取材にて・9
「おい…」
「はい?」
「俺の事はもう何も言うな」
「…す、すみません;」
大勢の前で「誤解されやすいけど実はいい人」とか言われた照れ隠しに、徳川は幾分キツい目で跡部を睨んだ。
さっきも鬼に怒られたばかりなので、一気にシュンとする跡部。
その小さくなった様子に徳川は一瞬後悔したが、今さら態度を崩すわけにはいかなかった。
「皆さん、仲いいんですね~。でもこんなに仲良しで、テニスの試合とかで手加減しちゃったりしないんですか?」
アイドルの意外とマトモな質問に4人は答えた。
「ねぇな」
「それは無い」
「するわけねぇだろ、バーカ」
「コラ! ええ、でもそんな事絶対しないですよ」
「そうなんですか。でも、えっと…入江さん?とか、優しそうで…」
「ありがとう。でも試合は別ですから。それこそ泣こうが血反吐を吐こうが、コートに立ってる限りは叩きのめしますよ(笑)」
にこやかな笑顔で恐ろしい事を言う入江に、アイドルは思わず硬直した。
鬼や徳川ならともかく一見温和そうな入江だからこそ、怖さ倍増だった。
「で…でも、こっちの中学生の子とか可愛いし、そんなことしなそう…;」
「ん? コートの中の跡部はすげぇぞ?」
「こうしてる今は可愛いでしょうけど、彼も中学生でこの合宿入りしてるくらいですから」
「えー、でも先輩にアブないくらいなついて…;」
「あーん?試合に先輩も後輩もあるかよ。俺様の前に立ちはだかる壁は全部ぶっ潰して頂点に立つだけだ。それが勝負だろうが」
「……;」
『試合』の一語で別人に豹変する彼等に、アイドル達は腰が引けていた。
(10に続く)
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