2014年からビットコイン投資をスタート
小峰:安藤さんがビットコインを知ったのはいつですか?
安藤さん:2014年、当時最大の暗号資産取引所「マウントゴックス」が破綻したニュースでビットコインを知りました。そこで、周囲の人たちと話してみたら、ビットコインを買っている人が結構多いことに気づきました。
小峰:2014年の時点で、ビットコイン投資をしている人が周囲に多かったんですか? それは、よほど特殊なコミュニティでは…。
安藤さん:私は半導体の研究者で、大学で教員もしていました。ですから、新しい技術にトライしてみようという人が多い環境だったと思います。
小峰:なるほど…。そして、2014年にビットコイン投資を始められたと?
安藤さん:はい。2014年に出張で香港へ行ったとき、町中でビットコインを売っている販売所を見つけ、10万円分ほど買ってみました。
小峰:ビットコイン以外にも投資しましたか?
安藤さん:2015年にカルダノエイダも買いました。
小峰:カルダノエイダは、日本では、かなり激しく営業活動をしていたようですから、日本人の投資家で購入された方が多いですね。
安藤さん:営業が激しかったという話は聞きますが、私は、開発者チャールズ・ホスキンソン氏の話などをもとに、技術的な見地と将来への期待から興味を持ちました。マルチ的な営業活動をしていたなどという話をあとで知りましたが、少し残念です。
日本での利益確定時の税額に驚愕…「移住しなくては」
小峰:日本で暗号資産に投資を始めた安藤さんが、海外移住を考えたのはなぜですか?
安藤さん:ビットコインバブルのピークを越えた2018年だと思いますが、日本に住みながら暗号資産の利益確定をすると、最高55%の税金がかかることを知りました。55%もの税金がかかるのであれば、海外に移住しなくてはいけないと思い始めました。
小峰:移住先にシンガポールを選んだのはなぜでしょうか?
安藤さん:海外の研究者仲間で、シンガポールに会社を持っている人が「シンガポールに来たいなら雇ってあげる」といってくれていました。シンガポールはインフラも整備されていて住みやすそう、いつか住んでみたい…と思っていたので、せっかくなので移住することにしました。
小峰:シンガポールは雇用ビザ(EP)を取るのが難しいと思いますが、安藤さんはいかがでしたか?
安藤さん:そうですね。年齢にもよりますが、月給として100万円くらい取れる人であることが求められ、楽ではありません。ただ、私の場合、大学院でドクターまで取得した、先端分野の研究者であることがビザ取得に役立ったと思います。
小峰:たしかに、シンガポールのビザ審査では、学歴も考慮要素になりますからね。
シンガポールでは「超一等地」で生活
小峰:シンガポールではどのエリアにお住まいですか?
安藤さん:オーチャード通りの地下鉄駅から徒歩圏内のコンドミニアムに住んでいます。
小峰:どこに行くにも便利ですし、日本の食べ物が何でもそろうドン・キホーテも近くにありますから、生活にも便利ですね。
安藤さん:東京ですと、東京駅から電車で30分の住宅地と銀座とを比べた場合、家賃はまるで違うでしょうが、シンガポールの場合、一等地だからといって家賃が2倍3倍にはならないと思います。だから一等地に住めているというのはあります。とはいえ、まもなくの契約更新で家賃が10%は上げられてしまうようで困るのですが…。
小峰:シンガポールの家では不自由なく暮らしていらっしゃいますか?
安藤さん:実は、日本の家にはグランドピアノがあって、ピアノを弾くのが楽しみだったのですが、グランドピアノをシンガポールまで運んでくる運送代が高すぎて、持ってくることができませんでした。仕方なく電子ピアノを買いましたが、音もタッチも納得できないですね。
小峰:食事はどうされていますか?
安藤さん:外食が多いです。彼女はシンガポールに来てくれなくて、シンガポールではひとり暮らしなのです。辛すぎる食べ物が苦手で、和食やヨーロッパ料理が多いです。自炊は週1回くらいしています。鍋物のように、簡単に作れて野菜をとれる物が多いですね。
カルダノエイダを売却後に帰国予定
小峰:日本に帰国する予定はありますか?
安藤さん:手持ちのカルダノエイダの価格が上がったら、売却して日本に帰国すると思います。今年はビットコインの半減期ですが、半減期の年にはビットコインの価格上昇が期待できますし、ビットコイン以外のアルトコインの価格上昇も期待できます。今年あたり価格が上がったら、これらも一部売却しようかと思っています。それまで、ステーキングで収入を得ながら待っています。ステーキング収入に税金がかからないというのも、シンガポールの利点ですから。
シンガポールは人と人の距離感があり、住みやすいところ
小峰:2年間住んでこられたシンガポール、全般的な評価はいかがでしょうか?
安藤さん:欧米やほかの東南アジア諸国と比べて、住みやすいと思います。というのも、相手との距離感がちょうどいいんです。アメリカ人によくある近すぎる感じは疲れますし、東南アジアによくある親戚まで押し寄せてくるのも疲れます。シンガポールは、個々人が適度に離れていて楽ですね。
小峰:シンガポールは規則が厳しすぎるという話も聞きますが、その点はどうですか?
安藤さん:シンガポールは喫煙が厳しく制限されているといわれていますが、事実上黙認されている喫煙スペースがあったりして、意外に緩いのかもしれないと思います。
小峰:シンガポール移住の雰囲気がよくわかるお話、ありがとうございました。
小峰 孝史
小峰 Investments
マネージング・ディレクター・弁護士
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