宿題・6
それからしばらくして、バーカウンターで1人で酒を飲んでいた柘植の所へ、消灯時の点呼のため先に退出した黒部と齋藤が戻ってきた。

「柘植コーチ!跡部くんが部屋にいませんよ」
「ああ? 便所じゃねえのか?」

「いえ、同室の忍足くんの話だと一度戻ったあと、筆記用具と何かの紙を持って出ていったとか」
「なら、鬼の部屋にでも例の宿題を聞きに行って長居してんだろ」
「それが誰の部屋にもいないんですよ。まさか、あの宿題にショックを受けて出て行ったのでは?」
「そんなわけねえだろ;」


だが、生徒が行方不明というからには放ってはおけない。
コーチ達は跡部を探しに合宿所内を周回した。



***

「…ったく、飲み足りねえってのに、あのガキ;」
「おや、あの部屋に電気が」
「あそこですかね?」


現時刻は22:30。
明かりの点いた小さなミーティングルームには1人の中学生と2人の高校生が、未だ熱心に勉強をしていた。


「お前!これ、男のくせに未回答かよ!?;」
「ホントに分かんねえのか!?オメーもこうなるだろ!?」

「そんな事言われても!; こうって、どうですか!?///」
「だからぁ…! ………で、……だろ? オメーもなったことあんだろ?;」
「ああ…その状態の事を言うんですか/// そんな専門用語があったなんて…;」


***

「…真面目に宿題をやってるようですよ?」
「やっぱ、解けねえで人に聞いてんのかアイツ;」
「今の説明…問題の想像がつきましたが…分からないんですか、彼; 帰国子女だからですかね?」
「それもあるだろうが、一番はガキだからだ;」


(7に続く)
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