難民申請不許可取り消し求めたスリランカ人男性の悲痛な訴え 「私たちは家族」
次回7月の期日で結審
次になおみさんが証言。ナビーンさんとは05年に出会うが、自身が離婚したばかりで、2人の幼い息子がいたため「2人に手がかからなくなってから」と結婚前提で付き合いを続けた。16年に入籍。今はナビーンさん、母と長男、二男と一緒に暮らしており、家族であることを強調した。 国側代理人の「結婚を考えていたのにビザが切れたらどうなるかは考えなかったのか」との質問には「仕事と育児に時間を取られ、そう考える余裕はなかった」(裁判終了後「運転免許証の書き換え程度の手続きかなとの認識だった」と話した)。さらに「陳述書には07年から11年までで交際はいったん終わったと書いているが」と、本当の結婚なのかを疑うような質問も受けたが、「『別れた』という意味ではない。会う頻度が少なくなったということ」と回答。ただ裁判長からも「ビザが切れたらどうなるのかと調べるのが自然だが、なぜそれをしなかったのか」と、同じような質問がなされた。 なおみさんは「私にもっと知識があればよかった」と答えたが、入管問題がほとんど社会に知られていなかった当時、夫妻は同様の境遇にいた外国人や日本人配偶者とのつながりが一切なく孤立無援の状態にあり、情報や知識を得る場はなかったのだ。 入管は日本人配偶者がいる仮放免者には「実子がいれば配偶者ビザを得る可能性が高まる」と説明するが、入籍して8年、実子はいなくてもナビーンさんが家族関係を構築しているのは事実だ。次回の期日は7月25日。この日をもって本裁判は結審する。
樫田秀樹・ジャーナリスト