2010年07月04日00時00分

大都会東京。下北沢、渋谷、高円寺、吉祥寺、代官山、秋葉原、小岩... と、都内には実に多くのライブ・ハウスが点在するが、今インディー・シーンで一際目立っているのが新宿。20代前半の次世代ミュージシャンらが、ライブ・ハウス新宿MotionやMARZを中心に切磋琢磨し、新たな音楽、新たな熱狂を生み出している。今回は『TOKYO NEW WAVE 2010』、フリー・サンプラー『Next Music from TOKYO!!!』という2つの音源を中心に、そんなシーンのど真ん中にいるバンド達を紹介しよう。

東京から海外へ
また、『TOKYO NEW WAVE 2010』にも参加しているandymori、オワリカラ、mothercoat、Kulu Kulu Gardenとグーミの5バンドが「Next Music from TOKYO!!!」と銘打ってカナダ・ツアーを敢行。バンドのエネルギーは、東京だけでなく海外にまで広まりました。OTOTOYでは5バンドのスペシャル・サンプラーをフリー・ダウンロードでお届け。その熱量を、是非とも感じとってください。

Next Music from TOKYO!!!(Free Sampler)』のフリー・ダウンロードはこちらから

1979から2010へ 新宿発のNEW WAVE
今にも爆発寸前なムーブメントの立役者達の「今」をコンパイルしたコンピレーション・アルバム『TOKYO NEW WAVE 2010』がドロップ! 参加アーティストは、OTOTOYでも追い続けたバンドばかり。なんとほとんどのアーティストの特集頁があるんです。本作のセレクターは、オワリカラのタカハシヒョウリ。自身のアルバム発売前に、鋭い切り口で、シーンを世の中に提示します。

新宿 東京 世界 

今回紹介する『TOKYO NEW WAVE 2010』や『NEXT MUSIC FROM TOKYO』は、新宿という街でがむしゃらに音を鳴らし駆け抜けたアーティスト達が作り上げた企画の名前であり、現象の名前である。(前者はコンピレーション・アルバムの名前でもある。)つまり、テン年代の始まりに東京インディー・シーンで起きたひとつのドキュメンタリーなのだ。

andymori

この2つの企画に集うアーティストを強く意識したのは2009年だった。これらは、彼らの活動拠点ともいえる新宿motionというライブ・ハウスを中心に行われ、2010年の今も日々成長し続けている。『TOKYO NEW WAVE 2010』は、motionで出会い、互いに刺激し合うバンドがライブ・イベントを企画し、大盛況になるまで動員をのばし、今回コンピレーション・アルバムを発売するまでになった。『NEXT MUSIC FROM TOKYO』は、『TOKYO NEW WAVE 2010』とはまた少し違うバンド達(andymori、オワリカラは両方に参加)が集い、東京を飛び出し、バンクーバー、モントリオール、トロントを巡るカナダ・ツアーを行った。また、mothercoatは『NEXT MUSIC FROM TOKYO』出演後、そのままイギリスへ渡り、UKツアーを敢行した。

この2つの企画に関わるバンド達のサウンドは、各々の個性が際立つ、前衛的なポップさを持つバンドばかり。SEBASTIAN XやFar France、andymoriは若い世代特有な勢いに溢れ、SuiseiNoboAzや太平洋不知火楽団の攻撃性のあるサウンドは鳥肌ものだ。the morningsやARTLESSNOTE、オワリカラは、変則的なリズム感を多様するロック・バンド。壊れかけのテープレコーダーズ、東京カランコロンやシャムキャッツは、ゆるくてほっこりしているのに、どこか変である。kulukulu gardenやグーミ、mothercoatはひねくれまくった摩訶不思議なポップ・サウンド。彼らの共通点は、若くて、まだまだ育ち盛り。つまり未完成なのだが、常に伸び、変化し続けている。また、オリジナルティがあることに重きを置き、バンド自身で企画イベントをもつバイタリティもある。

SuiseiNoboAz

例えば、『TOKYO NEW WAVE 2010』の主催はオワリカラのタカハシヒョウリ。the morningsは、「朝・昼・夜」という筆者も大好きな個性的なイベントを開催。Far Franceは、『大運動会』というイベントを行い、新宿LOFTをソールド・アウトさせてしまった。またmothercoatは、CDの販売方法から独自のスタンスで活動をしている。もちろん、他のバンドも負けず劣らず、素晴らしい企画を打ち、それぞれが独自のアイデアを持っている。バンド自身の活動の意識の高さが、2つの企画でも反映され、個々に立つバンドの集合体であったからこそ、現在の大盛況に結びついているのだろう。さらには、それぞれのバンドが日々成長し続けるから、その変化が面白くて目を離すことができないので、ついつい追っかけてしまうのも彼らの魅力である。若さ故の彼らが起こした軌跡、日々の苦悩や嬉しさ、そしてもちろん楽しさが、ひとつの音のドキュメンタリーとなった『TOKYO NEW WAVE 2010』と『NEXT MUSIC FROM TOKYO』。今度は、是非映像化を求む!

彼らの意識は、ライブ・ハウスにある。その音がなっている現場に来ることをオーディエンスに望んでいる。ここからこのシーンをのばすのは、実はオーディエンスの力も必要だ。彼らの存在を東京から全国へそしてもう一度世界へ羽ばたかせたいと、強く願う。(text by 小林美香子)

オワリカラ

>>参加アーティストを網羅! インタビュー&プロフィールはこちら

TOKYO NEW WAVE 2010

「このCDは僕が見た2010年の新宿の熱量そのもので、まさにドキュメンタリーです。ずっと昔から毎晩、夜のあちらこちらで数秒単位の奇跡がおこっているのです。その瞬間はそのままで本当に素晴らしいもので、僕たちはあとからそれをこねくりまわしておかしくしてしまうようです。だからここにある音楽だけは、残ってください。2009年の彼らにも、2010年のあなたにも、2070年のあなたにも等しく在るように。(タカハシヒョウリ / オワリカラ)」

TOKYO NEW WAVE 2010 / V.A.
1.Dancing hell (can't help fallin') / 太平洋不知火楽団
2. LIFE PLEATS (TOKYO NEW WAVE ver.) / SEBASTIAN X
3. amazon surf / the mornings
4. 十代から始める革命講座 (TOKYO NEW WAVE ver.) / オワリカラ
5. 永遠の19才です / 東京カランコロン
6. 雪どけ水を飲みほして / 壊れかけのテープレコーダーズ
7. Happy1982 / SuiseiNoboAz
8. 真昼にて / Far France
9. ノッピキナラナイ存在感 / 東京カランコロン
10. ハンバーグ / ARTLESS NOTE
11. クレイジークレーマー / andymori
12. たとえば僕が売れたら / 太平洋不知火楽団
13. 落ちつかないのさ / SIAMESE CATS
14. ビート (TOKYO NEW WAVE ver.) / オワリカラ

Next Music from TOKYO!!!

andymori、mothercoat、オワリカラ、Kulu Kulu Garden、グーミという個性的かつ、今話題の旬なバンドばかりを集めたライブ・イベントが、都内… ではなく、日本から遠く離れたカナダで開催。東京のインディーズ・シーンを熟知した見事なブッキングは、カナダ在住の日系カナダ人スティーブ氏によるもの。バンクーバー、モントリオール、トロントを巡りました。また、mothercoatは"Next Music from TOKYO!!!"出演後、そのままイギリスへ渡り、UK tourを敢行。7月9日には、東京・渋谷O-nestでツアー・ファイナルを行います。

Canada - "Next Music from TOKYO!!!"

  • 2010/05/22 バンクーバー@ the Biltmore Cabaret
  • 2010/05/25 モントリオール@ il Motore
  • 2010/05/28 トロント@ the Rivoli
  • 2010/05/29 トロント(All-Ages !!) @ Whipper Snapper Gallery
  • 2010/07/09 東京@渋谷O-nest -FINAL!!-

http://www.nextmusicfromtokyo.com

2010年07月04日00時00分

OTOTOYから発信するTOKYO NEW WAVE!!!

OTOTOYでは、これまでに『TOKYO NEW WAVE』に参加しているほとんどのアーティストの特集を組んできました! アルバム・リリース後の、音源に関する真剣なインタビューから、本ムーブメントの中心でもある新宿Motionとの連動企画「nextpop」での和やかな対談まで、どれも読み応えアリ。彼らの個々の活動をより深く知ることができるので、音とともに要チェックですよ!


SuiseiNoboAz
2007年夏、結成。高田馬場発トリオ・バンド。 都内を中心に様々なイベントに出演。2009年7月 FUJI ROCK FESTIVAL「ROOKIE A GO-GO」出演。
・SuiseiNoboAz インタビュー


オワリカラ
「TOKYO NEW WAVE 2010」なる新しいムーヴメントの先鋒を務める、4ピースの最新型ポップ・サイケデリア。精緻なアンサンブルと強靭な音圧。そして、それを突き抜けて響きわたるフロントマン、タカハシヒョウリの歌声。2008年春のライヴ活動開始以来、200本近い凄絶なステージで時代の注目を集めている、2010年代の「新しい波」。
・オワリカラ インタビュー


Far France
ロー・ファイでパンキッシュ、ハードコアにポップ、加えてサイケなプログレ… そんな謎めいた奇天烈ロック・ワールドを西東京から鳴らしている。ミドリ、KING BROTHERS、DMBQやLOSTAGEなどを招いて行われるオルタナ・フェス「DIE UNDOUKAI」を主催(毎度満員御礼)。現在までにライブ・アルバム、スタジオ・アルバムの2枚をリリース。フランスまで10000km。
・Far France インタビュー


SEBASTIAN X
前身バンドを経て08年2月結成。08年6月初ライブを行なう。その後ハイペースなライブ活動を展開。08年8月に完全自主制作盤『LIFE VS LIFE』リリース。新世代的な独特の切り口と文学性が魅力のVo.永原真夏の歌詞とギター・レスとは思えない様々な/極端な楽曲の世界観が話題に。グッチャグッチャだけどパワフルで唄心が伝わる、なんだか凄いことになってるインパクト大のパフォーマンスも相俟って、ライブ・ハウス・シーンでも一際目立ちまくっている存在に。09年11月6日に初の全国流通盤となる『ワンダフル・ワールド』をリリース。
・SEBASTIAN X インタビュー


太平洋不知火楽団 05年にもれ出づるスリーメン・バンド。自主企画『ASO ROCK FESTIVAL』を開催しつつ、フジロック等様々なイベントに出演。自主製作CDを3枚出し、2枚目『ARATASI-YOAKE』がdisk union08年インディーズ年間チャート4位に狂い咲く。昨年夏に出した74分にわたる3枚目『そうだ、海え帰ろう!!』がdisk unionインディーズ・チャートに半年間のさばる。奇奇怪怪不可思議サウンドで今尚展開中。
・太平洋不知火楽団 インタビュー


the mornings
03年結成。東京狭しとどこでもライヴを行い、自主企画をむやみやたらに連発。複雑な楽曲を“最大テンションまでブチまける”東京オルタナティヴ界の暴れ馬。また、ライブ・ハウスのドリンク売上への貢献度は、都内でも屈指のレベルであるという噂。
・the mornings レビュー


シャムキャッツ
東京を中心に活動している4人組ロック・バンド。2007年頃から活動開始、2009年に1stアルバム『はしけ』をリリース。現在、自主制作に戻り"DEMO SINGLE SERIES"スタート。
・シャムキャッツ インタビュー

東京カランコロン
2007年冬、Vo.Gtのいちろーが大学で同じサークルだった仲良し3人に「バンドやらない?」と声をかける。2008年の初め、Keyのせんせいが加入し、3月に初ライブ。 それ以降半年ほど、かなりマイペースに活動。月1本ほどライブをする。同年冬、BaりんりんとDrいちたくが脱退。その後半年ほどはメンバーも決まらない状況となり、ライブもやったりやらなかったりと、活動自体が不安定な状態となる。2009年5月、現Ba・Drが加入し、現メンバー編成にて初ライブ。その後ライブ本数も一気に増え、活動が急激に加速。翌月6月に初のデモCD発売。同年11月"MINAMI WHEEL09"に出演。12月、スワンソングカウンシルに出演。現在も都内にて精力的に活動中。
・東京カランコロン インタビュー

壊れかけのテープレコーダーズ
ドリーミィ・サイケデリック・ブルース・ロック・バンド&オーヴァー・ザ・サイケデリック・ドリーム。2007年5月結成。同年8月、自主企画「夢の島で逢いましょう」@三軒茶屋HEAVEN’S DOORにて初ライヴ。以後都内ライヴハウス各所にて精力的に活動を展開。2009年2月、待望の1stアルバム『聴こえる』をディスクユニオン/ハヤシライス・レコードよりリリース。妖しくも美しい幻惑の轟音サイケから、スペクター・ライクなドリーミィなポップソングまでもを含んだ同アルバムは、発売されるやいなや「ジャックス+フィル・スペクター」と評され、様々なメディアに取り上げられる等、東京の新興サイケデリックとして話題となる。また、2009年7月にはFUJI ROCK FESTIVAL‘09「ROOKIE A GO-GO」へ出演するなど、2009年は飛躍の1年となる。そして訪れし2010年、サイケデリックな夢の果てで打ち鳴らされるべくブルーズを目指し、箱舟の来ることのない荒野を今日も前進中。
・壊れかけのテープレコーダーズ インタビュー


ARTLESS NOTE
ワルツで呪い、変拍子で刺す!! 美メロと思いきや爆音、ノイズとアンサンブル、至福と焦燥、初期衝動。感性を右往左往する次世代のわがままポップ・ミュージック!! 主に都内で活動するGt/Vo+Dr/Cho+Dr/Synの間違った編成の3人組ツイン・ドラム・ロック・バンド。
・ARTLESS NOTE レビュー

andymori
2007年、結成。本人たちのマイペースぶりを他所に多くの反響を得ることになる。急激にライブ出演が増えてきた折の2009年2月4日、1st フルアルバム「andymori」をリリース。セルフタイトル通り、彼等の自由や希望が ぎっしりと詰まったレコードになる。独創性に富んだ視点で捉えるリリック、 エッジィでツンのめる瞬間的爆発サウンド、何処か懐かしく、確かなメロディーを武器に、 彼等はシーンに躍り出てゆく。様々なライブ・イベントに出演しつつ、 夏には初のワンマン・ライブ「シモキタサワディーモリ」を 下北沢basement barにて開催。3ヶ月に渡り、同名のイベントを主催。また、蓮沼FES、ROCK IN JAPAN FES、SUMMER SONIC、SWEET LOVE SHOWERなどの大型フェスティバルにも出演。彼等の音楽は2009年夏、様々な場所で暴力的に鳴り響いた。更に10月15日、恵比寿LIQUID ROOMにてワンマン・ライブ「SAWASDEECLAP YOUR HANDS」を敢行。これまた本人たちの予想を上回る、大盛況ぶりを見せる。1st ALBUMから丁度1年後の2010年2月3日に2nd ALBUM「ファンファーレと熱狂」をリリース。2nd albumをひっさげた初の全国ワンマンツアーは全会場SOLD OUT! このALBUMで、2010年の新しい扉が開かれることは、間違いない。


グーミ
藤井麻奈美 [vox,bass]
飛田佳寿子 [vox,drums,percussion]
小畑亮吾 [vox,violin,guitar]
2004年8月1日結成。変則3ピース大合唱バンド。2005年に『1st』、2007年に『2nd』を自主制作にてリリース。

・グーミ レビュー

この記事の筆者

[コラム] ARTLESSNOTE, FAR FRANCE, SEBASTIAN X, SuiseiNoboAz, the mornings, オワリカラ, シャムキャッツ, 壊れかけのテープレコーダーズ, 太平洋不知火楽団, 東京カランコロン

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