34年前のクリスマスイブ有馬を制したイナリワンと縁のある穴守稲荷神社をご存じ? 神社めぐりを趣味とする舟元祐二記者が同社を取材。宮司である井上直洋氏は今年の有馬記念の注目馬として、イナリワンと同じ誕生日で縁のあるドウデュース(牡4、友道)の名を挙げた。

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イナリワンに会える。それは言い過ぎかもしれないが、この名馬に縁のある記念品を展示している神社がある。同馬の馬名の由来となった穴守稲荷神社だ。東京都大田区羽田に鎮座している同社。イナリワンの馬名を決めることになった際、オーナーの保手浜弘規氏と当時の禰宜(ねぎ)石井信氏が中等馬術部の同級生だった縁で穴守稲荷の「イナリ」、NO・1になってほしいという意味で「ワン」を取り、イナリワンと命名された。同馬は86年に大井でデビューし、88年には東京大賞典を勝利して地方一の馬となる。89年に中央へ移籍となり、同年の天皇賞・春、宝塚記念、そして暮れのグランプリ有馬記念を制して、同年のJRA年度代表馬に輝いた。

現在宮司を務める井上直洋氏は語る。「10年くらい前に保手浜オーナーが会社をたたむ際に当社に奉納くださいました」。お参り後、社務所にイナリワンについて声をかけると快く展示されている屋内に導いてくれた。井上氏は「ご参拝に見えられた方は誰でもご覧いただけます。もともと神社はその地域の歴史をアーカイブ(保存)する役割を持ちます。当社にゆかりのあるイナリワンを伝え続けることにも意味があると思っています」。名馬の痕跡を消すわけにはいかないという信念がうかがえた。

際立つのがど真ん中にある89年有馬記念の優勝レイ。34年前の12月24日。くしくも今年と同日。不思議な縁がある。井上氏に今年の有馬記念で気になる馬を聞いてみた。「イナリワンと同じ誕生日(5月7日)のドウデュースです。12月24日の有馬記念を制するのはドウデュース以外にありえません」。誕生日まで一緒の馬が参戦している。穴を守るという名前から一部ギャンブル好きも、参拝に来るという。イナリワンとの縁、今年の有馬記念との縁に深く感動させられた。ぜひ参拝に行ってみてはいかがだろうか。

【舟元祐二】

◆89年有馬記念VTR 武豊騎手騎乗の2番人気スーパークリークが直線入り口で1番人気オグリキャップをかわして先頭へ。そのまま押し切るかと思われたが、直線でエンジンのかかったイナリワンが強襲。ゴール寸前で鼻差で差し切った。2分31秒7は当時のレコードタイム。15番枠からの優勝は同馬が最後となっている。