そもそも GNU/Hurd とは、BSD でも Linux でもない OS のカーネルです。
Linux とほぼ同じ時期に産声を上げたにもかかわらず、その後なかなか開発が進まず、未だに正式リリースには至っていません。
開発終わったかと思っていると突如マイナーバージョンアップをしてきます。
特徴としてはカーネルにマイクロカーネルを採用していることですが、それが開発の遅延につながっているような気がしないでもないです。
その GNU/Hurd にいろいろ Debian の成果物をくっつけたのが Debian GNU/Hurd です。
Debian 12 がリリースされたのに伴い、いやいやながらかどうか知りませんが、Debian GNU/Hurd 2023 がリリースされました。
前回 GNU/Hurd がマイナーバージョンアップされた2016年に遊んでみましたが、その時はまともに使える物ではなかったのですが、7年経ってどうなっているでしょうか?
もっとも Hurd のカーネルはバージョンアップしていないのであまり期待はしていないのですが…。
最初は NETINST版で遊んでいたのですが、apt のリポジトリがローカルの CD-ROM に固定されていたため(NETINST版の意味があるのかどうか問い詰めたいところです)、QEMU用の img を Virtualbox の仮想ディスクに変換することにしました。
あとから QEMU版のリポジトリ設定を書き写そうかなと。
というわけでダウンロードです。
しかし昔から思うのですが、Debian のサイトって情報多くてわかりにくい。
ということで今回は、GNU/Hurd の公開されているディレクトリのリンクをご紹介します。
https://cdimage.debian.org/cdimage/ports/
↑の 12.0/hurd-i386 で debian-hurd.img.zip なんかをダウンロードして解凍します。
まずは QEMU のイメージファイルを Virtualbox の仮想ディスクに変換します。
5GB あります。領域を拡張すると動かない恐れがありますのでおとなしくこのまま使うことにします。
次に Virtualbox で仮想PCを作成します。
コツは昔を思い浮かべながら設定することです。
ここテストに出ますので、慎重に設定しましょう。
CPU。2個ぐらいにしておきましょう。
メモリ。32bit かつ PAE とかあてにできないので、2048MB ぐらいにしておきます。あとで試しに拡張してみるかもしれません。
ストレージは一旦 SATA を削除して PIIX4 の IDE にして、先ほどの仮想ディスクをマウントします。
ネットワークは 1GB なんて対応していませんので、PCnet-FAST III にします。NAT でも ブリッジでもいいと思います。
オーディオの事は忘れましょう。
これで起動します。運がよければログイン画面が表示されます。
運悪くエラーメッセージが出てしまった人は、エラーメッセージを読んで設定を見直しましょう。
ログインID:root
ログインIDを入力したらすぐに「牛」とコマンドプロンプトが表示されます。
「startx」と入力したら、「IceWM」の画面が開きます。
壁紙が「手をつないだ Linux ディストリビューション」ってのが素敵です。
とりあえず環境を最新にしましょう。Debian 系の「apt」が使えます。
apt update
apt upgrade
リポジトリが遠いのかすごく時間がかかります。うちの回線のせいかもしれませんが。
キーボードの配置が US配列になっていました。ちょっとだけ設定ファイルを /etc/X11 の下で探してみたのですが、なんかめんどくさくなったので、
setxkbmap -layout jp
で設定して逃げちゃいました。起動の度に入力しないといけないので、そのうち設定ファイル探します。
そもそも日本語行けるのかって話ですが、なんとなく入ってしまいました。
apt install ibus-anthy
ほんで再起動。びっくり IceWM の起動時に IBus が起動するようになっちゃいました。
ただこの時点では日本語の入力はできません。xterm ではこの後もできませんが、uxterm は後で入力できるようになります。
あるはずがない。
まずは neofetch…。おっと途中で死にました。
カーネルは 0.9 です。
メモリ使用量は 198MiB。さすがですね。
ディスク使用量は 2.9G。まぁ、いろいろ入れた後です。フォーマットが ext2 ってのが時代を感じさせます。
まずは、いろいろ不便なのでファイルマネージャを入れてみます。PCManFM がパッケージにありましたのでインストールしました。
はい、すごく時間がかかってインストールはできましたが、起動しません。でもなんかいろいろ入って、uxterm で日本語が入力できるようになりました。
あと、壁紙がとびました。
次は、テキストエディタが欲しいな。
emacs がコンソール版と GUI版で動きます。もちろん vi(vim)も動きます。
Plima もインストールできました。日本語も入力できます。Python も 3.11 が動くようなので開発もばっちりですね。
gtk は動くようですね。それなら…
おお!Gimp が起動しました。普通に使えるかどうかはわかりません。
あとは WEBブラウザが使えれば、日常使いのPCとして使えそうですね。
Firefox。なんかエラーを大量に吐いてインストールできませんでした。
Chromium や Midori はパッケージになかったし、Epiphany はなんかうまくいきませんでした。
じゃぁ、これで。Lynx。もちろん日本語も使えます。
あと、いろいろインストールしてみましたが、nethack は コンソール版、GUI版が起動しました。遊び方がよくわかっていません。
Doomはダメでした。インストールはできますが起動しません。
インストールはできても起動できないやつは頑張ればなんとかなるのかも。知らんけど。
synaptic がインストールできなくなってるので、アプリ探すのがめんどくさいです。
あまり期待していなかったのですが、おそらくは Debian チームが頑張っているのでしょう。意外とアプリが動きます。
NETINST 版だともう少しハードウェアに寛容なので、そっちでも試してみたいと思いました。
Python や GCC は動くので、同じスペックの仮想Linux立てておいて、簡単なプログラムのベンチマーク比較をしたい誘惑に駆られます。
GNU/Hurd が世界を取った時の為に、あらかじめ使えるようになっておかねば…。