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知らない人だけ損をする、プロが教える「マンション売買の新常識」

 アベノミクス以降、高騰を続ける不動産価格。2024年3月19日には日銀が「マイナス金利政策」の解除を発表したこともあり、物件価格へ与える影響に注目が集まっている。自分や家族の未来のために不動産の購入や売却を考えている人は、情報収集に忙しいことだろう。
東京の高層マンション郡

※イメージです

 そこで今回は、マンションアナリスト・マンションブロガーとして日々情報発信を行い、住替え支援サービス「すみかえもん」のプロデュースなども行うのらえもん氏(@Tokyo_of_Tokyo)に「知らないと損をするマンション売買の新常識」をたっぷり語ってもらった。 <この記事がおすすめな人> ・新築や中古マンションの購入、売却を考えている人 ・住宅ローン金利が上がるのではと不安な人 ・“儲かる”マンションを購入したいと考えている人 【のらえもん】 マンションアナリスト、ブロガー、タワマン専門家。湾岸タワマン住民。「のらえもんブログ」やSNSでマンション購入に役立つ情報を13年以上にわたり発信。著書に『絶対に満足するマンション購入術』(廣済堂出版)など。ブロガープラットフォーム「スムログ」発起人。住替え支援サービス「すみかえもん」プロデュース。

ネットに転がっている情報は玉石混交

のらえもん氏

のらえもん氏

 徹底的な“消費者目線”にこだわり、長年住まいについての情報発信を続けているのらえもん氏。 「2030年タワマン大崩壊説、35年ローンで老後破産……などなど、巷には消費者のわれわれを惑わせるさまざまな情報が溢れています。ネットに転がっている情報はまさに玉石混交。業者はもちろん、メディアで発信する識者たちはポジショントークがほとんどなので、“消費者が損をしない情報”を探し出すのはなかなか難しいのです。 また、不動産業界のトレンドや相場は目まぐるしく変わるので、ひと昔の前の常識で売買に臨むのは危険。変な情報を掴まされてドツボにハマると不動産の購入・売却はさらに迷走してしまうので、注意深く精査する必要があります」 ここからは、そんなのらえもん氏が伝授する「知らないと損をするマンション売買の新常識」を51連発でお送りする!

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<市況編>

01:新築マンションは今すぐ買え!

 Y字型に屹立する「トライスター構造」の外観が印象的な「パークタワー勝どき(サウス)」は、2021年第一期販売時は平均坪単価410万円で分譲されましたが、現在の新築販売では坪単価720万円〜で販売され、それでも売れています。  値上がりに関してこのタワマンだけが例外というわけではなく、「三田ガーデンヒルズ」や「ブリリアタワー堂島」など新築第1期分譲時より、第2期、第3期〜と期をわけるごとに販売価格が上がっているマンションが観測されており、今後も高騰するタワーマンションが登場すると見ています。

02:マンション爆騰の条件は「都心」「大規模」「長期間販売」

 価格が上がるマンションには共通する3条件があります。それは「都心」「大規模」「長期間販売」です。この3つの傾向を満たすマンションは後に価格が上がりやすい。  前出の「パークタワー勝どき」は1995年以降に分譲されたマンション1棟における総戸数が首都圏最大規模で、中央区アドレスです。さらに大規模ゆえに長期間販売の過程において、デベロッパーが手持ち在庫の利益最大化を図る販売戦略を採用します。  その結果、直近の第4期4次販売では分譲価格も上昇し、平均坪単価約770万円で販売されています。それに引っ張られる形で中古物件の価格も上がっているわけです。

03:郊外の建売はコロナバブルが終了

 都心部のマンション価格が上がり続ける一方で、郊外の戸建価格は一服感があります。コロナ禍で台頭した、リモートワークからの郊外移住のトレンドが終了し、大手建売業者各社の在庫回転日数が目に見えて伸びているからです。特に飯田グループはエリアによってはほぼ建築原価なのでは? といった価格でセールしている状況です。

04:東京不動産マーケットは“3割引バーゲンセール状態”

 近年の東京都内の不動産バブルの要因は「低金利」「円安」「外国人」「相続」 が要因と分析します。特に「外国人(富裕層)」と「為替」の相乗効果が強烈で、彼らから見た東京不動産マーケットは、ドル円105円時代と比べて現在のレート約150円は3割引のバーゲンセール状態です。  この恩恵は都心にしか波及しないので、不動産価格の上昇幅は「東京の地図上にハンカチを落として、中央部をつまんで引っ張り上げる」みたいなイメージとなります。 
不動産価格の上昇幅

提供:のらえもん氏

05:外国人は「東京タワーが見えるタワマン高層階」が大好き

 ものすごい高値で買っていく外国人需要とはどのようなものなのか。彼らのニーズとして、東京滞在時の拠点として使える広さ(100平米〜)。部屋からの眺望が抜群で、東京を象徴するシンボリックな建造物が見えるとなおよし、となります。さらには建物自体もエリアのランドマークだと、売り手はいろいろと説明の手間が省けます。  要約すると「東京タワーが見えるタワマン高層階」を欲しがり、相場を無視した価格で取引されるということです。ちなみに肌感覚ですが、スカイツリービューによる物件価格へのプレミアム付与はざっくり東京タワーの10分の1程度です(悲)。
不動産、マネー、ネットカルチャー分野を得意とするフリーライター。社会事情についても執筆する。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』(WAVE出版)。X(旧Twitter):@yuutaiooya