取材にて・5
「跡部っ!何だその口の利き方は!#」
バシイッ!
鬼の平手が飛んだ。
「……っ!!」
「いくら何でも『メス猫』はねえだろうが! メスなんてなぁ、女を一番侮辱する言葉だぞ! しかも女相手に思い切り突き飛ばしやがって!馬鹿野郎が!#」
「…せん…ぱ…」
「そんな情けねぇ後輩は要らねえぞ、ワシは!#」
「…うっ……わああぁっ!」
初めて誰かに顔をぶたれた事に対するショックと、更に鬼に嫌われたという思いに、跡部は大粒の涙をボロボロと零し声まであげて泣き出した。
見かねて徳川が動こうとしたが、入江はその前に腕を横出しし遮った。
「ダメだよ、徳川。今のは跡部くんが悪かったんだから」
「………。」
取材は完全に中断。
アイドル達の方が跡部を慰めにかかった。
「泣かないで。私達気にしてないから…。ね?」
「もう怒らないであげてください。泣いてるし…可哀想;」
「いや、こういうのはケジメが必要だ。この人達に謝らんのか、跡部!」
「す…みませんでした…本当に…すみません…」
跡部は頭を下げて1人ずつ謝りそれからまた泣き出した。だが、今度は鬼はもう怒らず抱き寄せて頭を撫でてやった。
「よし。もうくだらねえことすんじゃねえぞ」
「はい…。あの…先輩…;」
「ん?」
「俺の事…もう嫌いになっちゃいましたか…?」
恐る恐る見上げる跡部。
だが鬼は…
「バカ。可愛い弟分だと思ってるから怒ったんだろうが。もうメソメソすんな」
ゴツンと頭に拳骨をくらい、跡部は急いで涙を拭いた。
青春の1ページを収めるべくカメラは再び回っておりフラッシュもやたら焚かれていたが、本人達は気づいていなかった。
(6に続く)
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