05 魔導師
2012.07.08 (Sun)
≪デバイス技術とモルモルの技術をあわせれば、ISが出来てしまう可能性がある≫
「≪≪なにいいいいいいいいいいい!!!???」≫≫
ネット掲示板改め、デバイスを用いた念話会議において。神鳴流の漏らしたそんな言葉に、全員が驚愕の声を上げた。
≪いや、滋賀のは知っているだろう?≫
「乗っておいたほうがいいかな、と」
≪乗らなくていい≫
さいですか、と頷いて続きを促す。まぁたしかに、あそこのMT(メカタマ)シリーズってガチで技術レベルがおかしいし。
≪MTシリーズ最大の問題点であった出力部分――燃料電池に要するレアメタルの莫大なコスト、及び如何足掻いても解決不可能だった熱処理問題――爆発の原因だったこれらを魔導式に置換する事で、一気に問題が解決してしまった≫
「しかもプログラムをコッチの――ミッド式に書き換えたら、OSの処理効率も跳ね上がってね」
≪現在はモルモルで発掘した魔導師が専任で開発を進めている。なに、あの国は解放的に見えてその実裏は深い。情報が漏れる事は無いだろう≫
何せあの国は神秘の国。魔法使いとて奥には立ち入れないのだ。
≪成程。――でも、という事は≫
「慌てるな麻帆良の。――ああ、ちゃんと完成したぞ。念話だけの簡易デバイスではない、ちゃんとした純正品のインテリデバイスが」
その途端、念話の向うで音がはじけた。咄嗟にボリュームを下げたものの、ちょっと頭が痛い。
≪――っ、はしゃぐ気持ちは分るけど……≫
「まぁ、いいじゃないか。――しかし、そうなると一層麻帆良のには頑張ってもらわないといけないんだけど」
現時点で完成しているUHBのデバイスは、俺のアームドを含めて四機。
一つは俺のガンランス。今度の物は一応ストレージ機能を搭載した仕様だが、形状は完全オリジナル。銘を『アルク』とした。
神鳴流のがインテリ・アームドの大刀、『虚空』。神鳴流に協力してもらい、神鳴流の『気』の技術を蒐集――編纂したものや、そのほかの気の術で、使えそうなものが大量に記載されている。
神奈川のが、インテリ・アームドのガントレット『ストライクエア』。神鳴流のと同じく『気』を主軸に置いたものとなっている。
で、問題となるのが麻帆良のデバイスに関してだ。
一応形は既に出来ていて、AIも稼働中。杖型インテリデバイスのブラックロッド。元ネタは――察してください。
麻帆良のデバイスには、現在魔法プログラムは入っておらず、魔力制御、マルチタスク、バリアジャケットなどの基礎・教導プログラムが入っている。
この基礎教導は全てのデバイスに仕込んでおいたのだが、何故彼のデバイスにプログラムが入っていないかと言うと、それは麻帆良という都市に対する情報漏洩防止の為なのだ。
≪ふ、ふくく、くはははは!! つまり俺が頑張ればいいって話なんだろ? いいぜやってやる頑張るぜ!!≫
我々――特に俺に関して、麻帆良のが精霊魔法を習得するまでは、表立って活動する事ができない。
なぜなら俺が表立って活動するという事は、つまり科学式魔法を表に晒してしまうという事なのだ。出来ればそれは後回しにしたい。
そこで、麻帆良のがエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルと交渉し、魔法技術を習得する。それを俺が蒐集・編纂する事で、俺も表立って活動する事が出来るようになる、というわけだ。
一応ブラックロッドは普通の魔法触媒――杖として使うことも出来るように調整してある。もし見つかってもアーティファクトという事にしておけば大事には至らないだろう。
≪それと、現在エヴァンジェリンに送る用のデバイスを開発している。コレを対価に、エヴァンジェリンを蒐集できないか、一応交渉しておいてくれないか?≫
≪了解。確かに、俺の属性とマスターの属性って丁度補完しあう形になるしね≫
因みにエヴァンジェリンの属性は闇・氷だが、麻帆良のの属性は光・太陽なのだ。
エヴァンジェリンからは『お天気』の愛称を貰ったと喜んでいたが、それって『お天気野郎』――貶されてないか?
本人が幸せならそれでもいいが。
「ま、得意ではなくても、地と風も二人分もあれば十分だろうしな」
それに、もし駄目なら駄目で、そのときは別の手段を考えてある。最悪麻帆良のだけでも蒐集し、後は俺が次元転移で魔法世界へ、そのままあの世界の魔法使いを適当に蒐集し続ければ何とか成るだろうと考えている。
他にもアリアドネーないしイギリスのメルディアナ辺りの禁書庫の魔法書をリインに取り込んでもらうという手もあるだろう。
「と、魔法技術に関してはこんなところか。他に報告が無ければ、一つ此方から提案したいんだけど」
≪ぼくは特に無いよ。強いて言うなら青山の狂姉妹に目を付けられちゃったくらいかな≫
≪神鳴流ェ……。特にはないな≫
≪ツヨク、イキナサイ……特に無し。≫
「キミは生き延びる事が出来るか……げふん。そんじゃ提案。次元航行艦つくらね?」
≪は?≫
≪へ?≫
≪ふむ……手札は多いに越した事は無いが、データはあるのかい?≫
「エスティアのがあった。その延長で、アルカンシェルも」
≪( ゜Д゜)ポカーン≫
≪( ゜Д゜)ポカーン...エスティアって、A’s10年前の、クロノパパの?≫
「そそ。無いと思うけど、もし俺――というか、俺の取り込んだ闇の書の闇が暴走したときの事も考えると、無いよりは在ったほうがいいと思うし。それに、魔法世界で活動するときの拠点にもなるしな」
≪成程な。確かに保険は必要か。条件付きで賛成≫
≪同じく条件付きなら賛成だよ≫
≪僕も条件付きなら。因みに条件と言うのは、艦の運行権と、アルカンシェルの解除キーの分散になるね≫
神奈川のの条件付きに、他二人が揃って同意する。
うん、全員次元航行艦の建造自体は肯定的と見た。ただ、やっぱりアルカンシェルの建造には慎重になるみたい。
――うん、寧ろアレをポンポン使えるようなシステムを作って放置するような連中でない事に安心したよ。
「因みに現在ですが、モルモルの協力で仕上た無人作業機――簡易AI搭載型のトイ・リアニメーターを使って、造船用の次元空間基地を作ってる。座標は秘密にさせてもらうけど、その辺りは承知して欲しい」
これもまたリスクの分散に関する話だ。例えば神奈川のなら問題ないが、もし神鳴流や麻帆良のが記憶を弄られたりして、魔道師の技術に関するものが漏洩してしまうと――そうならないように、未だ弱い過程は秘匿せざるを得ないのだ。
≪別に俺はいいんだけどよ。その資材は一体何処から調達したよ?≫
「モルモルで爆発したMTシリーズの残骸とか、基本的に廃材を溶かして作ってるよ」
ただ、今現在は中身の無い器だけだからこんな廃材だけで建造が進んでいるが、この先本格的に次元の狭間に置く拠点としての運用を考えるのであれば、確りとした資金と資材が必要と成ってくる。
とりあえずある程度のリアニメーター、もしくはガジェットドローン辺りを作ることが出来れば、適当に次元世界に放流し、勝手に資材を集めさせる――なんてことも可能なのだが。
「そこで、この次元基地建設計画に予算を出してほしいんだけど……」
≪――ぼくの資産では足りないね≫
≪会社のも駄目だろ。今デバイス関連の設備拡大で結構金を使ってるみたいだし≫
≪といって、造船なんて時間の掛かるものを後回しにするのもどうかと思うんだけど?≫
うむ。神鳴流のには、そもそも唯一の個人収入源としてかなり力を狩りている。これ以上あいつに頼りすぎるのも悪いし……となれば、俺に思い浮かぶ方法なんていうのはそう多くない。
「――俺が魔法世界に渡って稼いでくるか?」
「!? ソーマ!?」
後ろで驚いたという声を出すリイン。わかってる、ちょっとだけ待ってね。
≪然し、キミの魔法は……≫
「無論それを晒すのが未だ早いというのは理解してる。ただ、これ以上――L級次元航行艦を建造できるほどの施設を作る、その資金を稼ぐのは、これ以上此処では無理だろう」
であれば、いっそのこと向うに渡り、賞金稼ぎなり何なりで一気に稼いだほうがまだ可能性はある。
≪なっ、なら俺かマスターの蒐集をやってからのほうが――≫
「麻帆良の、お前のは未だ未成熟だ。今やっても得るものは少ないし、第一お前に掛かる負担が大きすぎる。それにミスマクダウェルへの現時点での接触は拙いだろうに≫
寧ろそちらのほうが、我々の存在の示唆に繋がりかねない。徒でさえ麻帆良のがエヴァンジェリンに接触しているという事で警戒されかねないというのに。
「俺達があちら側に次元転移、その後秘密裏に賞金首なり犯罪者なりから蒐集、その蒐集した魔法を編纂しつつ、賞金稼ぎと、あー、なんだったか。賞金の出る大会があったろう。アレとかで稼いでみるさ」
もし駄目だったら即座に此方に転移して戻ればいいだけだしな、と付け加えておく。
≪――リインフォースさん、アンタ今この会話を聞いてるか?≫
「はい、我が主の下で、失礼ながら話を聞かせていただいております」
と、不意に神奈川のがそんな事を言い出した。
≪アンタから見て、そいつは荒事に耐えられるほどの力を身につけたと思うか?≫
「――私としては不本意ですが、ええ。我が主……ソーマの力は歴代の主の中でも上位の物です。未だ魔法のバリエーションは少ないですが、基礎を叩き込みましたのでそう簡単に敗北する事はありません」
なんて、そんな事を堂々と連中に宣言するリインフォース。
……なんだか顔が熱い気がする。褒められてのぼせるとか、ガキか。
≪――まぁ、リインフォースさんがそういうならそうなんだろう。俺は認可≫
≪うー……未熟な俺に人の事はいえないや……認可≫
≪事実、それ以外に出せる手が少ないのも事実だしね。うん、認可≫
「よし。んじゃ、アルカンシェルの認証キーとかに関しては、またそのうち相談するよ。とりあえず俺は、リインのご機嫌取りしなきゃ……」
≪リア充め。頑張れ≫
≪リア充め。お疲れ様≫
≪女の子と同棲なんて羨ましいねぇ。んじゃ、今日の会議此処まで。お疲れ様≫
音も無く途切れる念話。どうやら上手く纏まった。
組織って言うのは、自分の行動に関しても一々ほうれんそうが求められるから、その点面倒だよなぁ。
「……主ソーマ?」
「……はひ」
そして、リインさん。やっぱり、事前相談なしに事を決めたのは拙かったか。後ろから物凄いプレッシャーを放ってきてる。
ご機嫌取り――リインと一緒に食事にでも行くしかあるまい。ウチのリインさんは若干腹ペコキャラの気があるらしい。
「……主ソーマ?」
「ひゃい!」
「今何か失礼な事を考えませんでしたか?」
「いいえ、トンデモございません!」
まぁ、こんなのもまた悪くないのだが。
■MT-56(メカタマ56号)
魔導機関を搭載した事により、問題点となっていた燃料電池の暴走による爆発が解消された。
反面操縦者を選ぶ(魔導師のみの)機体となってしまったが、その性能は異常の一言。
戦闘機一個師団を相手に夢想できるほどの性能。
アンチグラビティーシステムやらレーザー砲、イナーシャルキャンセラーと、まるで某スペーススーツの如き圧倒的性能を誇る。
但し魔力を動力としているのであり、魔法を使っているわけではないため、非物理魔力攻撃を弱点とする。
■アルク
非インテリのストレージ・アームドデバイス。
最早リインの趣味となったモンスターをハントするゲームから。形状は完全オリジナルで、何となく武装な錬金の主人公のアレ(後期)に似てる。
■虚空
神鳴流のインテリ・アームドデバイス。
復活した夜天の書の記述に加え、蒐集させた神鳴流の術などを記している。
気をメインとした術を記載しているが、一応魔力式の術も幾つか記載している。
■ストライクエア
インテリ・アームドの篭手型デバイス。
炎の気質を持つ神奈川ののサポート。火を助ける風。
虚空と同じく気の術を多く記している。
■ブラックロッド
某大魔道師の弟子の武装を模して作られた、インテリデバイス。
現在は教導プログラムのみで、魔法プログラムは記載されていない。
精霊魔法の触媒としても使える。
■巡航L級艦
新暦~60年代を支えた次元管理局の次元航行艦。
2番艦エスティア、8番艦アースラなどが存在し、其々取り外し可能装備としてアルカンシェルなどが存在する。
闇の書はエスティア、夜天の書はアースラから其々データを盗んでいたり。
■アルカンシェル
管理局は大型艦船に取り付けられる魔導砲。
空間歪曲と反応消滅により対象を駆逐する、管理局の最大火力。
闇の書はエスティア、夜天の書はアースラから其々データを盗んでいたり。
「≪≪なにいいいいいいいいいいい!!!???」≫≫
ネット掲示板改め、デバイスを用いた念話会議において。神鳴流の漏らしたそんな言葉に、全員が驚愕の声を上げた。
≪いや、滋賀のは知っているだろう?≫
「乗っておいたほうがいいかな、と」
≪乗らなくていい≫
さいですか、と頷いて続きを促す。まぁたしかに、あそこのMT(メカタマ)シリーズってガチで技術レベルがおかしいし。
≪MTシリーズ最大の問題点であった出力部分――燃料電池に要するレアメタルの莫大なコスト、及び如何足掻いても解決不可能だった熱処理問題――爆発の原因だったこれらを魔導式に置換する事で、一気に問題が解決してしまった≫
「しかもプログラムをコッチの――ミッド式に書き換えたら、OSの処理効率も跳ね上がってね」
≪現在はモルモルで発掘した魔導師が専任で開発を進めている。なに、あの国は解放的に見えてその実裏は深い。情報が漏れる事は無いだろう≫
何せあの国は神秘の国。魔法使いとて奥には立ち入れないのだ。
≪成程。――でも、という事は≫
「慌てるな麻帆良の。――ああ、ちゃんと完成したぞ。念話だけの簡易デバイスではない、ちゃんとした純正品のインテリデバイスが」
その途端、念話の向うで音がはじけた。咄嗟にボリュームを下げたものの、ちょっと頭が痛い。
≪――っ、はしゃぐ気持ちは分るけど……≫
「まぁ、いいじゃないか。――しかし、そうなると一層麻帆良のには頑張ってもらわないといけないんだけど」
現時点で完成しているUHBのデバイスは、俺のアームドを含めて四機。
一つは俺のガンランス。今度の物は一応ストレージ機能を搭載した仕様だが、形状は完全オリジナル。銘を『アルク』とした。
神鳴流のがインテリ・アームドの大刀、『虚空』。神鳴流に協力してもらい、神鳴流の『気』の技術を蒐集――編纂したものや、そのほかの気の術で、使えそうなものが大量に記載されている。
神奈川のが、インテリ・アームドのガントレット『ストライクエア』。神鳴流のと同じく『気』を主軸に置いたものとなっている。
で、問題となるのが麻帆良のデバイスに関してだ。
一応形は既に出来ていて、AIも稼働中。杖型インテリデバイスのブラックロッド。元ネタは――察してください。
麻帆良のデバイスには、現在魔法プログラムは入っておらず、魔力制御、マルチタスク、バリアジャケットなどの基礎・教導プログラムが入っている。
この基礎教導は全てのデバイスに仕込んでおいたのだが、何故彼のデバイスにプログラムが入っていないかと言うと、それは麻帆良という都市に対する情報漏洩防止の為なのだ。
≪ふ、ふくく、くはははは!! つまり俺が頑張ればいいって話なんだろ? いいぜやってやる頑張るぜ!!≫
我々――特に俺に関して、麻帆良のが精霊魔法を習得するまでは、表立って活動する事ができない。
なぜなら俺が表立って活動するという事は、つまり科学式魔法を表に晒してしまうという事なのだ。出来ればそれは後回しにしたい。
そこで、麻帆良のがエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルと交渉し、魔法技術を習得する。それを俺が蒐集・編纂する事で、俺も表立って活動する事が出来るようになる、というわけだ。
一応ブラックロッドは普通の魔法触媒――杖として使うことも出来るように調整してある。もし見つかってもアーティファクトという事にしておけば大事には至らないだろう。
≪それと、現在エヴァンジェリンに送る用のデバイスを開発している。コレを対価に、エヴァンジェリンを蒐集できないか、一応交渉しておいてくれないか?≫
≪了解。確かに、俺の属性とマスターの属性って丁度補完しあう形になるしね≫
因みにエヴァンジェリンの属性は闇・氷だが、麻帆良のの属性は光・太陽なのだ。
エヴァンジェリンからは『お天気』の愛称を貰ったと喜んでいたが、それって『お天気野郎』――貶されてないか?
本人が幸せならそれでもいいが。
「ま、得意ではなくても、地と風も二人分もあれば十分だろうしな」
それに、もし駄目なら駄目で、そのときは別の手段を考えてある。最悪麻帆良のだけでも蒐集し、後は俺が次元転移で魔法世界へ、そのままあの世界の魔法使いを適当に蒐集し続ければ何とか成るだろうと考えている。
他にもアリアドネーないしイギリスのメルディアナ辺りの禁書庫の魔法書をリインに取り込んでもらうという手もあるだろう。
「と、魔法技術に関してはこんなところか。他に報告が無ければ、一つ此方から提案したいんだけど」
≪ぼくは特に無いよ。強いて言うなら青山の狂姉妹に目を付けられちゃったくらいかな≫
≪神鳴流ェ……。特にはないな≫
≪ツヨク、イキナサイ……特に無し。≫
「キミは生き延びる事が出来るか……げふん。そんじゃ提案。次元航行艦つくらね?」
≪は?≫
≪へ?≫
≪ふむ……手札は多いに越した事は無いが、データはあるのかい?≫
「エスティアのがあった。その延長で、アルカンシェルも」
≪( ゜Д゜)ポカーン≫
≪( ゜Д゜)ポカーン...エスティアって、A’s10年前の、クロノパパの?≫
「そそ。無いと思うけど、もし俺――というか、俺の取り込んだ闇の書の闇が暴走したときの事も考えると、無いよりは在ったほうがいいと思うし。それに、魔法世界で活動するときの拠点にもなるしな」
≪成程な。確かに保険は必要か。条件付きで賛成≫
≪同じく条件付きなら賛成だよ≫
≪僕も条件付きなら。因みに条件と言うのは、艦の運行権と、アルカンシェルの解除キーの分散になるね≫
神奈川のの条件付きに、他二人が揃って同意する。
うん、全員次元航行艦の建造自体は肯定的と見た。ただ、やっぱりアルカンシェルの建造には慎重になるみたい。
――うん、寧ろアレをポンポン使えるようなシステムを作って放置するような連中でない事に安心したよ。
「因みに現在ですが、モルモルの協力で仕上た無人作業機――簡易AI搭載型のトイ・リアニメーターを使って、造船用の次元空間基地を作ってる。座標は秘密にさせてもらうけど、その辺りは承知して欲しい」
これもまたリスクの分散に関する話だ。例えば神奈川のなら問題ないが、もし神鳴流や麻帆良のが記憶を弄られたりして、魔道師の技術に関するものが漏洩してしまうと――そうならないように、未だ弱い過程は秘匿せざるを得ないのだ。
≪別に俺はいいんだけどよ。その資材は一体何処から調達したよ?≫
「モルモルで爆発したMTシリーズの残骸とか、基本的に廃材を溶かして作ってるよ」
ただ、今現在は中身の無い器だけだからこんな廃材だけで建造が進んでいるが、この先本格的に次元の狭間に置く拠点としての運用を考えるのであれば、確りとした資金と資材が必要と成ってくる。
とりあえずある程度のリアニメーター、もしくはガジェットドローン辺りを作ることが出来れば、適当に次元世界に放流し、勝手に資材を集めさせる――なんてことも可能なのだが。
「そこで、この次元基地建設計画に予算を出してほしいんだけど……」
≪――ぼくの資産では足りないね≫
≪会社のも駄目だろ。今デバイス関連の設備拡大で結構金を使ってるみたいだし≫
≪といって、造船なんて時間の掛かるものを後回しにするのもどうかと思うんだけど?≫
うむ。神鳴流のには、そもそも唯一の個人収入源としてかなり力を狩りている。これ以上あいつに頼りすぎるのも悪いし……となれば、俺に思い浮かぶ方法なんていうのはそう多くない。
「――俺が魔法世界に渡って稼いでくるか?」
「!? ソーマ!?」
後ろで驚いたという声を出すリイン。わかってる、ちょっとだけ待ってね。
≪然し、キミの魔法は……≫
「無論それを晒すのが未だ早いというのは理解してる。ただ、これ以上――L級次元航行艦を建造できるほどの施設を作る、その資金を稼ぐのは、これ以上此処では無理だろう」
であれば、いっそのこと向うに渡り、賞金稼ぎなり何なりで一気に稼いだほうがまだ可能性はある。
≪なっ、なら俺かマスターの蒐集をやってからのほうが――≫
「麻帆良の、お前のは未だ未成熟だ。今やっても得るものは少ないし、第一お前に掛かる負担が大きすぎる。それにミスマクダウェルへの現時点での接触は拙いだろうに≫
寧ろそちらのほうが、我々の存在の示唆に繋がりかねない。徒でさえ麻帆良のがエヴァンジェリンに接触しているという事で警戒されかねないというのに。
「俺達があちら側に次元転移、その後秘密裏に賞金首なり犯罪者なりから蒐集、その蒐集した魔法を編纂しつつ、賞金稼ぎと、あー、なんだったか。賞金の出る大会があったろう。アレとかで稼いでみるさ」
もし駄目だったら即座に此方に転移して戻ればいいだけだしな、と付け加えておく。
≪――リインフォースさん、アンタ今この会話を聞いてるか?≫
「はい、我が主の下で、失礼ながら話を聞かせていただいております」
と、不意に神奈川のがそんな事を言い出した。
≪アンタから見て、そいつは荒事に耐えられるほどの力を身につけたと思うか?≫
「――私としては不本意ですが、ええ。我が主……ソーマの力は歴代の主の中でも上位の物です。未だ魔法のバリエーションは少ないですが、基礎を叩き込みましたのでそう簡単に敗北する事はありません」
なんて、そんな事を堂々と連中に宣言するリインフォース。
……なんだか顔が熱い気がする。褒められてのぼせるとか、ガキか。
≪――まぁ、リインフォースさんがそういうならそうなんだろう。俺は認可≫
≪うー……未熟な俺に人の事はいえないや……認可≫
≪事実、それ以外に出せる手が少ないのも事実だしね。うん、認可≫
「よし。んじゃ、アルカンシェルの認証キーとかに関しては、またそのうち相談するよ。とりあえず俺は、リインのご機嫌取りしなきゃ……」
≪リア充め。頑張れ≫
≪リア充め。お疲れ様≫
≪女の子と同棲なんて羨ましいねぇ。んじゃ、今日の会議此処まで。お疲れ様≫
音も無く途切れる念話。どうやら上手く纏まった。
組織って言うのは、自分の行動に関しても一々ほうれんそうが求められるから、その点面倒だよなぁ。
「……主ソーマ?」
「……はひ」
そして、リインさん。やっぱり、事前相談なしに事を決めたのは拙かったか。後ろから物凄いプレッシャーを放ってきてる。
ご機嫌取り――リインと一緒に食事にでも行くしかあるまい。ウチのリインさんは若干腹ペコキャラの気があるらしい。
「……主ソーマ?」
「ひゃい!」
「今何か失礼な事を考えませんでしたか?」
「いいえ、トンデモございません!」
まぁ、こんなのもまた悪くないのだが。
■MT-56(メカタマ56号)
魔導機関を搭載した事により、問題点となっていた燃料電池の暴走による爆発が解消された。
反面操縦者を選ぶ(魔導師のみの)機体となってしまったが、その性能は異常の一言。
戦闘機一個師団を相手に夢想できるほどの性能。
アンチグラビティーシステムやらレーザー砲、イナーシャルキャンセラーと、まるで某スペーススーツの如き圧倒的性能を誇る。
但し魔力を動力としているのであり、魔法を使っているわけではないため、非物理魔力攻撃を弱点とする。
■アルク
非インテリのストレージ・アームドデバイス。
最早リインの趣味となったモンスターをハントするゲームから。形状は完全オリジナルで、何となく武装な錬金の主人公のアレ(後期)に似てる。
■虚空
神鳴流のインテリ・アームドデバイス。
復活した夜天の書の記述に加え、蒐集させた神鳴流の術などを記している。
気をメインとした術を記載しているが、一応魔力式の術も幾つか記載している。
■ストライクエア
インテリ・アームドの篭手型デバイス。
炎の気質を持つ神奈川ののサポート。火を助ける風。
虚空と同じく気の術を多く記している。
■ブラックロッド
某大魔道師の弟子の武装を模して作られた、インテリデバイス。
現在は教導プログラムのみで、魔法プログラムは記載されていない。
精霊魔法の触媒としても使える。
■巡航L級艦
新暦~60年代を支えた次元管理局の次元航行艦。
2番艦エスティア、8番艦アースラなどが存在し、其々取り外し可能装備としてアルカンシェルなどが存在する。
闇の書はエスティア、夜天の書はアースラから其々データを盗んでいたり。
■アルカンシェル
管理局は大型艦船に取り付けられる魔導砲。
空間歪曲と反応消滅により対象を駆逐する、管理局の最大火力。
闇の書はエスティア、夜天の書はアースラから其々データを盗んでいたり。
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誤字報告
『お天気』の相性 → 愛称
この時限基地建設計画に → 次元
『お天気』の相性 → 愛称
この時限基地建設計画に → 次元
通りすがり | 2012.07.08 23:06 | 編集
ユニゾンデバイスの疑似リンカーコア? を参考にすれば乗り手を選ばないようにできるのではないでしょうか?
ぼるてっかー | 2012.07.09 12:59 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| 2012.07.10 12:35 | 編集
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