携帯・6
徳川は自分も携帯を開き、アドレス帳を確認してみた。
すると、開いてすぐの画面、ア行の一番上が「跡部景吾」に変わっており、2人挟んで入江と鬼の名前があった。

「徳川さんの方も入りましたか?」
「ああ」

徳川が携帯を見せると、跡部は自分の名前を一番上に見つけて微笑み、それから何かに気づいて「あ…」と呟いた。

「何だ?」
「いえ、入江さんと鬼先輩も入ってるな…と」


確かにそうだが、声の様子がおかしかった。
徳川はもう一度画面を見て、「ああ…」と納得したように呟くと、チラリと跡部を見てから、再び携帯をいじりはじめた。


「なにやってんの、徳川」
「…別に。あっ…!?」

ちょうど操作が終わった時、それを見計っていたらしい入江に徳川は携帯を取り上げられた。

入江と…ちゃっかり鬼と跡部も携帯に表示された画面を見る。
するとそれはグループ別の画面で、グループ名は「U-17」となっていたが、入っているのは今テーブルにいる三人だけで、入江は首を傾げた。

「ねえ。何でわざわざグループ分けてんの。3人ともア行だし、困らなくない?」
「…個人の自由です」

質問に答えない徳川に「ま、いいけど」と諦めた入江の声に、嬉しそうな跡部の声が重なった。

「でも3人並んでて嬉しいです! さっきまでは間に知らない人が挟まっててちょっと寂しかったけど…今度はすぐ下が鬼先輩達になったから」


その無邪気な発言に入江と鬼は、思わず跡部でなく徳川を見てしまった。




(7に続く)
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