携帯・7
「…何ですか」
「何ですかも何も…(笑)」
入江の目は完全に笑っている。
さっき画面を見た跡部が寂しげな声を出したのを見てグループ分けしたのは明らかだった。
「え? どうしたんですか?」
「何でもないよ。はい、徳川」
入江から携帯を受け取り、徳川は黙ってそれをポケットにしまった。
「跡部くん、後でメールするね」
「え。今日ですか?」
「うん。おやすみメールしてあげるよ(笑)」
「いいですよ、そんなの!///」
「まあまあ。初日だしさ(笑)
ねえ、鬼も送ってあげなよ。メール苦手でも「おやすみ」って平仮名4文字くらい打てるでしょ」
「ああ?そんなの要るのか?」
「欲しいです!」
尻尾でも振りそうな笑顔で返事する跡部に鬼も「じゃあ1回くらい送るか」と笑った。
「徳川も…」
「さっき言った通りです。連絡しなくていいなら…という条件でしたから」
「ふーん。ケチな男だよねー。ねえ、跡部くん」
「………#」
「いえ、そんなことは…っ;」
そんなこんなで4人は部屋に戻っていった。
***
…消灯時刻。
真面目にベッドに入った跡部の携帯が短く震えて、2通のメール着信を告げた。
開いてみると約束通り、入江と鬼からで、「おやすみ、また明日ね」「おやすみ」とごく短い挨拶が書いてあった。
跡部はそれぞれに「おやすみなさい」と返信し、少し考えてからもう1通送った。
(8に続く)
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