取材にて・6
「…徳川、鬼くんと代わりたかったでしょ(笑)」
「何故俺が?ありえないでしょう」

「ふぅん? ああ…徳川が跡部くんを叩くなんて『ありえない』?(笑)」
「そういう意味でもありませんから!」
「まあいいや。跡部くん、ちょっとおいで」
「はい」

怒られたばかりで素直になっている跡部は、入江の手招きにすぐに応じた。


「鬼に怒られてもう分かったね? ダメだよ」
「はい、すみません」
「うん、じゃああっちで顔冷やしておいで。腫れてるから」

言われてみれば、まだ頬がジンジンと痛み熱を持っている。
鬼に思い切りはたかれたのだ。傍目にも真っ赤で、唇が切れなかったのが幸いだった。

「徳川、ついてってあげて」
「俺が?」
「先輩命令」
「…分かりました」

「いえ、いいです。徳川さん、俺1人で行けますから」
「いや、いい。早く来い」

クルリと背中を向けてどんどん歩き出す徳川を跡部は慌てて追った。

しかし、ちょうどあるアイドルの前を通り過ぎる時、「…大丈夫か?」と小さな声で跡部に尋ね、頷いたのを確認すると「そうか…」と微笑んだ徳川。

そして、それをちょうど目にしてしまったアイドルの1人は「あの人、ツンデレ!?///しかも、あの子限定!?///」と1人で盛り上がり、仲間に「○○ちゃんどうしたの?;アヤシイよ?;」と怪訝そうにされてしまった。


(7に続く)
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