跡部の悩み・6
「迷惑かけてばかりで…恥ずかしくて…。おまけに、満足にグラスも取りに行けないって思われたと思ったら…すごく情けなくて……;」

言うとおり恥ずかしさに顔を真っ赤にして、泣きそうな顔で跡部は答えた。


「それは…違う」


徳川は困った顔で否定した。



「…徳川は言葉が足りないからね」


入江はティーポットの紅茶をカップに注いだ。


「さっきもさ、『慌ててたらグラスを割る』って言った後に、『怪我でもしたら可哀想だから自分が行くから。気にしなくていいから』って、ちゃんと言ってあげれば跡部くんも泣かなくて済んだのに。言葉を出し惜しみするからこうなるわけ。分かる?」


珍しく徳川がお説教されている…その、あまりに珍しい光景に周囲の視線も集まっていた。


「…済まない」
「いえ…そんな!」


徳川が中学生に頭を下げた。
その稀な…恐らく二度は見ないであろう光景に辺りはどよめいた。



「…で。跡部くん?」
「はい?」

「これでも、まだ嫌われてると思う?」
「え…っ」

入江は楽しそうに微笑み、次いで徳川を見た。


「何の事ですか?」
「うん。跡部くんが君に嫌われてるんじゃないかって気にしてたからさ」
「入江さん…!///」


徳川と跡部の視線がぶつかった。


「…すみません; なんか…重ね重ね…;」

度重なるショックで跡部の頭は混乱し、心臓もどうにかなりそうだった。


(7に続く)
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