ウェルネスとーく
医療・健康・介護のコラム
[女優 いとうまい子さん](下)45歳で早大へ 高齢者用リハビリロボを開発、現在は博士課程在学中
アイドルデビューから37年。芸能界の一線を走り続けていますが、45歳の時に早稲田大学の学生となり、現在は博士課程に在学中で10年以上学生も続けています。修士の時には、高齢者用のリハビリロボットを開発しました。女優やタレントとしての活動のほか、番組制作会社の社長も務め、その上に何を目指しているのでしょうか。(聞き手・渡辺勝敏、撮影・小野田尚武)
結婚してから、大学でeラーニングをスタート
――44歳の時に一般の方と結婚して、その翌年に大学に入ったわけですが、どうして進学を考えたのですか。
芸能生活25周年、四半世紀のころに考えたんです。芸能界というのは、芸能関係者だけではなくて、スポンサーやその商品を購入する一般の方も含めたすべての人のおかげで成り立っています。私が長く芸能人として生きてこられたのは、本当にみなさまのおかげなんです。ですから、何か恩返しをしたい。芸能しか知らないので、勉強して基礎の知識を身につけて、何ができるか考えてみたいと思ったんです。
――2010年に早稲田大学人間科学部のeスクールに進んだわけですね。どうしてここを選んだんですか。
仕事があるので、毎日通学することはできません。通信制を探したのですが、教材を与えられて自分でやっていくのは難しいと思っていました。eスクールは、通信制のオンデマンド版です。1時間半の動画の講義を見て、毎回リポートを送る方式で、1週間単位で進んでいきます。旅番組のロケがある時にも、パソコンで講義を見て、リポートを書くということをしていました。入学試験の面接で「芸能人は続かない人が多い」と厳しいことを言われたので、そうならないように頑張りました。
講義と期末試験とロケが重なって帯状疱疹に
――仕事との両立は苦労が多かったのではありませんか。
恩返しが目的なので、予防医学に興味を持ちました。でも、それだけではなく、一般教養科目もあって、卒論のために3年生までに必要な単位を取ってしまおうと思ったので大変でした。最大9科目も取っていると、毎週、それだけの数の授業を見て、リポートを書かなければいけません。講義と期末テストとロケが重なって、眠らないでやっていたら、帯状 疱疹 になってしまったこともありました。
――大変でしたね。それで結局、具体的には何を専攻したのですか。
3年生でゼミを決める時、私と同じように社会人入学で同級生になった四国の整形外科医から、高齢になって運動機能に障害が出るロコモティブシンドロームのことを初めて聞いて、これは重要な問題だと思いました。ロボット工学ゼミの人気があると聞いて、予防医学とロボットを結びつけて、ロコモを予防するものができないかと考えました。国際ロボット展の早稲田のブースに参加した時に、神戸の電機会社の方が、修士に行って研究を進めるなら協力すると声をかけていただきました。
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