Vol.25 秋野暢子さん

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Vol.25 秋野暢子さん

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インタビュー 私のいえ ∼すまいの履歴書∼ 各界でご活躍の方々に、家、住まいに、住み替えにまつわるお話を伺いました。インタビュー 私のいえ ∼すまいの履歴書∼

Vol.25 2014/6/17更新

『2度の経験からいろいろ学びました。
もう1度建てたら、完璧な家が出来ますよ。』 秋野暢子さん

『2度の経験からいろいろ学びました。
もう1度建てたら、完璧な家が出来ますよ。』秋野暢子さん

profile
秋野暢子(あきのようこ)
1957年、大阪府生まれ。74年NHK銀河テレビ小説『おおさか・三月(みつき)・三年(さんねん)』で女優デビュー。75年NHK連続テレビ小説『おはようさん』の主役に抜擢され、その後本格的に女優活動を開始。近年は映画やテレビで活躍するほか、ダイエット本の出版や健康、美容などをテーマにした講演活動も行う。

26歳のときに1度家を建て、 10年後の36歳のときに今の家に 建て直したという秋野さん。 それぞれの家を建てることになった経緯や こだわり、今後の考えなどもうかがいました。

18歳で上京。20歳のときに、母の一言で家を建てる決心

秋野暢子さんの写真1
幼い頃の暮らしを思い出す秋野暢子さん

実家は大阪ミナミの呉服屋。私が5歳くらいまでは比較的裕福だったようなのですが、父が保証人として知人の負債を負うことになってしまい、暮らしは劇的に変化し、家も失いました。物心ついた頃の記憶は、かろうじて残った蔵での暮らしでした。でも、日本全体がまだ豊かといえる時代ではなかったので、貧しい生活が取り分け珍しいわけでもなかったんです。それに、私は裕福なときの記憶がほとんどなかったので、貧しいことが普通だと思っていました。ただ母はもともと何不自由なく育った人でしたから、その落差はものすごく辛かったと思います。
その後、その蔵を壊し小さな家を建てたんです。1階は他人に貸して私たちは2階で暮らしました。そして18歳のときに本格的に芸能活動をするために、私は母と上京。最初は土地勘もないので事務所の方に探していただいたマンションに住んでいました。20歳になったときに母に何かプレゼントをしようと思い、「何か買うてあげるわ。何が欲しい?」と聞いたんです。すると「家買うて」と言うんです!驚きましたが、次の瞬間には「どうすれば東京に家が買えるだろう」と考えていました。とりあえず銀行に行き「どうすればお金を貸してくれますか?」と相談したんです。すると「5年間財形貯蓄を続ければ貸します」と言ってくれたのでその通り預金を続けました。5年後の25歳のときに約束通りお金を貸していただいたので20年の住宅ローンを組み、土地を購入して家を建てたんです。「家買って」と言われたら普通は真に受けないでしょうけど、母がこれまで辛い経験をしてきたことは分かっていましたし、本当に自分の家が欲しかったんだろうなということを感じていました。だから自然と「頑張ってみようかな」という気持ちになりましたね。

妊娠をきっかけに子どものことを優先にした家に

秋野暢子さんの写真2
建て替えについて話をする秋野暢子さん

家ができたのが26歳。その後、結婚して彼が我が家に入り、母と彼と私の3人での暮らしがスタートしました。私たちにはなかなか子どもが出来なくて11年間治療を続けてきたのですが、お医者様にも難しいと言われたので35歳のときに「諦めよう」と決心しました。その代わり家を建て直して、人がたくさん集まれるような場所をつくろうと決めたんです。そこで、まだ10年分のローンが残っていたものの新たに20年ローンを組み直して建て替えをすることに。ところが、ちょうど家を壊している最中、なんと妊娠をしていることが分かったんです。まったく想定外の展開でした(笑)。でも、私たちにとっては子どもが出来たこと自体本当に奇跡だったので、「何がなんでも、この子がちゃんと育つ家に」という気持ちに針が振れたんです。ちょうど設計途中だったので慌てて構造や内装を変更。もともとリビングはコンクリート打ちっぱなしの無機的なイメージで考えていましたが、子どものためには色彩が豊かな空間のほうが良いと聞いたので床は淡いブルー、壁はフラミンゴピンク、家具は淡いグリーンにしました。他にも子ども部屋をつくったり、成長したときのことも考えたりと、そのタイミングで妊娠が分かっていなかったらまったく違う空間になっていましたね。

もう1度建てたらきっと完璧。でも次はマンションが理想

秋野暢子さんの写真3
今後の住まいについて語る秋野暢子さん

私にとって家を建てるのは2度目ですから、当然1度目で不便を感じた点は改良しました。例えば、キッチンの収納。引出し式の収納にして物が取り出しやすいように自分で設計したんです。それから、最初の家のときは洗濯物を干したまま外出して、雨に降られてびしょぬれなどということがありましたから、それを教訓にサンルームをつくりましたし、女性が多い家ですからセキュリティも一層こだわりました。娘が中学生になると吹奏楽部に入っていたのでトランペットの練習をする部屋が欲しいと言うので、防音室もつくったんです。でもそのくらいの年頃の子どもって自分の部屋を与えるとそこに引きこもってしまうじゃないですか?だから防音室なのだけどガラス戸にして中が見える部屋にしたりと、私なりのアイデアが随所に詰まった家なんです。
昨年、20年のローンを完済したところです。でも20年も経つと各所に傷みが出てきて、今年のはじめ、リフォームをすることにしたんです。水周りを重点的にメンテナンスしたほか玄関の壁の色も塗り替えて、とても快適になりましたが、浴室の傷みにはびっくりしました。ちょっと凝ったつくりだったので、メンテナンスが必要だったようです。そんなことも2度の家づくりから学びましたので、もう1度、建てたらきっとパーフェクトな家ができるんじゃないでしょうか。ただ、今から20年ローンを組むのはしんどいですから、3度目はないと思いますけど(笑)。
今は大学生の娘と2人暮らしですが、彼女も就職をしたらきっと家を出て行くと思います。そうなると1人で住むのには広すぎます。とはいえ30年以上も暮らしている場所ですから手離すのは淋しい。どなたかに借りていただいて、私はマンションで暮らすのが理想的かなと思っていますね。新宿とか代官山とか、いわゆる都心のマンションっていうのにも住んでみたいんですよ。

衣装:MARINA RINALDI

こぼれ話

こちらは、秋野さんのご自宅のリビング。フラミンゴピンクの壁とブラウンを基調にした家具が温かみを感じさせます。そして、お部屋のアクセントになっているのが真っ赤なソファー。ご自宅を建て直したときにどうしても欲しくて購入した、お気に入りの一品なのだそうです。

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