長野県中野市で猟銃やナイフで住民2人と警察官2人の計4人が殺害された事件から5月25日で1年。近くに住む青木政憲被告(32)は2023年11月、4人に対する殺人の罪などで起訴されたが、現在も裁判の日程が決まっていない。担当の弁護士によると、青木被告は事件についてほとんど話しておらず、1年が経とうとしている。今も事件の真相はつかめていない状況だ。一方、友人や知人は今も変わらず深い悲しみの中にいる。
知人「亡くなった気がしない」
小布施町で陶芸工房を開く布施綾子さん(71)。
犠牲となった竹内靖子さんは月に一度ほど工房に通い、粘土の焼きものを作っていた。
布施さんは「変わらないですね、変わらないというより、まだ受け止められない、亡くなった気がしない」と、悲しみは今も癒えていない。

「よく笑う人でした」
事件から約半年たった2023年秋、竹内さんの家族が工房を訪ねてきた。
竹内さんが工房でどんな様子だったかなど、思い出を語り合ったという。
「よく笑う人でしたよ。面白い話をしてよく笑ってた。(靖子さんが)どんなところでやっていたのかなって、家に帰ったら結構楽しく話をしていたと思うんですよ」と布施さんは当時を振り返る。

被告への思い…
事件から1年―
布施さんは「自分のしたことぐらい認識してほしいと思います。どういう償いになるか分からないけれども、自分のやらかしたことは自分で始末する。どんな結果になってもこのことは一生その人からとれません」と被告への思いを語る。
バラの造花 それが最後に
犠牲となった村上幸枝さんが27年間通っていた美容室。
店主の鈴木政行さんは「誕生月、ご来店のお客さまにプレゼントでバラの花を、確かピンクを持って行ったと思うんだよな」と静かに話す。

2023年3月、村上さんが訪れ、バラの造花をプレゼントしたが、それが最後の来店となった。
鈴木さんは「事件当日、報道を見て、『えっ』てなって、ああやっぱりあの村上さんかと。両親とか肉親の死とは違う痛みがありました」と話し、今でも深い悲しみの中にいる。

複雑な思い抱え…
鈴木さんは、青木被告の家族とも親交があったという。
「(青木被告は)人をあやめるために生まれてきたわけでもないし、村上さんも人に殺されるために生まれてきたわけではない。(青木被告を)孤立させちゃうような状況をつくったのは、先人である私たちではないのかな。第二の青木容疑者をつくらないために、いま先人の俺たちが何をできるんだろうか、何ができるんだろうかと考えることが必要だと思うんですよ」と話し、複雑な思いを抱えている。

(長野放送)