宿題・8
「でもコーチ、これ中3じゃ知らなくてもいいような問題もあるっスよ?」
全員連れ立って歩く中、高校生が柘植に進言した。
「そうか? そんな事ねえと思うがな」
「どれですか?見せてみなさい」
黒部がプリントを覗き込む。
「ホラ、これとか、これとか」
高校生が指差した問題を見て、黒部の顔から表情が消えた。
「……柘植コーチ」
「あ?」
「こんな…教育委員会から突き上げをくらいそうな問題は書かないで頂けませんか!#」
「ああ?そんな凄ぇ問題は無かった筈だぞ?」
「どこがです!保護者が知ったら怒鳴り込んできますよ!」
「ああ…全般的にそういうプリントだとは思ってましたが、この辺りはかなり際どいですねぇ(苦笑)」
プリントを回して貰った齋藤も苦笑いする。
「でしょ?俺らも教えていいモンか悩んで飛ばしたんスよ」
「相手が相手だし、ショックがデカそうだもんなぁ」
「賢明な判断です」と黒部は頷き、それからきっぱりと告げた。
「…とにかく!この宿題はもうこれ以上やらなくていいです」
「おい、黒部!」
「半分以上終わってるようですし、元々合宿とも関係ありませんしね」
「えっ、じゃあ本当にやらなくていいんですか?」
「はい」
跡部はホッとした。
(9に続く)
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