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★5月20日 中華民国台湾では頼清徳総統が誕生しました。就任演説から台湾の大きな変化を見ることができます。台湾の二大政党は国民党と民進党であり、その最大の違いは大陸に起源をもつか、台湾独立を謳うかでした。国共内戦で中国本土から追い出された形になった国民党、蒋介石が亡命政府を置いたのが、第二次世界大戦の日本敗戦で統治の空白地帯となっていた台湾です。そして、現在も尚、国民党は大陸の正当な統治者は中華民国であるという立場を堅持しています。それに対して、台湾の民族政党である民進党は、本土の統治権について言及したことはありません。
また、この問題は50年以上前の日華断交の歴史にも関係します。国際社会で中華人民共和国が大きな影響力を持ち始める中で、日本の岸信介総理は、中華民国が中華民国として独立し、国連に残ることを進言しました。しかし、当時の国民党は大陸出身者が多く、これを拒絶し、大陸の統治にこだわりました。そのため、台湾と世界は二者択一を迫られ、中華民国台湾は国連を離脱、悲しい断交の歴史がはじまったわけです。
今も、国連憲章上の常任理事国は、「中華民国」であり、中華人民共和国ではありません。中華人民共和国は、中国本土を継承した統治者として、常任理事国となっていますが、それは中華民国が国連を抜けたためでしかなく、条文はそのままになっています。
今回の演説のポイントとしては、中華民国という言葉を多用し、同時に中華民国、台湾、中華民国台湾が同じものであり、呼び方の違いに過ぎないとしたことでしょう。これまで、民進党は中華民国は国民党の呼称であるとし、それを否定してきました。陳水扁時代には、中華民国という呼称を否定し、「台湾正名運動」を行い、国名を台湾に改称しようともしました。また、「中正記念堂」など蒋介石の名前が付いた施設の改名も行ったわけです。中正は蒋「介石」の別名であり、蒋介石記念堂という意味があります。しかし、再び国民党政権に戻ったことで、元の名に戻りました。
その後、2016年、蔡英文政権が誕生することになります。陳水扁政権との最大の違いは、民進党が議会まで掌握したことです。陳水扁政権では総統(行政)は民進党、議会は国民党というねじれが生じており、陳水扁は議会運営に苦しみました。それに対して、蔡英文政権は行政と立法のどちらも支配することになりました。
また、蔡英文は歴史を否定することはできないとし、中正記念堂など蒋介石の名前を残す建造物などを維持し、国民党が台湾に入ってきた時の虐殺(白色テロ)などを歴史として記録するが、否定抹消はしないという方策をとりました。また、日本統治下の歴史の検証も行い、日本統治時代の建物の国宝化など歴史遺産の保存にも取り組みました。
国民党亡命政府第一世代、第二世代の方々にとって、大陸は出身地であり、故郷であるわけです。しかし、歴史が進むことで世代交代が進み、蒋介石とともに本土から来た外省人(約20%)と元々台湾に住んでいた本省人(約80%)との軋轢は薄れ、対立も緩やかなものになっていきました。
2016年の就任演説では、蔡英文は台湾を「自然独立」と定義しました。これは独立統治50年以上に及ぶことから、すでに独立しているという立場です。だから、あえて独立を謳う必要もなく、他国がそれを承認するかどうかでしかないというロジックです。
それに対して、頼清徳は、そもそも論に立ち返り、台湾及び台湾人のアイデンティティを改めて定義し、中華民国は台湾の国名としたうえで、共に隷属したことはなく、別の国家であるとしたわけです。 また、400年前のオランダ統治(フォルモサ)が台湾の統治の始まりであるとし、本土の歴史的領有も否定しました。
「台湾アイデンティティ」民主主義の雄であり、第一列島線、開かれたインド太平洋の核である。また、多様性を容認し、開かれた国家として主権を守ると宣言しました。
■「台湾を民主主義世界のMVPに」…頼清徳・台湾総統の就任演説全文
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240520-OYT1T50209/
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