オンエア・3
そしてその時…。
♪♪♪♪♪♪
「おい、誰だ携帯!#」
「あっ、すみません!俺です!;」
「跡部か!練習時間内はちゃんと切っとけ!」
「あ…。柘植コーチ、これ…親からなんですけど…出ていいですか?;」
「うっ、このタイミングで親からか;しょうがねえ、出ろ;」
柘植は親からの苦情を覚悟した。
「…もしもし。え?テレビですか?はい、合宿所で全員で視てますが。…はぁ!?
そんな今さら文句言われても!だから俺が事前にチェックさせてくれって言ったんじゃないですか!#
株価に影響? 知りませんよ、そんな事!# 自分の言動には自分で責任取れって言ったのはお父さんでしょう!ご自分で責任取って下さい!#
…え?まだ何かあるんですか?…はあ!?先輩との関係…って!; なっ!/// ただの先輩後輩以外に何があるんですか!///# もう、切りますよ!」
マシンガンのような速さで父親との会話を終え、跡部は不機嫌な顔のままどこかへ電話をかけ始めた。
「…俺だ。今からウチの会社の株の動きを携帯に送れ。なに?携帯の容量じゃ無理? なら詳細はいい。概要を纏めてメールで連絡しろ。いいな」
パタン
携帯を綴じて溜息を吐く跡部は、そこで初めて辺りがシーンとしているのに気づいた。
「え? あ。すみません、コーチ!許可もなく電話して;」
「親父さん怒ってたのか?」
「いえ、怒ってはいませんでした。むしろ、泣きが入ってた気がします。
全く、たまに息子に電話してきたかと思えばこんな用件だし、その上終いには先輩達とどういう仲なんだ、なんて訳の分かんないこと言ってくるし!# あのクソ親父っ!#」
「クソ親父って、お前…;」
全国ネット放送で親に恥をかかせておいてのこの発言に、むしろ親の方に近い年齢のコーチ陣は、ちょっと跡部父に同情した。
(4に続く)
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