明なため、母集団を代表している保証がありません。また、サンプリングが困難な場所は除くにしてもサンプリング範囲はできるだけ広くとる方が良いでしょう。
15.落花生のアフラトキシン(発ガン性のあるかび毒の1種)の場合、サンプリング誤差、サンプル調製誤差、分析誤差の大きさの順番はどうなりますか。 |
サンプリング誤差>サンプル調製誤差>分析誤差の順番になります。
アフラトキシンB1、B2、G1、G2の4種類の総量20ppbでは、サンプリング誤差が全体の誤差の70~90%程度で、残りのうち約2/3
がサンプル調製誤差、約1/3が分析誤差です。20ppbよりも低濃度ではさらにサンプリング誤差の割合が高くなります。つまり、サンプリングが分析値のばらつきの大きさに与える影響が非常に大きいと言えます。落花生のアフラトキシン汚染は一粒単位の汚染であり、さらに汚染された粒の数が少ない(1万粒に数粒程度)ため、どこからサンプリングしたのかにより結果が大きく異なることになります。
注)落花生について
CodexではアフラトキシンB1、B2、G1、G2の4種類の総量15ppbが規制値。 日本では4種類の中で最も危険なB1 について規制値を定めていて10ppb
(B1 と総量の換算式によると総量16ppbに相当)。
16.サンプリング誤差が測定誤差全体に占める割合が、アフラトキシン(70~90%)とデオキシニバレノール(DON)(20%)で大きく異なる理由は何ですか。 |
かび毒を作り出す菌が植物病原性(植物に感染して病気を起こさせる能力)を持つかどうかにより、汚染の広がり方に違いが出るのが主な理由です。
アフラトキシンはアスペルギルス属の菌が作り出すかび毒です。この菌は植物病原性がないか弱いため、圃場一面に汚染が広がるようなことはありません。例えばトウモロコシでは、虫がかじった粒だけ、又は風で飛んできた砂などが当たって傷ついた粒だけに菌が付着して汚染され、まわりの粒は汚染されません。汚染は1万粒に数粒程度と少ないため、サンプリング(トウモロコシ1kgが約3000粒)によるばらつきが非常に大きくなります。
一方、DONはフザリウム属の菌が作り出すかび毒で、この菌は植物病原性をもちます。そこで、圃場一面が赤かびで真っ赤になるようなことが発生します。つまり汚染の広がりが圃場の面積単位になるため、サンプリング(小麦1kgが約30000粒)によるばらつきがアフラトキシンの粒単位の汚染よりも小さくなります。
測定誤差全体の大きさもDON(小麦のDON 5ppmでの変動係数が13%)の方がアフラトキシン(落花生のアフラトキシン20ppbでの変動係数が170%)よりもはるかに小さいです。
サンプリング誤差はサンプル数nが増えると小さくなるので、同じ重量ならば粒数の多い方がサンプリング誤差が小さくなります。小麦はアフラトキシンが問題になる落花生、トウモロコシなどよりも重量当たりの粒数が多いためサンプリング誤差が小さくなります。
17.サンプリング計画を立ててから報告書をまとめるまでにどの程度時間がかかりますか。 |
その年の汚染状況を知る必要がある場合には、収穫が開始されてから6ヶ月以内に報告しないとかび毒の実態調査は意味がありません。汚染されたロットは保留されますが、汚染されていないロットは調査している間にもどんどん消費されていくので、汚染されていないロットのサンプリングが収穫から時間が経つほど難しくなります。
18.アフラトキシン汚染の程度がアメリカで低く、東南アジアで高い理由は何ですか。 |
かびは湿度16~22%でよく繁殖します。湿度15%以下でかびは抑制され、22%超えるとバクテリアが繁殖するようになり、かびは抑制されます。そこで、かび毒汚染を低くするには、湿度16~22%の環境を避ける必要があります。東南アジアは湿度が高いし、収穫後の乾燥が天日干しのため2~3日かかります。そのため、圃場でのアフラトキシン汚染の程度が低くても、乾燥過程でかびが繁殖しやすく、汚染程度が高くなってしまいます。一方、アメリカは東南アジアより湿度が低いし、機械乾燥のため湿度16~22%の時間が短く、乾燥過程でかびが増えることはありません。したがって、アメリカでは圃場でアフラトキシン汚染の程度が決まりますが、それも東南アジアより低いレベルです。
フラトキシン(発ガン性有)、オクラトキシンA(発ガン性有)、フモニシン(発ガン性?)、パツリン(発ガン性?)、デオキシニバレノール(DON)(発ガン性無)、ゼアラレノン(発ガン性無)がCodexで取り上げられています(ゼアラレノンは飼料のかび毒として)。ニバレノール(発ガン性無)は日本で問題になることがあります。
注)これら以外にも食品や飼料で問題になるかび毒は存在します。
フモニシン、ゼアラレノン、又はニバレノールを作り出す菌は植物病原性をもつため、DONのようにサンプリング誤差は小さくなります。パツリンはりんごの芯の部分に繁殖する菌が作り出し、りんご1個単位での汚染です。パツリン調査のために、りんごをサンプリングする場合には、アフラトキシンのようにサンプリング誤差が大きくなります。しかし、パツリンが実際に問題になっているのはりんごジュースです。りんごジュースからサンプリングする場合は、パツリンのサンプリング誤差は非常に小さくなります。オクラトキシンAを作り出す菌はいろいろあるため、サンプリング誤差はアフラトキシンのように大きくなる場合とDONのように小さくなる場合があります。また、オクラトキシンAが飲料で問題になる場合、りんごジュースにおけるパツリンのようにサンプリング誤差は非常に小さくなります。
20.1日に分析可能なサンプル数はどのくらいですか。 |
分析で時間がかかるのは、サンプルを分析機器で測定できる状態にするための前処理です。機器測定はオートサンプラを付けて24時間体制で稼働可能ですが、前処理は人手がかかります。
前処理の方法、使用する分析機器により1日に分析可能なサンプル数は大きく異なります。
かび毒の場合、一般のラボでは30~40サンプル/(週・人)がよいところです。依頼分析を専門に受けるような試験所でも100サンプル/週できれば優秀です。1000点のサンプルでも3~4ヶ月で分析可能な試験所もあります。
カドミウムの場合、前処理にマイクロ波分解法を用いると(分析精度よくなります)、一般のラボでは10サンプル/日・人です。前処理に開放型湿式分解法(ビーカとホットプレート使用)を用いると50サンプル/日・人です。
無機成分は1サンプル数千円~1万円です。カドミウムは7,000~8,000円程度です。
アフラトキシンはB1、B2、G1、G2の4種類で1サンプル25,000円程度です。他のかび毒についても同程度です。
ダイオキシンは1サンプル30万円程度です。
実際には、依頼先に必ず料金を確認して下さい。
22.かび毒の検査をする場合、夾雑物(小石や木くずなど)を除去した方が良いですか。 |
通常、母集団(ロット)の取引は重量ベースで夾雑物も重量の一部になります。母集団に夾雑物が含まれていて、そこから適切にサンプリングしたサンプルの中に夾雑物が含まれていても、夾雑物を取り除かず、そのまま分析した方が母集団の正確な情報が得られます。
23.調査対象のお店や貨車などをサンプリングのために移動するのにコストが掛かる場合、どのようにサンプリングしたら良いですか。 |
コストの掛かる部分を2段サンプリングの1段目、または集落サンプリングの集落とみなしてランダムサンプリングすると、コストを下げることができます。2段サンプリングと集落サンプリングのどちらが良いかは、母集団のばらつきに関する情報を予備調査などで入手して、精度とコストの両面から検討します。
系統サンプリングもコストを下げるのに有効な場合があります。例えば、倉庫内の荷の山からサンプリングするよりも、荷が運び込まれる入り口でサンプリングした方が簡単に移動しないでサンプリングできます。
24.サンプルの分析値が基準値をわずかに超えている場合、そのロットを不合格として良いですか。 |
アメリカでは、落花生のアフラトキシンのロット判定に逐次抜取検査を採用しています。1989年の文献によりますと、1回目の抜取検査で2反復分析の平均値が16ppb以下なら合格、75ppbを超えていれば不合格、16ppb~75ppbの範囲なら2回目の抜取検査を行います。1回目と2回目の4個の分析値の平均値が22ppb以下なら合格、38ppbを超えていたら不合格、22ppb~38ppbの範囲なら3回目の抜取検査を行います。1回目、2回目、3回目の6個の分析値の平均値が25ppb以下なら合格、25ppbを超えていれば不合格と判定します。
分析値にはばらつきがありますので、追試により分析値の精度が上がるに従って、合格と不合格の境界を狭めていく上記のような検査方法は合理的です。
もし、1回の抜取検査の分析値と基準値の大小だけでロットの判定するように検査方法で規定されている場合は、基準値をわずかでも超えていれば、そのロットを不合格とせざるをえません。
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