オンエア・4
…翌日。


入江「おはよう、跡部くん。その後、跡部グループの株はどうなったの?」

跡部「ああ…なんか上がったみたいですよ」

鬼「ほう、良かったな」
入江「うん。でも、なんで? テレビの影響なかったの?」

跡部「いや、むしろテレビの影響で上がったらしいんですよね。よく分かんねえんだけど;
会長職のお祖父様も怒ってないらしいし、まあいいかな…って;」



****

(昨夜。政財界のトップが集まるパーティー)


『跡部さん、見ましたよテレビ! あれ、お孫さんなんでしょう?』
『いやぁ、本当に子供でお恥ずかしい(笑)』

『ほう。やはりあれは跡部会長のお孫さんなんですか。実に可愛いらしかったですよv』
『いまどきの中学生であんな純真な子はおらんでしょう。ウチの孫息子なんて、お宅と同じ年なのに女遊びばかりしとりますよ。情けない;』

『いや、ウチの孫も少しは女の子と遊んで欲しいんですが、勉強とテニスばっかりやっとりまして』
『学生はそれでいいんですよ!いまどき素晴らしい!』




****


跡部「オヤジにはお祖父様からとりなしがあったみたいだし、まあなんとか…。でも部の顧問の先生から電話があって叱られちゃいました; オヤジよりむしろ監督の方が怖いから、合宿後に学校行くのが少し気が重いんですが…;」

入江「へぇ。柘植コーチみたいなスパルタ系?」
跡部「うーん、微妙ですね…柘植コーチというよりは黒部コーチの方が近いかな」
鬼「上品げに気取っとる感じなのか」


跡部「とにかく。もう取材はゴメンですね!」


コーチを含め、画面に映った人間の大半が同意見だ。

たかが学生の…しかも野球やサッカーに比べてマイナーなテニスで、再び取材があるとは思えないが、誰もが切に願わざるを得なかった…。


(おわり)
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